22 11月, 2009

西田司さんの中目黒「写真スタジオのある家」

オンデザインパートナーズを率いる西田司さんの「写真スタジオのある家」のオープンハウスに行ってきました。場所は中目黒駅から5分ほどの住宅地。

RC造の地上2階・地下1階の住宅で、敷地はかなり急な傾斜地なため、道路に面した部分を大きく掘削、1Fに見えるガレージや玄関は実はB1Fになります。ダークグレーに塗装された外観はシックに引き締まった印象です。
ちなみに右隣の住宅は同時に分譲された敷地に建つ、西田さんの先輩にあたるアーキテクトカフェ田井さんの設計だそうです(偶然!)

施主は写真家で、ガレージの奥に見えるのがスタジオの入り口。右に見えるのが住居スペースへの玄関です。床にはコンクリート用の浸透塗料アクアカラーが塗装がされていて、アクセントになっています。

スタジオの奥から。スタジオはエリア分けされており、手前は予備スタジオ、真ん中に大きなスタジオ、奥のロフトもスタジオスペースでトータルで90m2ほどあります。

床は全てコンクリートで、アクアカラー3色を使って塗り分けられています。左上に見えるのは居住スペースにある茶室です。

次は住居スペースです。玄関から2Fまでテラコッタブラウンの階段が伸びています。

1Fの踊り場。左は子供部屋、真ん中は茶室、右は主寝室。コンクリート、フローリング、畳、カーペットと様々な表情を見せています。

1F踊り場。天空の城ラピュタのように上の方に自然を感じたい、という施主のリクエストに応えた空中庭園。「この家において、木と開口はセットであり、どの部屋にも木の陰が、瞬間瞬間の光が落ちています」と西田さん。

子供部屋。

茶室に入るには一度階段を下りる必要があり、にじり口の役割をはたしているかのようです。

茶室。隣に小振りな部屋がもうひとつあります。

茶室から見るスタジオ。

2F、LDK。大開口からは中目黒の街並みと、遠くに電車をみることができます。

LDKをバルコニーから見る。左にキッチン、奥が水回りで洗面台をはさんで、右にパントリー兼洗濯室、左が浴室。浴室とキッチンの間のガラスに囲まれたエリアに屋上に上がる階段があります。

屋上階段。このスペースから1F・2Fの部屋の奥にも外光を取り入れることができます。

浴室から。

2Fのバルコニーから。木の成長と共に、様々な木の陰と光が楽しめそうですね。

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19 11月, 2009

エマニュエル・ムホーさんの講演会 「色切/shikiri」

東京ミッドタウンで開催されたエマニュエル・ムホーさんの講演会に行ってきました。「TOKYO URBAN LIFE 2009」のプログラムのひとつです。

「TOKYO URBAN LIFE」は"高感度な都市生活者のための多彩なイベント"と題して毎年様々なイベントプログラムを展開しています。

講演会のテーマは「色切/shikiri」。"色で空間を仕切る"というエマニュエルさん独自のコンセプトについて、店舗、オフィス、住宅、ブースデザインなど、作品の事例を交えてお話されていました。
「色切/shikiri」は、伝統的なふすまや障子、壁代や暖簾にインスパイアされ、日本古来のデザインを現代にも活かしたいという想いから編み出したもの。
意外にも、色を意識し建築やインテリアに取り込むようになったのは東京に来てからだそうです。石造りやモノトーンで統一されたパリとは違い、東京の建物や看板の重なり(レイヤー)が印象的で色で溢れた街が大好きになり、それから作品にも"色のパワーでエモーションを与えられる空間を作りたい"という想いで、カラフルな作品を生みだしているそうです。
「東京は色があふれていて、美しいと思います。皆さんもそんな目で東京の色や重ねを見ていただけたら嬉しいです」とエマニュエルさん。

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15 11月, 2009

開く家プロジェクト


アトリエ・ワン梅林克さん、河井敏明さんら建築家と阪急不動産による「ひらく家プロジェクト」が発表されております。それぞれ、街にひらく家、空にひらく家、庭にひらく家の図面や模型写真などを公式サイトにて公開しております。


