31 8月, 2016

河口佳介による「横浜 青葉の家」

河口佳介(K2-Design)による横浜市青葉区の住宅「横浜 青葉の家」の内覧会に行ってきました。

敷地面積300m2、建築面積118m2、延床面積150m2。RC造+木造、2階建て。
敷地は奥に向かって5m程の高低差があり、1階をRC、2階を木造にしている。

河口さん特有の上に傾斜する軒裏。屋根は非常に傾斜の緩い寄せ棟なので薄く軽い屋根が乗せてあるように見える。
建物ののRC部は杉板型枠仕上げ、2階はリシン吹き付け仕上げ。

3台分の駐車スペースと、接道からセットバックしているおかげでゆったりと建つ。前庭に小さいながらも植え込みを造作し、ファサードに表情を与えている。上はバルコニーと思われるが穴が空いておりハイノキが貫通している。


玄関ホール。1階は右に納戸と奥にトイレ、左には和室。1階はコンパクトで突き当たりの壁は土留めでもあり、その向こうは地中になる。


お施主さんはこの杉板型枠仕上げをどうしても採用したかったそうだ。
それに答えるように型枠の浮造りや、コンクリートの流し込みなど、丁寧な仕事が伺える。

和室。2日後に引越を控え、子どもたちが新居での生活を待ちきれないようだ。


和室は中庭に面し、アオダモがこれから子どもと共に育っていく。


階段を2.5mほど上がると2階に面した庭に出る。奥の斜面も敷地で、お施主さんはこれからどのように仕上げていくかを楽しみにしていた。


戻って、2階へ。左に主寝室、右は水回りとウォークインクローゼット、正面はLDKへ通じる。


主寝室。ちょっとした書斎スペースも設えてある。


主寝室と浴室は、表から見えたバルコニーに連続する。外壁によりプラバシーを確保しながら、採光と通気を得られる仕掛だ。

キッチンから見渡すおよそ40m2のLDK。
手前からダイニング、リビング、横長の収納家具、AVコーナーとエリアを緩く分けていくそうだ。

ハイサイドライトが全周を囲っており、軽やかさと開放感を醸し出している。
床、天井共にアフゼリアというモザンビーク産の材を使用。「サンプルだと結構赤みが強く見えるのでちょっと敬遠されがちですが、実際使ってみるとそんなことはなく、チークに似た堅く高級感のある仕上げになります。」と河口さん。

キッチンは、お施主さんの希望で昇降式レンジフードを採用し天井はすっきりだ。


LDKには3人のお子さんそれぞれの個室が並ぶ。


外周、各室全てがハイサイドライトで連続しており、どこまでも続くような奥行き感を生み出している。
ちなみに各室はガラスで仕切られている。



河口佳介さん(左)と、お施主さん一家。
「周囲に対してあまり大きな開口部を持たないシンプルな建物の中で、ハイサイドからの柔らかな採光と、その光でさらに深みを増す自然素材に囲まれた空間が住み手の生活を優しく包み込みます。」と河口さん。

【横浜 青葉の家】
設計監理:河口佳介+K2-Design(アーキテクツスタジオジャパン登録建築家)
施工:ASJみなとみらいスタジオ

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27 8月, 2016

エマニュエル・ムホーによるインスタレーション「今、ここにいるよ。」

9月下旬までMEToA GINZAで開催の「Space in Ginza - 銀座の中の宇宙」にて、エマニュエル・ムホー(Emmanuelle Moureaux Architecture + Design)のインスタレーション「今、ここにいるよ。」を見てきました。



会場は銀座の新しい顔、東急プラザ銀座(日建設計)内にあるMEToA GINZA(空間設計:窪田茂)。
「三菱電機のテクノロジーが、アートや伝統、様々な文化と結びつき、新しい価値をカタチづくっていく。ここにしかない発見や驚きを、多くの人に、見て、ふれて、体験してもらうための場所。」



