29 8月, 2011

岸本和彦による「Wind-dyed House / House-T」

岸本和彦さん(Kazuhiko Kishimoto/acaa)による住居兼ゲストハウス「Wind-dyed House / House-T」のオープンハウスに行ってきました。葉山御用邸にほど近い相模湾に面した高台にあります。
通りからは平屋に見えますが、傾斜地に建つ3階建て。

敷地面積は454m2、延床面積は261m2。地下と地上1階がRC造、2階部分は鉄骨造。

軒下には雨落ち石。車が入れるように瓦が埋め込んであります。

エントランス。格子の中に見える太めの材は屋根を支える無垢の鉄骨で、ぐるりと建物の四方を囲んでいる。

玄関。窓は和紙柄のワーロンで目隠しをしながらも光を透過。その外側にガラス、そして格子。

玄関を上がると強烈な逆光。

全面開口から三浦半島、伊豆半島まで相模湾の大パノラマ!

ダイニング。アイランドキッチンが浮いているのが分かる。




格子戸は雨戸(可動)ですが、台風などの暴風時には1枚当たり1t近くの風圧が掛かることが分かったそうです。屋根にも押さえつける力と、浮き上がる力両方が掛かるため、75角の無垢の鉄柱を1間ピッチで使い、軒を支える垂木も鉄材です。因みに鉄材は亜鉛メッキにリン酸鉛処理で防錆。

右から網戸、ガラス戸、そして雨戸はそれぞれ5枚あるので引き戸は計15枚。

表のデッキは8段のステップに。この傾斜が1階室内の演出にも一役。

デッキの中央にはスタジアムのゲートようなデザインで1階からの出入りができるように。ただし防犯上外からドアは開かないようになっている。

玄関の脇には下層へ降りる階段と収納。「どのノブを使って開けるか分からないでしょう?」と岸本さん。収納左下のガラスは下にあるミニキッチンへの採光。




階段を下りきる前。デッキの傾斜で開口を低くし、さらに障子を使い淡く包み込むような空間に。

上階とは異なるしっとりとした空間。 ここからは樹木越しでないと海は見えません。

中央は寝室へ。 右は和室や水回り。

和室。

寝室にはミニキッチン。その右は地下へ。窓の外には法面が見えています。

水回り。

浴室の引き戸は全開にすることが可能。



1階の外側はバルコニー。

地下は一部荷物が搬入されていたこともあり当日は入室禁止でしたが、許可を得て撮影。クローゼット、ワインセラー、倉庫、ホビールームとして使うそうです。とても暑い日でしたがこの部屋だけはひんやりと。

ご主人のホビースペース。ロッド(釣り竿)を自作されたりもするそうです。

2階へ戻り雨戸を閉めさせてもらいました。西日が入り始めていたので閉めると随分涼しくなる。






「施主からは"汽水域を大切に"と頼まれました。真水と海水が混じり合う水域のことですが、境目無く混じり合うような、日常と非日常の同居、多様性というメッセージです。多様性は、居場所の空間スケール、開放性と閉鎖性、明るさと暗さ、ウエットさとドライ、地形の変化による目線のズレを軸とした異なる質感で表現できました。」と岸本さん

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