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13 11月, 2009

unknown architecture


以前、ブログでも取り上げましたが、「水都大阪2009」に関連して国立国際美術館で行われた「平沼孝啓 建築展 unknown arachitecture」の詳細が別サイトにてご確認いただけます。展示された作品解説やボランティア主催のブログなどもあります。


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10 11月, 2009

納谷建築設計事務所の狭小「恵比寿の住宅」

納谷建築設計事務所が建坪わずか5.1坪の狭小住宅に挑戦した「恵比寿の住宅」プレスビューに行ってきました。
場所は広尾から数分、恵比寿にもほど近い昔ながらの住宅密集地。地上3階、地下1階をスキップで7層にしています。はじめから「狭小住宅に住みたい」という要望を持ったクライアントだったそうです。

ガレージでは左官作業の真っ最中で、内装も一部作業中でした。
敷地の南側は間口は4.3m、奥行きは約2mの横置きのガレージ(!)になっています。ここには旧型のFIAT500が納まると聞き納得しました。

敷地の前の道は2mしかないため重機が使えず、建材や資材などは全て人力で搬入可能な大きさと重さのピースにして運びこんだそうです。

玄関を入ると半地下の部屋が下に、階段を上がると1F、ではなくM1Fの水回りになります。

B1Fから玄関方向を振り返る。ここは将来の子供部屋。

M1Fから1Fのダイニングに上がってきました。上にキッチンが見えます。
この住宅は軽みぞ型鋼という450×75×4.5のパネル状のチャンネル材を連結して壁兼構造としています。パネルは錆止め塗料をそのままの仕上げにしています。

M2Fのキッチン。室内の幅は約3m。出来るだけ室内空間を広く取り、なおかつ3階建てにするにはこのパネルが不可欠だったそうです。手前に見える手摺は奥さまがちょこんと腰を掛けられるように太めにしてあります。

キッチンから2Fリビングを見る。右には下に支持のないテレビ台が据え付けられています。窓はパネルに合うように特注で製作、外付けにして出来るだけ開口を確保しています。

2FからM3Fを見る。3階建ての7層構造にすることで60m2を超えるように床面積を確保しました。

M3Fには天窓の付いた高さ3.3mのサンルームがあります。

3Fは寝室。こちらはパネル2枚分の大きさの特注窓を設置。

サンルームの横から非常にスリリングな階段を登って屋上に上がれます。この階段は3分割されたものを組み立てました。

当初屋上は予定になかったそうですが、建設中にこの眺めを気に入ったご主人のリクエストで屋上に上がれるようにしたそうです。正解ですね。

プロジェクト担当の相田さんを間に挟んで納谷学・新ブラザーズ。「今まで手掛けた中で一番小さい建坪の住宅でした。ミニマルな生活を望むクライアントのために余計なものを無くしパネル、床、ガラスだけの構成としました」

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海外建築レビュー Vol.1

ワールドアーキテクツに掲載された建築記事(Current Reviews)を日本語に翻訳してご紹介いたします。今回はチリアーキテツのレポートです。


闘牛場、サイロ、鐘楼、ほこら、イースター島の石壁、記念碑、あるいはピアノをカバーするビロードのような印象。今までこの土地には風土固有の洞窟しか造る事ができなかったが、今回我々は彫刻家マルセラ・コレアと共にこのAフレーム造の家の修繕にあたった。


Aフレーム造の家を森の中に建てるのであれば、内部をシンプルな白とし、家の土台となるように2つの傾斜するテラスを造るのが良いだろうと我々は考えた。外部に向かって開放された住宅の1階部分を端から端まで横断する小ぶりの黒い丘のようなテラスによって、 馬に乗ったまま家に入る事も可能だ。2階の小さな寝室はそのままに、寝室の上の屋根の頂上部分に見晴し台を設け、地面を見下ろしながら、近隣の丘 el Morrillo (こぶの丘)、 el Peine (くしの丘), los Tres Cuernos (3本角の丘)を望む事もできる。


60個の玄武岩を、マルセラ・コレアの提案したほぼ同位置に配置した。玄武岩の幾つかは、後に新しい白い内装に侵入させ、適応させることで、まるで新しい記憶のようにその場の空気のようなものとなった。


