23 7月, 2011

野井成正によるリノベーション, 中川ケミカル「MATERIO base.」

カッティングシートでお馴染みの中川ケミカルの新たな展示スペース「MATERIO base.」。この建物のリノベーションとオープニング企画展「外から中中から外」を野井成正さん(Shigemasa Noi)が手掛けました。

築30年、三角形のようなL字形の平面をした5階建て。1階はギャラリー「yoluca」、2階は「SABI BAR」、3階は「SABI no 間」、4〜5階はラボ。

階段の位置を表に面するように付け替え意匠に。「MATERIO」のロゴが行灯で浮かんでいます。

オープニング企画展「外から中中から外」は、4月に大阪にオープンした中之島デザインミュージアムの開館企画展「野井成正の表現 -外から内へ/内から外へ」(当ブログ2011.6.11参照)と共通のテーマ。

エントランスから。 1階「yoluca」

壁面や床は丁寧なモルタル仕上げ。空間を囲うのは野井さんが考案した金具で組まれた間伐材によるインスタレーション。
「中之島とは全く性質の異なる狭小変形空間の中で、そのシステムキットの再構成が試みられます。無駄な要素をそぎ落とし、モルタルと鉄錆そのものの素材感を生かした空間に、構造が成立する最小限のキットを組み入れ出現する第三の空間。この展示では、人間の"空間に対する感覚"を刺激する一つの試みを体験していただけるでしょう。」 (公式サイトより)

テーブルには野井さんデザインのお香立て。アルミの鋳造や削り出し、ガラス、木、様々な素材。

2階へ。階段が"中から外" "外から中"の状態になっていますね!

2階「SABI BAR」。この「SABI」は中川ケミカルの商品MATERIOシリーズの「TETSUSABI」シートをインテリアに使った空間。

3階「SABI no 間」。ここはもっと大胆に全面TETSUSABIシートを使用。鎮座するテーブルと椅子は工芸家小沼智靖さんによるオリジナル。

壁を開けるとそこには100本はある焼酎コレクション。

そしてもう一面の引き戸の奥には蕎麦打ち台が。 焼酎と蕎麦、合いますよね。

次に大通りを挟んでほぼ向かいにある中川ケミカルのCSデザインセンターへ。1階の駐車場にはTETSUSABI仕様のワーゲンバスが。

近くで見ると錆そのもの。それもそのはず、本当の錆びた鉄粉を特殊な技術でシートに固着させたもの。お問い合せは写真の電話番号までどうぞ。

3階では「MATERIO」シリーズを使ったサダヒロカズノリさんによる展覧会「古今 graphics!」(会期:2011年4月26日〜9月3日, 会場:CSデザインセンター)

このCSデザインセンターは中川ケミカルのショールームであり、商品発信の場。インテリアは2007年にエマニュエル・ムホーさんよって手掛けられました。

5階では多くの聴衆を集めて野井さんと内田繁さんのスペシャルトーク。多岐に渡るお話をナビゲートするのは笈川誠さん。自由すぎるお二人のトークはとても楽しかったです。

トーク終了後MATERIO base.に戻られ喉を潤す野井成正さん。「きょうは楽しい夜です」と終始ご機嫌でした。

【MATERIO base. オープニング企画展「外から中中から外」
会期:2011年7月21日〜9月30日
会場:MATERIO base. 1F, 2F

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21 7月, 2011

納谷建築設計の「岡本の住宅」

納谷建築設計事務所による「岡本の住宅」のオープンハウスに行ってきました。

敷地面積132m2、建築面積50m2、木造2階建て。

ファサードは焼いた杉の上にさらに塗装したもの。給湯器やガスメーターまで同色に塗って、建物の塊感を損ねないように。

玄関から。1階には3帖、4帖、6帖の和室が3室。

玄関から右の和室。ここは子供室ですが「子供も畳で生活して欲しい」との施主の希望だったそうです。

子供室の隣に6帖の個室。そして障子の外は縁側と低い軒。

外から見るとこのような縁側。軒の高さは1.4mで、座ったり寝ころんだり専用。奥でかがむのは担当の滝沢さん。

玄関に戻り2階へ。あみだくじのような書棚が見えます。

書棚は階段室の3面を囲いながら上まで。さらに上にはトップライト。ここは単なる図書スペースではなく、読書も出来るように光は優しく放射状に注がれる工夫に。

2階LDK。一文字の開口から世田谷の景色が一望。

壁や天井のシナには薄く白を塗装。


窓際は低くした1階の軒の上に当たるので、2階でありながら床下収納が可能。

その収納スペースは、ほぼ建物の幅一杯に。


ドアは180度開閉にするためこんな凹みが。

バスルームは2階にありながら浴槽が埋め込み式に。そうです、ここも軒の上のスペースを利用しています。

「小さく区切り、低く抑えた1階。象徴的な階段室を通り、天井も高く開放的な2階へ。この高台の敷地を選ばれた施主にここならではの変化のあるプランを提案できました。」と納谷さんと、滝沢さん。

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19 7月, 2011

「家の外の都市の中の家」ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展帰国展 レポート

7月16日から東京オペラシティ・アートギャラリーにて始まった「家の外の都市(まち)の中の家」は、2010年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展での日本館の帰国展。開催前日オープニング・プレス内覧会に行ってきました。


サブタイトルは「Tokyo Metabolizing」。絶え間なく代謝、生成変化を続ける生命体のような都市、東京。

展示室に入るとまずパリとニューヨークの航空写真。パリは19世紀半ば帝政の強大な権力下でコントロールされた都市空間。ニューヨークは20世紀初頭の巨大資本がその力を誇示するようにスカイスクレーパーが立ち並んだ都市風景が形作られた。

対面に映し出される代謝を続ける東京の様子。その中心部では都市間競争を受けた資本によって変様が継続。一方中心部周辺の住宅で埋め尽くされた地域は、中心部とは異なる原理によって活発に変化を続けている。

先に進むと大きなオレンジ色の塊が。アトリエ・ワンの「ハウス&アトリエ・ワン」。 1/2サイズの自邸兼自社アトリエ。




こびとが出てきて、今にも生活をはじめそうな空間。

小さなトンネルを抜けると次に西沢立衛の「森山邸」。大小のユニット空間が小気味よく配置された6戸の集合住宅の1/2模型。





西沢立衛さん。「ヴェネチアで展示したものより少し大きいので、路地に入り込んで実際に散策してみてください」

最後に圧倒的な北山恒の「祐天寺の連結住棟」。周囲の住宅地を正確に作り込んだ巨大な1/20模型。


都市(まち)のなかにうまれた新しい共同体の様子がよく分かる。

複雑な外観で構成され、なかなか一つの集合住宅には見えない作品。

北山恒さん。「巨大な模型を壁面に立てることで、引きでも寄りでも変化をもって見てもらえます。」

コリドールではあたらしい都市のかたちや、ありかたをパネルで紹介しています。

※塚本さん&貝島さん(アトリエ・ワン)は残念ながらタイミングが合わず撮影が叶いませんでした...

【家の外の都市(まち)の中の家】Tokyo Metabolizing
第12回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展
会期:2011年7月16日〜10月2日
会場:東京オペラティ アートギャラリー


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