6月30日(金)まで開催の、東京建築士会主催「住宅建築賞 2017 入賞作品展」と、初日に行われた入賞レセプションを見学してきました。
会場は東京京橋のAGC studio。入賞作品5点中3作品を当ブログで取材したことがあるので、レセプションではどのようなやり取りが見られるか非常に楽しみだった。
4年間審査委員長を務めた西沢立衛に代わり、今年の審査委員長は乾久美子で、応募のテーマは「希望のある住宅」。
その主旨について乾さんは「住宅は、住まい手が環境を選びとり、建て、住まうといった一連の行為の総体として現れるものだと思います。それは生きることと同義となるぐらい迫力のあるものだと思います。また、建てることとは 希望をつかみとるような行為なのかと思います。」と明記している。
賞の応募総数は昨年の1.5倍の97点。1次審査の後、現地審査作品5点が選ばれ、それを審査員全員が1日で回るのだが、その際チャーターしたバスの運転手の拘束時間に関わる法律があり、法定時間内に全て回らなければならないという前提がある。
〈住宅建築賞 金賞〉 桃山ハウス/中川エリカ(中川エリカ建築設計事務所)
5年ぶりに選出された金賞だ。
5年ぶりに選出された金賞だ。
「衝撃的な問題作であると言って良いのではないか。同時に全体をつらぬくポジティブなメッセージに満ちている。そのことが放つ『希望』のようなものに金賞の軍配が上がった。」(平田晃久)
「若い建築家の破天荒な設計に老後のより所を託すあたり、世代特有の熱い意思と批判精神を持つ施主だと思われる。精神の解放を求める意思のようなものが、施主と建築家との間で強く共鳴したのではないだろうか。ここに一種の『希望』を感じないわけにはいかなかった。」(乾久美子)
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〈住宅建築賞〉 TRANS/駒田剛司+駒田由香(駒田建築設計事務所)
「小さなスペースが、隙間を介して分かたれつつ繋がり、変化のある流れや場所の豊かさをつくりだしている。建物の間口いっぱい、前遠くに細長い吹き抜けを設けたのが肝である。」(平田晃久)
「小さなスペースが、隙間を介して分かたれつつ繋がり、変化のある流れや場所の豊かさをつくりだしている。建物の間口いっぱい、前遠くに細長い吹き抜けを設けたのが肝である。」(平田晃久)
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〈住宅建築賞〉 辰己アパートメントハウス/伊藤博之(伊藤博之建築設計事務所)
「建築躯体のもつ物質的な強度を通して都市に棲まう可能性を問う作品。断面寸法の変化する柱・梁によってまちの風景や日光との関係性が強調され、積層された室が変化する。」(金野千恵)
「建築躯体のもつ物質的な強度を通して都市に棲まう可能性を問う作品。断面寸法の変化する柱・梁によってまちの風景や日光との関係性が強調され、積層された室が変化する。」(金野千恵)
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〈住宅建築賞〉 Around the Corner Grain/佐野哲史(Eureka)・高野洋平+森田祥子(MARU。architecture)
「丘陵地の集落のような新鮮な経験をつくりだしている。多様性を獲得するための手段が多数投じられ、それにより多様な種類のユニットを生み出し、賃貸不動産としての価値を上げることに成功している。」(乾久美子)
「丘陵地の集落のような新鮮な経験をつくりだしている。多様性を獲得するための手段が多数投じられ、それにより多様な種類のユニットを生み出し、賃貸不動産としての価値を上げることに成功している。」(乾久美子)
〈住宅建築賞〉 いえ と そと の いえ/萩野智香(萩野智香建築設計事務所)
「家の内にもうひとつ家が入れ子状に入っていて、その内の家の周りに室内化された庭ができる。全体におおらかな構成が良いが、3階にこどもが飛び降りる1mの段差がある。このようなギャップが『家』と『庭』の間で生まれていたらどんなに『希望』が感じられただろうか。」(青木淳)
「家の内にもうひとつ家が入れ子状に入っていて、その内の家の周りに室内化された庭ができる。全体におおらかな構成が良いが、3階にこどもが飛び降りる1mの段差がある。このようなギャップが『家』と『庭』の間で生まれていたらどんなに『希望』が感じられただろうか。」(青木淳)
AGCスタジオ2階で、入賞作品展オープニングレセプション。恒例、レセプションという名の事実上の講評会。
前列左から中川エリカ、佐野哲史、伊藤博之、萩野智香。後列左から森田祥子、高野洋平、駒田剛司、駒田由香の各氏。
審査員の感想や疑問点など聞き入る受賞者。ここで審査結果が変わるわけではないが、受賞者の熱い思いから議論になる場面もある。
審査員の感想や疑問点など聞き入る受賞者。ここで審査結果が変わるわけではないが、受賞者の熱い思いから議論になる場面もある。
前列審査委員長の乾久美子と青木淳。後列平田晃久と金野千恵の各氏。
乾さん「希望というものが、荒々しさと共に見えることに驚いた。思わぬところに転がっているのだと。頭で考えることではなく、自らが突入する事で見えてくるのだろうか。」
青木さん「今ある状況が当然のことではない、ということを教えてもらえたら嬉しい。」
平田さん「中川さんの作品はクリティカルに振れている。歴史的に秩序だった時代の後、バラバラにする時代があるがそれは歴史的を変えるチャレンジ。今回は過渡期のチャレンジと勇気に感動した。」
金野さん「住宅に不変性を求めがちだが、このような構築の方法もあるのだと見せてもらうことができた。私自身大変勉強になった。」
※来年も同じメンバーで審査に挑むとのこと。
※来年も同じメンバーで審査に挑むとのこと。
【住宅建築賞 2017 入賞作品展】
会期:2017年6月21日〜6月30日
会場:AGC studio(東京都中央区京橋2-5-18 京橋創生館)
詳細:www.agcstudio.jp/project
会期:2017年6月21日〜6月30日
会場:AGC studio(東京都中央区京橋2-5-18 京橋創生館)
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