26 3月, 2016

佐々木龍一+奥村梨枝子による集合住宅「Modelia Days Nakanobu」

佐々木龍一 (佐々木設計事務所) + 奥村梨枝子 (ATELIER O) による品川区の集合住宅「Modelia Days Nakanobu」の内覧会に行ってきました。東急大井町線 中延駅から2分程の場所。

 敷地面積134m2、建築面積87m2、延床面積338m2。RC造4階建て。全12住戸の共同住宅。
不思議なスケール感に見えるのは、1階が数十センチ埋まっていることと、上階に行くに従って開口が大きくなっているためだ。

 人通りの多い商店街に面し、街に住まうことを積極的に受け止める住宅。
とは言え、セットバックした空地部分にはプランターを置いて、少し背の高い木を植えるそうだ。
(photo: Sasaki Architecture)

 スクエアをモチーフにした開口に合わせ、アプローチにもスクエアが。


 上の写真、突き当たりの開口から見たアプローチは、商店街から一歩入った路地のようだ。


 幾何学的な表情を見せる階段室。


 4階。ここにもスクエアのモチーフが。


4B室。約24m2のワンルームは各住戸とも大体同じ広さ。
キッチン手前はIHヒーター。


 造り付けのクローゼットを設え生活のきっかけになるようにした。

 スクエアの開口の向かいに偶然スクエアの開口。こちら側はサッシュが見えないような納まりに。


 二住戸にのみ設えた亜鉛メッキのフランジは街に対するリアクションであり、街を映し室内に取り込む、街とそこでの生活を媒介している装置ようだ。


 4C室。B室とは向きが異なるので玄関を開けると東側から光が入ってくる。


 こちらのキッチンには調理器具は設置せず、事務所利用やライフスタイルに対応できるようにした。


 埋め込みの器具がない分テーパーを取って軽やかな作業台ができた。


 造り付けのクローゼットがあるのは共通。


1B室から。

「ここは駅から続く商店街です。人通りも車も多く、目の前はコンビニで近隣の建物も迫っています。利便性を求めて住まう、或いは事務所を構える方むけになると思いますので、如何に街と共に暮らすか、この四角いファインダー越しに街を切り取って生活に取り込んでもらえたらと思います。」と佐々木龍一さん、奥村梨枝子さん

設計:S.A.A.O設計共同体
株式会社佐々木設計事務所(Sasaki Architecture) / 佐々木龍一 + ATELIER O / 奥村梨枝子
PRODUCE: 株式会社モデリア
施工:株式会社マゴメ工務店
建物管理:株式会社アルファーマネジメント&パートナーズ
施主:株式会社秀光建設



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22 3月, 2016

納谷建築設計事務所による中野の集合住宅「PROTO passo」

納谷建築設計事務所が設計を手掛けた集合住宅「PROTO passo(プロトパッソ)」の内覧会に行って来ました。場所は西武新宿線新井薬師駅から5分程の場所。
敷地面積144m2、建築面積101m2、延床面積397m2。RC造、地上4階。全8住戸。

 敷地間口は約6m、奥にいくに連れ約9mまで台形状に広がっており、且つ斜めに接道している周囲の建物は敷地に対してファサード面を敷地のどの角度を基準にするかで様々に向いているのが分かる。

建物の名称にあるパッソとはイタリア語で「ステップ、足音」という意味。大階段で2階まで上がり、その先の吹き抜け階段がさらに4階まで続いている。「奥行きのある細長い敷地であるため、前面道路から連続してヴォイドに導かれ、ヴォイドが自由に空間を導いていきます」と納谷学さん。
街と建物が連続しているようなイメージだ。
PROTO PASSOは納谷建築設計事務所が手掛けてきた集合住宅PROTOシリーズの3棟目に当たり、すべて近隣に位置している。

大階段の見返し。
デザインされた郵便受けがアクセントになっている。

階段の左右にそれぞれ部屋がある。


201号室へ。
見上げると吹き抜け状の共有部は半屋外空間だ。

201号室。玄関を入って直ぐの開口からは大階段の先まで見通すことができる。左側に見えるのはLDK。
壁はOSBに半透明の白を塗装し仕上げられている。壁の仕上げは各住戸で変えている。

202号室の壁はシナ合板。
目の前には小学校があり、グラウンドの木々が借景となっている。

3階は吹き抜けの階段室に浮かぶような渡り廊下を挟んで、筆者背後の301号室と、302・303号室が向かい合う。

301号室はメゾネットタイプ。壁はOSBにクリア塗装。

上階はダイニングキッチンとバルコニー。

302号室。杉板型枠の木目を現したコンクリートの界壁で303号室と隔てられている。
入居者は可動式の収納を自由にレイアウトできる。

ダイニングと寝室を分ける間仕切りとして使うことも出来るし、壁に寄せてワンルームにもすることもできる。


間口一杯の大開口。

玄関方向を振返る。303号室と空間を融通し合うため壁が折れ曲がっている。

303号室は開口側に外部大階段の上を利用した1.5層分の高さを有し、上にスキップしたロフトを持つ。間口2mの細長い住戸。

段差で生まれる多様な居場所。

2.5階部分。階段の上にキッチンが見える。

4階は401号室の一住戸のみ。北側斜線の屋根がいかにも影響ありそうな住戸、一体室内はどうなっているだろうか。

401号室。傾斜天井にはグラデーションのラグが張ってあり柔らかい雰囲気に。

黒系のグラデーションも(寝室)

