29 6月, 2012

「LOUD/SILENT 太田拓実写真展」+ 川辺直哉によるPRISMICギャラリー

東京青山のプリズミックギャラリーにて6月28日より開催の太田拓実さんの個展「LOUD / SILENT」のオープニングに行ってきました。


会場は川辺直哉さんによるデザインのプリズミックギャラリー。今年の5月に同ビル5階から1階に移転してのリニューアルオープン。

 エントランスからコリドールを抜け展示スペースへ。

 太田さんは多くの建築や、プロダクトの撮影するかたわら、自身のライフワークとして撮っている風景写真を展示。
テーマは「LOUD/SILENT」。人間や人工物の気配がどこまでいってもある日本の風景、その気配が消えそうな境界に存在し、風景の中の置き石のような人工物と自然の特別なタイミングで撮られた作品。

 種子島のロケット打上写真があるが、「ロケットの打上げという非日常を実際に見て感じ、写真に収めてみるということも写真家として大切かなと思い撮り始めました。行ってみると非日常の異物であるはずのロケットの打上げが種子島では不思議と調和しているように感じました。」と太田さん

 ガラス面には皆既日食時の奄美大島。中川ケミカルのインクジェット用透明フィルムC001Aを使用。

 ギャラリーのデザインについて川辺さんは、「ギャラリーでありながら通りに面しガラス面が多い、展示スペースとしては不利な状況ではあるが、それを利用しプリズミックの顔になるようにもできる・・・」

 「・・・しかし展示がないときは広い空間が空いてしまう。人が集まっていてもそうでなくても密度のある空間として教会をヒントに得た。左の板を積層した仕切りと奥の壁にプロジェクターで映像を投影することで祭壇のようになり、右のスペースは身廊をイメージして椅子を並べることで、展示のないときでも密度を与えることができます。」

 外から見たとき白い壁だけでは奥行きが感じられないため、杉板を各所に設え奥行き感を出した。


 地下は通常ミーティングスペースとして使用。

「このギャラリーにぴったりの作品を撮られる太田さんにできるだけ早い内に展覧会を開いてもらいたいと思っていました。」と川辺直哉さん (左)。
「それに答えられるテーマと作品を選んで展示できたと思います。」と太田拓実さん (右)

【LOUD/SILENT 太田拓実写真展】
日時:2012.6.28〜7.31
場所:プリズミックギャラリー


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25 6月, 2012

「JCDデザインアワード2012」公開審査

今年の受賞者が決定する「JCDデザインアワード2012」公開審査に行ってきました。

 場所は東京デザインセンターのGALLERIA HALL。

1次審査で選ばれたJCD BEST 100の中から受賞作を選出。
この最終審査の審査員は浅子桂英、飯島直樹、五十嵐太郎、小坂竜、中村拓志、橋本夕紀夫、平林奈緒美。

最後まで残った作品6点を前にコメントを述べる審査員たち。

協議の結果、宇賀亮介建築設計事務所の「まちの保育園」が大賞に選ばれました(パパデザイナーに押されていた?!)

審査員長の飯島直樹さん。「JCDデザインアワードはいつも世の中をストレートに反映します。5年前などはレストランが多く残っていましたが、今年はリノベーション作品など静かな日本を表しているような作品が残りました。中国など、海外からの応募も増えました」

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21 6月, 2012

建築金物・ロックメーカーのウエスト、有機的な造形が魅力の新ブランド、「UNICA」を発表

建築金物・ロックメーカーでおなじみのWEST(株式会社ウエスト)有機的な造形が魅力の新ブランド、「UNICA」を発表。

大阪ショールーム
「UNICA」は、WESTが昨年発表された suppose design office の建築家、谷尻 誠さんと JIN KURAMOTO STUDIO のプロダクトデザイナーの倉本仁さんがデザインを手がけられたWEST 3rd」に続く4つ目のオリジナル建築金物。WESTのオリジナルブランド建築金物は「Agaho」「gg」「WEST 3rd」「UNICA」の全4種類となりました。

今回発表された「UNICA」は、元々メーカー向けの既製品のドア用にデザインされていたものですが、WESTのオリジナルブランドとしても展開をし、デザインは大阪在住のイタリア人建築家である、ルイジ・ヴェラーティさんが手がけられました。

3種類の有機的なフォルムとドアハンドルでは初めての2色展開。
ブラック・シャンパンゴールド / パープル・シャンパンゴールド。


ポップかつヒューマンなデザインのレバーハンドルは、装飾的なデザインでありながら決して派手ではなく美しいディテールが優雅さを感じさせます
ハンドルを握った時に驚いたのは、見た目とは反比例するようにハンドル座を全く感じさせない手になじむデザインとなっていることです。ネーミングは「セロリ」「ハネ」「アリクイ」とイタリア人ならではの遊び心を感じさせてくれます。


Lever Handle 250「セロリ」
有機的なグリップ形状がよく手になじみ、野菜のセロリをイメージさせるレバーハンドル。
Lever Handle 251「ハネ」
製品開発中、"ハネ"というニックネームの付いていたレバーハンドル。繊細に変化するグリップの厚みにより、スマートなシルエットの中にも確かな操作感がうまれた。
Lever Handle 252「アリクイ」
力強く存在感のある造形とは打って変わり、心地よい操作感を提供するレバーハンドル
見た目と操作感のギャップや、グリップ部分の形状がアリクイの頭部を連想させる。

