ワールドアーキテクツに掲載された建築記事(Current Reviews)を日本語に翻訳してご紹介いたします。今回は
チリアーキテツのレポートです。
闘牛場、サイロ、鐘楼、ほこら、イースター島の石壁、記念碑、あるいはピアノをカバーするビロードのような印象。今までこの土地には風土固有の洞窟しか造る事ができなかったが、今回我々は彫刻家マルセラ・コレアと共にこのAフレーム造の家の修繕にあたった。
Aフレーム造の家を森の中に建てるのであれば、内部をシンプルな白とし、家の土台となるように2つの傾斜するテラスを造るのが良いだろうと我々は考えた。外部に向かって開放された住宅の1階部分を端から端まで横断する小ぶりの黒い丘のようなテラスによって、 馬に乗ったまま家に入る事も可能だ。2階の小さな寝室はそのままに、寝室の上の屋根の頂上部分に見晴し台を設け、地面を見下ろしながら、近隣の丘 el Morrillo (こぶの丘)、 el Peine (くしの丘), los Tres Cuernos (3本角の丘)を望む事もできる。
60個の玄武岩を、マルセラ・コレアの提案したほぼ同位置に配置した。玄武岩の幾つかは、後に新しい白い内装に侵入させ、適応させることで、まるで新しい記憶のようにその場の空気のようなものとなった。
傾斜したテラスと、付近に散乱した岩によって、Roitharmer物話の中の、妹のために建てた円錐形の建物についての記述から連想されるような、大げ さ過ぎる程の感動が沸き上がる。トーマス・ベルナルドが彼の小説で述べたのとは反対に、アートと建築に相互関係はなく、この明瞭さ故にアーティストと建築 家が共通の仕事を的確に出来るのだということを、我々は表現した。アートと建築は、どちらかが背景の役割を担ったとしても、常に衝突するのだ。恐らくそれ は物理的、政治的また商業的に、同じ展示空間を占有するからであり、少なくとも、アートと建築の展示が同じ空間で入れ替わることで混乱を招くからである。
今回のプロジェクトでは、図面にほとんど時間を割かなかった。大工のマルセリノ・ロペスが図面の読み方を知らなかったのだ。我々が最も力を注いだのはディティールであり、このプロジェクトにとって最も適切な事は現場に何度も足を運ぶ事であった。
作品:Vivienda2008
場所:Vilches, Chile
建築家:Smiljan Radic
彫刻家:Marcela Correa
建設:Marcelino López
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