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28 8月, 2013

川辺直哉による集合住宅「コモレビテラス井の頭」

川辺直哉建築設計事務所(Naoya Kawabe Architect & Associates)による三鷹市の集合住宅「コモレビテラス井の頭」の見学会に行ってきました。

 敷地面積207m2、建築面積142m2、延床面積495m2。RC造、地下1階、地上3階建て。

B1・1階に3戸ずつ、2・3階に4戸ずつ、計14戸からなる。

 1m程の高低差がある3面道路に囲まれている。 

 2階まで吹き抜けになっている裏口。

 表にあるエントランスからは上のレベルに入ってくる。 

 階段室を見上げると上から光が差し込む。

 一度外に出て表のエントランスへ。

 郵便受けやインターホンはこちら。



 3階まで上がると大きなトップライトが設けてあった。施主から「明るい共用部」は必須条件だった。

 2・3階の住戸にはグレーチングが張られた外扉が設置されている。なぜかというと...

玄関扉はバルコニーに面してガラス引戸と一緒に並んでいる。外扉がないとひとがバルコニーまで入ってこれてしまう。

各住戸で見られるのがこのタイルとカバザクラ材フローリングの床。
タイルは共用部やバルコニーと同じもので、外部が内部に連続してくる印象を与え、外と内の境界を曖昧にし広さを感じさせてくれるし、使い方も居住者のスタイルで広がる。

それぞれの住戸でタイルとフローリングのバランスや取り回しは異なる。 天井はモルタル仕上げ。





そして外観からも目を引いたルーバーはよく見るとピッチが異なる。外部状況によって3種類(40、60、80mm)のピッチを使い分けた。 

3面を道路に囲まれ隣接する建物は少ないが、住宅地なのでむやみには開放しにくい。ルーバーにより開放しながらも開放させすぎないようにした。

完全に開口しているいる箇所もある。


川辺直哉さん。「ルーバーや床の仕上げを操作することで生活領域の境界が曖昧になり、物理的な占有領域がその境界を越えて、共用部や外部と関係付けられるのではないかと考えました。」


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22 8月, 2013

山下保博/アトリエ・天工人による「空を切りとる家」(港区S邸)

山下保博+石井あずさアトリエ・天工人Yasuhiro Yamashita / Atelier Tekutoによる「空を切りとる家」(港区S邸」)のオープンハウスに行ってきました。

 敷地面積69m2、建築面積39m2、延床面積77m2。地下1階、地上2階建て。傾斜地のためガレージは地下にあたりRC造。1階2階はS造。

 周囲から引いて見ることができないが正面図ではこのような外観だ。東側に開いた大きなトップライトが目を引く。

 傾斜地の上側に回るとかなり近隣が立て込んでいるが分かる。中央に見える斜めの屋根が今回の住宅。

 アプローチから近づいてみると実はこちら側が玄関。 

 玄関を入ると床半分がガラスブロック。 左側に水回り、奥に寝室。

 下に降りると冒頭のガレージに繋がる。

 地下ガレージの奥には一部屋設けてあり、玄関のガラスブロックから明かりを採ることが出来る。

 1階に戻って水回り。右のアメリカWhirlpool社の洗濯機と乾燥機は施主のセレクト。

 子供3人と一緒に入れるよう浴室は大きめだ。

 寝室。

 2階へ。手摺は目立たないようにと手摺子が少ないデザインが主流だが、どうしても子供が小さいうちはネットを張ることになる。それをしたくないということでピッチを細かくした積極的なデザインに。 
聞くと場合によっては子供が10歳くらいになるまでの長期間ネットが張られることも多いそうだ。


 2階LDK。

 進むと大トップライトとご対面。一番大きなガラスは長さ3.5mのペアガラス。前面道路も狭く、斜めに傾けて設置するため作業はかなり困難そうだ。

 東を向いた開口だが、向かいにあるマンションのガラスに光が反射してくる。手前のテーブルは子どもたちの勉強机。


 DK上には象徴的なデザインの間接照明を埋め込んだ。
書棚やキッチン周りの家具・建具はシカモア材、右の収納がメープル材、床はウォールナット材。


 レンジフードは上に付けたくないので、下引きの天板からせり出すタイプの換気扇に。

 DKの上はロフト。

 ロフトに上がると斜線を逃れた複雑な面が見えた。 

左から担当の石井あずささん、山下保博さん、施工の日祥工業 渡井孝浩さん。
「密集した狭小敷地では上へ開かざるを得ませんが、中庭を設けては室内が狭くなる。斜線や天空率などを巧みにクリアしながら、そこから生まれる大胆な外観意匠とトップライトを提案しました。」と山下さん。

