27 5月, 2016

藤村龍至による白岡ニュータウン「コミュニティーガーデン街区」

藤村龍至/RFAによる埼玉の白岡ニュータウン リフレの杜「コミュニティガーデン街区」を見学してきました。

 白岡ニュータウン リフレの杜は、埼玉県の新白岡駅東口に広がる第一種低層住宅専用地域で、総合地所株式会社が手掛ける約1300戸からなるニュータウンだ。今回の「コミュニティガーデン街区」は一番北西の分譲地で全5戸をRFAが担当した。
敷地面積171~247m2、建築面積53~74m2、延床面積96~132m2。

 白岡ニュータウンは約30年前に南側エリアより分譲が始まったが、一気に開発することで急激な人口増加による小学校や福祉、インフラの不足に陥らないように、市と協力しながら計画的に開発・分譲を進め、若い世代が定期的に流入するようにしてきた。30年前のエリアは子育てを終え、リタイヤする世代が増えてきたことから、新しいニュータウンのあり方をRFAでは提案した。


 覚えている方も多いと思うが、きっかけは2014年10月、東京ミッドタウンで開催された「MAKE HOUSE展」(主催:株式会社エヌ・シー・エヌ)


 ここで発表された藤村案が採用となり "SE構法” を使って実際に建てられたのが今回の5戸だ。
「MAKE HOUSE展」レポート記事

 敷地はかなりの不整形で、分割方法や向き、庭の取り方などを入念に検討した。


 現地には検討用の模型がズラリと並び、その検討プロセスが分かるようになっている。
手前は最初期で、同一方向を向き、6戸建っているのが分かる。

 各戸共に前庭を広く取り、庭兼用の駐車スペースを2台分確保。
接道からのアプローチは(敷地が50cmほど高くなっている)緩やかなスロープを設けた。

 他の街区は通り毎に色彩や外観意匠が異なるが、ここでは2色のグレーを用いて、落ち着いたモノトーンに。


 また全体的なデザインは建築家としての個性は出しつつも、抑えめの表現に “調整” されている。「MAKE HOUSE展」での段階では切妻屋根を提案していたが、この街では浮いてしまうことから寄せ棟を選択した。


 しかしよく観察すると藤村流が随所に見られる。
袖壁によって囲まれた設備スペース。


建物に回されたバルコニーとそれを包む深い軒。亜鉛メッキの手摺と笠木。

 柱を中心とした「田の字」プラン。(手前の子供室が二分割された場合)


 サッシュを隠した開口の納まり。


 などなど。


 9-7区画1階。LDはいずれも天井高が梁上約2,900mmと高め。


 各戸共、庭を二面持つが、9-15区画は前庭・裏庭の連続性が居室を通して感じられる。


その庭が本プロジェクトでは重要な要素。庭と街をからめたコミュニティーを模索するため、ランドスケープデザインに石川初が加わり、庭が繋ぐご近所付き合いの形が生まれた。
隣の庭とは境界をできるだけ低く、見通しを良くし、庭に出ればお隣と挨拶や会話が自然に生まれる。

 庭に張り出したデッキ(9-7・9-6区画)は整形にせず、凹凸にすることで囲みで座るようになりコミュニケーションしやすく、テーブルも置きやすくなる。正にアウターリビングだ。


 そして菜園(9-7・9-6区画)は積極的に庭へ出る切っ掛けとなり、野菜作りがさらにコミュニケーションを誘発するという。
またニュータウン内のリタイヤ世代が広めの街区から、こちらのコンパクトでスロープや菜園も付く住宅に住み替えしたくなるような仕掛でもある。

お隣と連続することで公園のような庭がつくり出す風景。アウトドア好きの人が集まって住むことになったらとても面白い街区になりそうだ。
「3.11以降の成熟期のニュータウンにおける住宅地のあり方として、単体の住宅のあり方を超え、コミュニティや防災意識の醸成を意図した現代的な住宅群像を目指しました。」と藤村龍至さん。

【白岡ニュータウン「コミュニティーガーデン街区」】
設計・監理:RFA(旧 藤村龍至建築設計事務所)
構造設計:NCN
外構デザイン協力:石川初
照明:tuki lighting office (吉楽広敦)
施工:イトーピアホーム

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23 5月, 2016

浅利幸男によるテナントビル「フィオラ南青山」

浅利幸男/ラブアーキテクチャーによる港区のテナントビル「フィオラ南青山」の内覧会に行ってきました。表参道駅から3分程、ポルシェディーラー脇の小道を入った場所。

 建築面積56m2、延床面積231m2。RC造、地下1階、地上4階建て。
4階には植栽が覗くバルコニーがある。

 まず目を引くのがファサードのデザイン。左から亜鉛メッキリン酸処理、竹型枠のコンクリート、オリジナル柄格子のスチール折れ戸。セットバックした空地はできるだけ平らな砕石を選んで敷き詰めた石畳。特定のブランドやショップにデザインを依頼されたものではなく、入居者不定のテナントビルだ。


