26 9月, 2009

廣部剛司建築研究所の「上野毛 T」

廣部剛司建築研究所の「上野毛 T」のオープンハウスに行ってきました。場所は世田谷区の上野毛・等々力から10分ほどの住宅街。南側には大きな松畑が広がり、傾斜地になっています。

落ち着いた外観。2台分のガレージと左側が玄関ポーチで、ここがRC造のB1Fとなります。上から竹が覗いています。

ポーチから数段下がり玄関になります。上には天窓が開けられており、これでガレージの奥に位置する玄関前が明るくなります。

玄関に入ると天井まであるタモ材でできたシューズケース。
様々な材質が見えますがとてもバランスがとれています。

B1Fのワークスペース。ガレージに向かって開口しており、ここから愛車のアルファロメオを眺めることが出来るそうです。

1Fに上がるととても気持ちの良い空間が広がります。
左にDK(約11畳)、正面に全面開口のテラス。

右にはスキップフロアで50cm上がった約15畳のリビング。その下はガレージになります。空間の"抜け"を保つため壁ではなくブレースが大きく見えますが、手すり、階段のスチール部分としてひとまとまりのアクセントを成しています。また(黒ではなく)茶色に塗装されているのであまり重くならないようにしています。

さらに右を見ると坪庭が。外から見えた竹はここに植えられています。坪庭の手前には玄関ポーチに見えた天窓があります。

軽く見せる工夫が随所に見られます。

1Fの気持ちよさはこの"抜け"からくるようです。坪庭やテラスによって中と外が曖昧になることで広さを感じ、また外(自然)も感じることで原始的な感覚を呼び覚ましてくれるような暮らしの提案をいつも心がけているそうです。

1Fリビングの窓。南の松畑は見事な借景となります。くっきりとトリミングされて見えるのは、サッシュを外付けし室内からは見えないような工夫によるものです。

DKからテラスに同じ床材を使い曖昧さを演出。リビングやその他の床はウォールナット材。壁や天井は珪藻土。

キッチン。とても多くの収納が据え付けられています。

模型の右奥が北東になります。高度斜線をクリアするために北側に坪庭をとり、東側を一段下げてスキップフロアが生まれました。

2Fの寝室。35cm上がり、4面に大小の窓があり明るいです。ここは2人のお子さんのために将来2部屋に改変される予定です。奥は主寝室になります。

こちらは2Fのトイレからの眺め。

廣部さん自らが一番のお気に入りの場所でお話を聞くことが出来ました。
「いつも自分でも住みたいと思う家を設計します。」
20代最後の年に8ヶ月におよぶ世界の建築を訪ねる巡礼の旅に出た廣部さん。旅を終え、自分のなかに既に持っている「和」を自然に表現できるようになったそうです。

その旅の様子を綴った廣部さんの著書「サイドウェイ 建築への旅」はTOTO出版より発刊されています。

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