三面採光で明るい。左はバルコニー。

1階には2室あり、こちらは102号室。木毛セメント板で仕上げ。事務所利用を想定している。

階段の下は駐輪場になっていた。

「このエリアはいわゆる画一的な一人暮らし用部屋がすでに飽和状態です。8住戸あれば、8通りの生活があるはず。この集合住宅には同じ部屋はありませんので、様々なライフスタイルを送ってもらえると思います」と納谷学さん。

建築:納谷学+新/納谷建築設計事務所
構造設計:かい構造設計
施工:江中建設 株式会社


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14 3月, 2016

MoMAで開催中の「A Japanese Constellation: Toyo Ito, SANAA, and Beyond」


3月13日よりニューヨーク近代美術館(MoMA)で始まった日本の建築家にフォーカスした展覧会「A Japanese Constellation: Toyo Ito, SANAA, and Beyond」のレポートが、japan-architects.comの姉妹サイトであるnewyork-architects.com担当のジョン・ヒルより送られてきましたので日本語にしてお届けします。
〈Updated 2016年3月22日、新たな会場写真を追加





・・・・・・

本展で紹介されている建築家は、伊東豊雄、SANAA(妹島和世+西沢立衛)、藤本壮介、石上純也、平田晃久。本展では、日本の建築家のあいだにある師弟関係や協働などの独特の関係性が、世界でも評価される建築を生み出す土壌となっているという考えをベースに、90年代以降の日本の現代建築の革新を紐解く。

タイトルが示す通り、展覧会の構成は、伊東豊雄、SANAAと、"Beyond"の建築家たち=藤本壮介、平田晃久、石上純也という括り。


ュレーションを手掛けたのはMoMAの建築部門キュレーターを2012年から2015年まで努めたペドロ・ガダーニョ。「A Japanese Constellation」の構想については、ガダーニョが2012年にMoMAのキュレーターになった際、一番最初に提案したものだったという。

コリドールにはスケッチがぽつりとひとつ。

スケッチ/伊東豊雄(2012年)。伊東豊雄を中心に、展覧会で紹介されている建築家たちとの関係性が描かれている。


コリドールを抜けると伊東豊雄の展示エリア。


吊された布が仕切りとなっている。布の反対側がSANAAと妹島和世の展示エリアだ。

写真のスライドショーはすべて布にぼんやりと投影させており、ドローイングと建築模型が目立つ構成となっている。

西沢立衛、藤本壮介、石上純也、平田晃久のエリアへ。

石上純也の展示コーナー。スペース目一杯に展示された模型たちは存在感がある。

展覧会全体としては、模型、ドローイング、写真など40点以上が展示されている。展示されている膨大な模型の中からいくつか紹介したい。


〈House NA 2007-2011/藤本壮介

本展の主役は伊東豊雄。「今回展示されているSANAAをはじめとする建築家たちは皆、彼の建築に対するアプローチから影響を受けています。」とキュレーターのペドロ・ガダーニョ氏。
〈多摩美術大学図書館 2004-2007/伊東豊雄建築設計事務所〉

広範囲にわたり、伊東氏が生み出してきた来た多様な建築を展示している。
〈瞑想の森 市営斎場 2004-2006/伊東豊雄建築設計事務所〉

〈台中メトロポリタンオペラハウス 2005-/伊東豊雄建築設計事務所〉

〈金沢21世紀美術館 1999-2004/SANAA〉

SANAA、妹島和世、西沢立衛、それぞれの作品がフィーチャーされているが、やはりSANAAとしてのプロジェクトがメインに展示されている。
〈グレイス・ファームズ 2012-2015/SANAA〉

大型の模型も展示されており、中をのぞいてスーパーミニマル建築の空間を感じることが出来る。
ツォルフェラインスクールドイツ2003-2006/SANAA〉

〈武蔵野美術大学美術館・図書館 2007-2010/藤本壮介〉

〈サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン 2013/藤本壮介〉

〈神奈川工科大学KAIT工房 2005-2008/石上純也〉

〈Tree-ness House, Tokyo, 2009-/平田晃久〉

壁には建築家たちの言葉が光る。
"I prefer soft objects to hard, curved lines to straight, ambiguity to clarity, spatial diversity to functionalism, and naturalness to artificiality." by 伊東豊雄

"Our works of architecture are generally open in character. We make them open because we want to build relationships." by SANAA 


 
"As an architect, I feel it is part of our profession to use space as a medium to express our thoughts." by 妹島和世


"Architecture has very broad repercussions. It is not only a private issue but also a social one." by 西沢立衛

"I wish to think about architecture freely; to expand my perspective on architecture as flexibly, broadly, and subtly as possible, beyond the stereotypes of what architecture is considered to be." by 石上純也

"As its form blurs, architecture will exist where, like a cloud, the boundary between inside and outside grows ambiguous." by 藤本壮介

 "I want to create an architecture that is ecological in the purest sense of the word. 'Tangling' is the term I prefer for it." by 平田晃久

左回りで見ていくと、最後の展示コーナーとして「みんなの家」に出会う。2011年の東日本大震災で被災した地域のために、伊東豊雄が中心となり複数の建築家たちが活動する復興支援プロジェクトである(本展でフィーチャーされている建築家たち全員が何らかのかたちで関わっている)。

【A Japanese Constellation: Toyo Ito, SANAA, and Beyond】
会期:2016年3月13日(日)~7月4日(月)
会場:ニューヨーク近代美術館

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