 1階テナント。折れ戸の内側は同じく亜鉛メッキリン酸処理のスチールサッシュ。


 影もデザインの一部だ。


 「大変だった」という外部階段。凝ったデザインがされているため精度が出しにくく製作に時間が掛かったそうだ。
地下はオーナーのネイルサロンで、計画段階から入ることが決まっていた。

階段好きの方は実際に見て頂きたい。

 地下へ降り、振り返ると美しいカーブを描く造形が現れた。


 チーク材の手摺は捻りながら壁に沿っている。滑らかな手触りだ。


 階段の踏面は白い砂利を混ぜたコンクリートを研ぎ出し、端面を丁寧に切削した。


 ネイルサロン施術室。ドライエリアには植栽と光が溢れる。
漆喰と回り縁で高級感のある仕上げに。

 この後も何種類か出てくるが、今回浅利さんはコンクリートの表現を多数試みている。
右の壁はノロ残しされたコンクリート面と、仕上げられた面と対比させた意匠に。

 洗面所も。


 バックルームは2色の珪藻土を混ぜあわせて塗り込んだ壁とヴォールト天井。落ち着きのあるヘリンボーンの床。


 ワインケーブのような雰囲気だ。



重厚な外部階段で上階へ。

 3階テナントフロア。内部階段で4階と繋がる。
左の壁は木繊セメント板、階段正面が高圧洗浄、階段底面が打放し、天井が洗い出し、などコンクリート(セメント)の各仕上げ。これはあくまでもスケルトン状態だ。

 テナントなので入居者によって全て覆われてしまう可能性はもちろんある。スケルトン引き渡しだがそれでも浅利さんのアイデンティティーがここまでさせる。
ちなみに天井には “リタメイト” を使用した。型枠の内側に張るシートで、コンクリートの表面数ミリに未硬化層を形成し、剥離後洗い出し仕上げにできるそうだ。

 RCと鉄骨の混構造とした4階。開口には折れ戸は設えられていない。バルコニーにはオリーブのほか、ローズマリーなどのハーブ、多様な植物が植わっている。


 反対側は外部階段に接続する。亜鉛メッキリン酸処理の鉄板壁と玄昌石の床に囲まれた踊り場。




 外壁の竹型枠打放し仕上げ。


 そして把手デザインの数々。

  こちらは堀商店のレバーハンドル。



 浅利幸男さん。「依頼を受けたとき、我々がスケルトンのビルを設計するとはどういうことなのか考え、ユニバーサリティのあるいわゆる雑居ビルとしてではなく、街並みをつくり永く愛されるようなものを目指しました。それには工業製品の羅列ではなく、職人による手作業と、素材が持つ温もりが不可欠でした。各部のコンクリートの仕上げもこだわり、スケルトンとインフィルの間、両者の新しい付き合い方を模索しました。」


【フィオラ南青山】
設計監理:ラブアーキテクチャー 一級建築士事務所(浅利幸男、石毛正弘)
施工:アイガー産業


【関連記事】
龍泉寺納骨堂「八聖殿」

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19 5月, 2016

黒川智之による「大森の住宅」

黒川智之建築設計事務所が手掛けた東京・大田区の「大森の住宅」を見学してきました。

木造、地上3階建て、敷地面積95m2、建築面積57m2延床面積134m2
昔ながらの町工場エリアに建つ、工場付住宅の建て替えプロジェクトだ。1階はバネ工場、2、3階はオーナー住居という構成。

三方が住宅に密集して囲まれているエリア。

エントランスの引戸を開けると半屋外の階段室が現れる。左側の扉からは工場へアクセス。階段をあがって住居へ。


階段室を見上げるとぽっかりと空いた傘の開口部から空が見える。


階段をあがるとアプローチの奥が玄関。右の手摺壁は高めで隣家と視線が合わないように配慮した。このアプローチを半屋外的な空間にすることで部屋の拡張性を高めている。


住居の玄関。右側手前から、水回り、キッチン、リビングダイニングと続く。


リビングダイニング。天井高は2.3mと低めに見えるが、


片側が3階までの吹抜けで、一気に5mまでの高さが現れる。ハイサイドライトは3階のバルコニーに面しており、その上からはルーバーを設えたトップライトが見える。


2階バルコニー。バルコニーを通じて2階と3階を縦方向に連続させるアイディアは、北千束の集合住宅でも見られた。


傘がつくりだす軒下空間。


3階へ


階段を上がりきった廊下は予備スペースとして機能する。


手前は子供室、奥に主寝室。


主寝室。折戸の開口は吹抜けに連続する。


バルコニー


傘は家を守りながら、街の風景をさまざまに切り取る。




3階バルコニーからの階段室見下ろし。


一旦外へ出て工場へ。


工場奥から。搬入出のしやすさを考慮し、照明は天井に埋め込まれている。

黒川智之さん。
「施主はこの地域で長い間工場を営んでいます。時の流れと共に、住宅と工場が混在する地域の在り方も変わった今、住宅密集地に建つ工場付住宅はどのようにあるべきかを考えました。住宅密集地に見られるテラス形式の住宅に傘を被せることで、傘の中で工場と住宅が分断されることなく繫がり、立体的なひとつの屋外空間の中で共存できるような計画にしました。」


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