傾斜したテラスと、付近に散乱した岩によって、Roitharmer物話の中の、妹のために建てた円錐形の建物についての記述から連想されるような、大げ さ過ぎる程の感動が沸き上がる。トーマス・ベルナルドが彼の小説で述べたのとは反対に、アートと建築に相互関係はなく、この明瞭さ故にアーティストと建築 家が共通の仕事を的確に出来るのだということを、我々は表現した。アートと建築は、どちらかが背景の役割を担ったとしても、常に衝突するのだ。恐らくそれ は物理的、政治的また商業的に、同じ展示空間を占有するからであり、少なくとも、アートと建築の展示が同じ空間で入れ替わることで混乱を招くからである。


今回のプロジェクトでは、図面にほとんど時間を割かなかった。大工のマルセリノ・ロペスが図面の読み方を知らなかったのだ。我々が最も力を注いだのはディティールであり、このプロジェクトにとって最も適切な事は現場に何度も足を運ぶ事であった。


作品:Vivienda2008
場所:Vilches, Chile
建築家:Smiljan Radic
彫刻家:Marcela Correa
建設:Marcelino López


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08 11月, 2009

アトリエ・天工人の「YACHIYO」

山下保博さん率いるアトリエ・天工人のリロケーションプロジェクト国内第1弾「YACHIYO」のオープンハウスに行ってきました。
場所は葉山の森戸海岸のすぐ近く。島根県で廃棄されかけていた大正時代の蔵2棟分の軸組みをリロケートし、構造補強+断熱+調湿の機能を併せ持つ現代のパネルで包みこんだ住宅です。

外壁の仕上げはガルバリウム鋼板の一文字葺。この住宅の名前「YACHIYO」は長い年月を表す「八千代」からきています。

玄関扉は古民家の建具を再利用しポリカーボネートの板でサンドイッチしてあります。

中に入ると外光はかなり制限されており、淡い照明と古い木材の幻想的な空間が拡がっています。

1Fの奥から玄関方向を見る。手前側と柱を挟んで奥側は別の蔵の軸組みになっています。これらの古材は15tトラックで島根から運ばれて来たそうです。

照明は琉球ガラスを使ったオリジナル。

軸組みを包み込むのは厚さ59mmの高圧木毛セメント板。木毛には檜を使用したので研磨することで檜の風合いを表面に出しています。この素材は2003年の住宅「Floating Box」から使用しています。

1Fの床には上海の築80年の建築で使われていた古レンガが敷き詰められています。古木材の持つ力強さに負けない存在感から選ばれました。

左がキッチン、右のトイレのさらに右に浴室があります。

キッチンと収納は地松を貼り、弁柄の塗装。ちなみに左に見えるのはArchiworld社から刊行されている「PA」シリーズ、山下さんのモノグラフです。

キッチンからデッキスペースを見る。

トイレにはRが美しいモザイクタイル。

扉のマイナスビスまでもリロケーションされています!

階段、手摺の鉄骨はリン酸処理で使い古したような風合いを出しています。階段の左に見えるのは輻射冷暖房。

2Fの床には蔵の壁材を使用し、柿渋を塗り重ねているので時間が経つほど色に深みを増していくことでしょう。

二つの蔵の軸組は角度を付けて設置されているので、結合部分は柱や梁が複雑に組み合わさっています。

2Fから1Fを眺める。約5mの高さの天井から蛍のような明かりが吊り下げられています。

西側のデッキスペース。デッキは南側にも回り込むように設置。ここから西に50〜60mで森戸海岸になります。

8月8日のブログで紹介したゼロエミッション住宅「A-ring」でも使用したグリーンカーテンをこの住宅でも採用しています(まだツル植物は植えられていませんが)。

「"時間・環境・cross-culture"をキーワードに、100年以上前のものと現代のものを融合させ、価値を再構築した建築です。」また「今後も色々な文化を合わせて昇華させ、次の時代に持っていきたい。」と山下さん。

海もすぐ近くの最高のロケーションにリロケーションされました。

常に新しい素材・構法を模索し続けるアトリエ・天工人の最新刊、ディテール10月号別冊「アトリエ・天工人/素材・構法からの建築」は彰国社より発刊されています。(表紙の写真は同じく島根の古民家をエチオピアに移築したプロジェクト)

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