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14 8月, 2013

30歳以下の若手建築家による建築の展覧会 2013_ Under 30 Architects exhibition 2013

「30歳以下の若手建築家による建築の展覧会 2013_ Under 30 Architects exhibition 2013」は、2010年に始まり、今年で4回目を迎えます。
今年は岩瀬諒子氏、植美雪氏、小松一平氏、杉山幸一郎氏、塚越智之氏の5人が出展者として選抜。20代の新鮮な発想力で人にとって豊かな空間のあり方を模索しながら、ドローイングや映像、体験型のインスタレーションなど、独自の表現方法を用いて会場を構成展示されました。
展示は2013年9月5日から1ヶ月間開催され、期間中に記念シンポジウムが2回予定されています。
2回に渡るシンポジウムには、出展者よりひと世代上の40代の建築家8名(一回目:芦澤竜一氏、五十嵐淳氏、石上純也氏、平田晃久氏 / 二回目:谷尻誠氏、平沼孝啓氏、藤本壮介氏、吉村靖孝氏)に交えて1回目には建築史家の倉方俊輔氏、2回目には建築批評家の五十嵐太郎氏が進行を行い、U-30出展者を代表する20代建築家の5名が参加。それぞれの世代からみた建築について話が繰り広げられ、これからの新しい建築の可能性を示す興味深いシンポジウムになるのではと期待します。


岩瀬諒子
京都大学工学研究科にて都市環境工学を学び、スイスEM2N Architects、隈研吾建築都市設計事務所に勤務し建築を学んだ岩瀬氏は、建築設計からパブリックスペースまで領域にとらわれない設計活動を行っている。U-30の展示では、大阪府主催実施コンペ「木津川遊歩空間アイディアコンペ」で最優秀賞を受賞した実施のプロジェクトを展示する予定。
「都市インフラの暴力性に着目し、それとは違ったものをつくりたいと考え、個人的な感情を公共空間に入れるように畑のようなものをデザインしました。何かひとつが強いのではなく、いろんなものが拮抗していく関係が美しく朽ちていける構造物のあり方ではないかと考えました。」


植美雪
現在進行中のプロジェクト4作品を展示。
今回の展示について、「設計している途中経過に考えたことなどを抽出して、コンセプト模型のような抽象的な表現にあえてしている。考えをそのまま提示するよりは判断を鑑賞者にゆだね、考えが広がるようにしたい。」


小松一平
http://kmta.jp/
2010年に小松建築設計事務所を設立し、奈良を拠点に活動をしている。
構造設計家と共同で壁だけの構造体を考え、壁を積み上げるのではなく、壁を下に積み上げてタワーにする計画をしている。
現在この壁の考えのもとになった住宅を設計しており、10月頃に竣工する予定。

塚越智之
90年代のOMAやMVRDVなどに興味があり、デルフト工科大学へ留学。
「経済性や建築法規が建築デザインに関わってくるので、建築の設計条件を広げ、建築を成り立たせる枠組みを更新することで形に定着させてデザインし、社会問題をデザインで解くことを考えている。実際にデザインが身近な問題を解いてくれる存在であることを示したい。」


杉山幸一郎
在学中にスイスのETH(P. Maerkli)に留学した経験から、消費される建築ではなく、時間に耐える建築を作ることを意識するようになった。
「今ある問題の解決だけに集中せず、10、20年後の違った価値観でも新しい価値を見いだす事が出来る議論のテーブルを用意すること。自分の建築を経験するひとが意識の広がりを持てるような建築を作っていきたい。」

【展示会の案内】
U-30 Under 30 Architects Exhibition 2013

30歳以下の若手建築家による建築の展覧会(2013)
日時:2013年9月5日(木)〜10月5日(土) 10:00〜18:00
日曜・祝日休館 ※ 9月7日(土)、9月28日(土)のみ20:30まで開場
会場:ODPギャラリー (大阪・南港 ATC )
〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10
アジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟10階 ODP(大阪デザイン振興プラザ)
※ 大阪市営地下鉄・ニュートラム線 「トレードセンター前」 直結
入場:¥1,000 (先着1,000名様に限り展覧会図録付き)

【関連イベント】 
■ U-30 開催記念シンポジウム I 
2013年9月7日(土) 15:30-19:30
ゲスト建築家 : 芦澤竜一、五十嵐淳、石上純也、平田晃久
進行 : 倉方俊輔

■ U-30 開催記念シンポジウム II
2013年9月28日(土) 15:30-19:30
ゲスト建築家 : 谷尻誠、平沼孝啓、藤本壮介、吉村靖孝
進行 : 五十嵐太郎

【問合せ】
特定非営利活動法人アートアンドアーキテクトフェスタ

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