 METoA GINZAは晴海通り側ではなく、銀座西5丁目交差点側にエントランスがある。

今、ここにいるよ。/ I am here
準天頂衛星の測位精度をモチーフとした、エマニュエルさんの100 colors シリーズ12番目のインスタレーション。
「準天頂衛星は、地球の上空40,000kmの高度から自分のいる場所(x,y,z)を、センチメータ級の精度で測ることができます。この、準天頂衛星の精度を美しく可視化し、親しみと感動を届ける来場者参加型のインスタレーション。銀座の雑踏をイメージした作品の中には、迷い込んでいる何かが存在しています。」

100色、18,000体もの女性のシルエット。その中に猫と小さな女の子が迷子になっている。

皆探している。 

 探す、


 探す、


 銀座を思わせる圧倒的な雑踏の中、、、


見付けた!
一つだけ見付けることができましたが、銀座を訪れた際は探しに行ってみてはいかがでしょうか。他の作家の作品もあります。
ちなみに迷子の位置は時々変わるそうです。

【Space in Ginza — 銀座の中の宇宙】
会期:2016年7月9日〜9月下旬
会場:METoA Ginza

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23 8月, 2016

中村高淑による横浜の「桜台の家」

中村高淑(unit-H 中村高淑築設計事務所)による横浜市青葉区の住宅「桜台の家」を見学してきました。東急田園都市線 青葉台駅から徒歩18分程の場所。

 敷地面積77m2、延床面積76m2。木造2階建て。
ビルトインガレージにはポルシェが納まり、2階には台形の大開口が目を引く。

 2階には半周、バルコニーが回っている。


ガレージの折れ戸と玄関扉を開けると1階の半分が露わになる。
実はこのポルシェ、ご主人のお兄さまの形見だそうで、この車が納まるガレージが第一条件だったとか。
ビルトインガレージ付き住宅を多く手掛け、ご自身もポルシェ乗りの中村さんに声が掛かった。

 当日は引き渡し。この家に初めて車庫入れをしたご主人はガレージに納まるポルシェを見て、お兄さまのことを思い出し涙を流したが、「今までで一番緊張した車庫入れだった。」と最後には笑った。
ひとの記憶と大切なモノを繋ぐ建築だ。

 ガレージのフロアはモルタルに顔料で着色し、タイヤ痕やオイルなどの汚れが目立たないように配慮。
右から収納、階段室、トイレ、洗面、クローゼット、個室と続く。

 個室は一部畳み敷きになっており、同居する奥さまのお母さまの部屋になる。


 階段室は鮮やかなロイヤルブルー。蹴込みには乳白の樹脂板がはめ込まれており、階段下のトイレの明かりが淡く透過する仕掛け。


 振り返ると格子状の仕切りが見える。上部にもハイサイドライトを設け階段室が暗くないように。
格子にはポリカーボネートの板が挟み込まれている。

 2階LDK。北側斜線に沿った片流れの屋根。西面と南面には天井までの大開口と、吹き抜けによる大きな気積、さらにデッキ張りのバルコニーにより空間が外部と連続し気持ちいい。


 大開口の先に見えるのは内井昭蔵による集合住宅の名作「桜台コートビレジ」。名建築と、そこに植わる桜を借景とするための大開口だ。
ちなみに開口のガラスは光や熱を選択透過・反射するLow-eペアガラスを採用しているので、見た目ほど暑さは心配ない。またこの後バーチカルブラインドを付ける予定。

 1970年竣工の桜台コートビレジはいわゆるデザイナーズマンションの先駆け的存在。雁行しながら各住戸は南西面を向いているので、こちらへの視線は殆どない。(良好な周辺環境からいまだに空き待ちの人気物件だそうだ)


 階段室の仕切りは飾り棚になっており、ご主人のミニカーコレクションが並ぶ予定。
梁の上には間接照明が設えてあり天井を照らす。
床はパイン材、建具や天井はシナ材。

 キッチン側(西面)を見る。キッチンの背後は水回り、キッチンからも浴室からもバルコニーへ出られ、物干しも容易なよう家事動線を集約。手前には黒皮ままの鉄製階段がロフトへ伸びる。