カタログデザインは、FUJIWAKI DESIGN のフジワキシンゴさん
当日は建築家・ルイジ・ヴェラーティさんにお話を伺うことが出来ました。
ヨーロッパではドアはとても大切な意味を持っていて、50年代までの建築家ならばドアハンドルまでデザインするのが当たり前だったそうです。『近年はドアハンドルにも種類が出てきたため、既製品の安い製品を使うことが増えてきた』とヴェラーティさん。ヴェラーティさんも以前はドアハンドルや取っ手など全てデザインし、自作で制作していたそうです。
ショールームに素敵な自転車が置いてあることに気がつきました。
尋ねてみると、ルイジ・ヴェラーティさんは事務所の1階をヴィンテージの自転車屋さんに改装し、オリジナルフレームも制作・販売されているユニークな建築家でした。






世の中にはものがあふれています。
オリジナリティを持ったものを生み出すことが
とても難しい時代だと言ってもいいでしょう。
そして、プロダクトからものの細部の美しさが失われていると思います。
少なくとも私には薄味すぎる。
だから、彫刻のようで、かつ派手ではない形の
レバーハンドルをデザインしたかったんです。
亜鉛という素材もこのデザインの決め手の1つです。
アルミでは若干軽いし、真鍮では重すぎる。
とても存在感を持ったハンドルが生まれました。
また、細かな部分ですが、ハンドルとドアを結ぶハンドル座を感じさせないという
WEST特有のディテールを、3つの商品すべてで大切にしました。
私は、機械には存在しない、
人間だけが持つ「技」や「努力」といった特徴を大切にしています。
だから、ボール紙に鉛筆でスケッチをする時間が、今でも一番楽しい。
ざらついた紙にあいまいな線を描きながら、
徐々に形をはっきりさせていくんです。
イタリアではドアは特別な意味を持っています。
ドアを開けることは、別の世界に入っていくことだからです。
その特別さの一部になるようなレバーハンドルでありたいですね。
                    ルイジ・ヴェラーティ

建築家・ルイジ・ヴェラーティさん




UNICA New Products Exhibition 2012
■ウエスト大阪ショールーム
場所:〒541-0042 大阪市中央区今橋4-3-22
期間:6/15-22 9:00~19:00 ※イベント期間中、無休
>>カクテルパーティー 6/15 18:00~20:00<<

■ウエスト東京ショールーム
場所:〒107-0062 東京都港区南青山5-11-15
期間:6/22-29 9:00~19:00 ※イベント期間中、無休
>>カクテルパーティー 6/22 18:00~20:00<<



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20 6月, 2012

塚田眞樹子による「Tunnel House」

塚田眞樹子 (Makiko Tsukada Architects) による東京杉並区の住宅「Tunnel House」を見学してきました。
敷地面積82m2、建築面積49m2、延床面積87m2。鉄骨造の2階建て。ひと2人と猫3匹のための住まい。


まず目を引くのがケーキナイフで切り取られたような"トンネル"。手前側から路地が続き、この場所がT字路の突き当たり。その突き当たりに建物が正対し圧迫感を与えてしまわないように、トンネルを空け街に抜け作った。確かにT字路であるはずが十字路の先から車が向かってきているようにも感じる。

トンネル部分はRC、モルタルで仕上げられており、何やらギザギザが見える。 建物のファサードはフレキシブルボード(繊維強化セメント板)

玄関を入ると鉄製のボックスがトンネルに挿入されるように設置されている。

上から見るとボックスの上部は抜けている。奥行き約12mのトンネルの片側は一部鉄骨で支えられているのがわかる。

中には寝室。「包まれているように寝られる感覚」とお施主さん。

奥から振り返る。ボックスの奥側は浴室だが上部は塞がれている。左はワーキングスペース。 

トンネンルの一番奥はガラス張りで小さな裏庭が浴室からも望める。南側の日だまりのため猫の格好の昼寝場所。
 
ワーキングスペース。包まれるようなトンネルを抜け、ここで一気に解放される。2階まで届く高さ4m近い開き戸が中庭を挟んで両側に設置される。 

中庭に植わるのはエゴノキ。

振り返ると階段下収納と奥にトイレ。


2階へ。

何とも言えない不思議な感覚の空間。トンネルとは通常内側しか利用しないものだが、ここでは内側も外側も利用でき、それぞれで面のベクトルが全く異なる。さらにそのトンネルそのものが屋内だったり、屋外だったり...

ガレージに見えたギザギザの正体。

宙に浮く2階フロア。床面には9mm厚の鉄板を張ったスチールプレートが8本のスチールロッドで吊られている。

ダイニングテーブルはステンレス。

テーブルの下を見る。テーブルの裏面は鏡面仕上げになっており視覚的に空間に溶け込むよう演出されている。


空間を広く取る為に筐体は鉄骨造。キッチンの壁につく扉は奥行きが10cmほどの調味料棚。この日お施主さんからは写真の鉄瓶で入れたお茶を戴いた。

ダイニングからはテラスを挟んでリビング兼ゲストスペース。ちなみに右のトンネル最上部は平らになっている。


床は鉄の素地のまま風合いの変化を楽しむそうだ。
施主はこの家に引越すにあたり、バルセロナチェアの革をインテリアに合うよう、わざわざ黒に張り替えるというこだわり。 

リビングの下を覗くとワークスペース、大きく乗り出せば当然滑り落ちる。
「この空間を歩きまわることで感じることができる気持ちよさが、この建築にはあると思います。」と塚田さん。

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