 ロフトはご夫婦の就寝スペースに。



中村高淑さん。「桜台コートビレジは学生の頃、集合住宅の課題で調査に訪れたことのある思い出深い建築です。その目の前に住宅を設計するとはまさか思いませんでした。」「この敷地は築15年ほどの古家付きで売りに出されていました。リノベも検討しましたが最終的には建て替えとなり、僅か15年ほどで解体される住宅に心が痛みましたが、この住宅は眼前の桜台コートビレジのように長く愛される建物になってくれたらいいですね。」

【桜台の家】
設計監理:unit-H 中村高淑築設計事務所、カザニエ 一級建築士事務所
構造設計:吉田一成構造設計室
施  工:親松工務店


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22 8月, 2016

カヌチがインテリアを手掛けた「Nentrys office」

木下陽介+野口優輔率いるCANUCH Inc.(カヌチ)がインテリアを手掛けたネントリーズ株式会社の「Nentrys office」を内覧してきました。場所は渋谷区笹塚の駅前に建つオフィスビルの4階と、7階の一部。ネントリーズ株式会社は、商用車の買取・販売を行う「トラック王国」の運営を行っている会社である。今回首都圏にあった2拠点の統合に伴う移転プロジェクトとして依頼された。

エレベーターを降りてまず正面に現れるのは、大きく弧を描く壁面と白く光るロゴマーク。759㎡のオフィスのちょうど中心にあり、ここから東西に空間が伸びる。ITや広告会社のようなクールさを放ち、車の買取・販売業界では異色と言えるオフィス。その見た目から、入居当初はカフェに間違えられることもあったという。


従業員数160名、平均年齢33歳。元々インターネット広告をあつかうベンチャー企業として始まった会社で、トラックを扱う事業にシフトした今も、"人ありき"という姿勢を変えることなく、その固定概念にとらわれない柔軟な考え方が新オフィスにも現れている。


円弧の内側はセミナースペース。
階段状の椅子を使えば、大人数でのミーティングやパーティーを行うことができる。このスペースが動線の中心にあることで、従業員同士の活発なコミュニケーションが生まれる。


そしてその外円と営業部との境に設置されているのはバーカウンター。
夕方から夜、業務を終えた社員が自然とオフィスの中心(円)に集まってくる。その交流の場所はエントランスからも見えるようにし、来訪者に社風を感じとってもらえる仕掛けにした。
カウンターも同心円を描いているのがわかる。


酒瓶がディスプレイされている棚越しに営業部エリアが見える。


営業部。
あたらしくデザインされたオフィスによって、部署間を越えた関係がさらに強まり、業績もアップしたという。


バーのある外円の延長線上には8人掛けの会議室。
「空間を視覚的に遮断せずに、なるべく全て見通せるように」という要望と、「会議室はしっかりとセキュリティを高めたい」という要望両方を、レイアウトとガラス間仕切りへ加工したフィルムのグラデーションで解決した。




中心のセミナールームに戻り、反対側へ。


6人掛けの会議室。


リラクゼーションスペース。
酸素ボックス、マッサージチェア、昼寝ができる畳の間、、、社員が新オフィスに欲しいと言ったものを社長がすべて叶えてくれたそうだ。パーティションのあるシートは、プライベート感覚で寛いだり飲食もできるスペースとなっている。
(photo:Kenji Masunaga)


酸素ボックス。
短時間で疲れを回復できると従業員にも好評。


畳の間。
主にランチタイムの昼寝や読書をする場として活用されている。畳の間の奥には総務部。


対面に12人掛けの会議室。


GLAS LUCEのマジックミラー。
プレゼンテーションの際には、画面が美しく浮かび上がる。


ミーティングテーブル。
脚は鏡面で浮遊感を演出。内部は収納スペースになっている。


 7階、308㎡のスペースに海外事業部が入っている。


ミーティングルーム。


リフレッシュエリアに設けられたハイカウンターからは、街が一望できる。

「ネントリーズ株式会社は社内イベントや部活動が盛んで、統合前から部署間を越えた関係が既に出来ていました。社員一人一人がよく見える透明感がある社風です。その関係性をより高めるため、オフィスの中心にはリラクゼーションスペースやバー、セミナースペースを集約し、あえて動線上に絡めたレイアウトにしました」と担当の野口さん。


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