28 9月, 2011

アルヴァロ・シザ UIAゴールドメダル表彰式。SANAA特別講演 レポート

「UIA2011 TOKYO」(UIA2011東京大会:第24回世界建築会議) 2日目、様々な展示の他に表彰式、講演会、成果発表会、シンポジウムなどが行われています。SANAAによる特別講演と、アルヴァロ・シザがUIAゴールドメダルを受賞した表彰式の様子をレポート。
[Awards Ceremony: UIA Gold Medal/Alvaro Siza] & [Special Guest Lecture/SANAA] Report

SANAA特別講演のテーマは「環境と建築」。妹島和世さん(Kazuyo Sejima/右)と西沢立衛さん(Ryue Nishizawa/左)。

「建築をつくると言うことは、環境をつくると言うこと」建築が周辺環境とどのような関わりを持ちながら設計を進めたかを近作を例にしながら解説。写真は2012年12月に竣工予定のルーヴル美術館別館「ルーヴル・ランス」

「ルーヴル・ランス」はパリに様々な機能が集中しているのを避け、こういった美術館の別館を地方に設けるなどして、地方も活性化させようという政策によるもの。

お二人が全くかぶることなく、小気味よく話されてるのが印象的でした。

本日 (9/27) 最後のイベントは表彰式。

壇上右側が各賞の受賞者。

坂茂さん (Shigeru Ban/中央) も受賞者です。

【オーギュスト・ペレ賞:建築技術の応用】 受賞の坂さん。講評:「坂茂は、建築技術の可能性を駆使し、裕福層のためだけでなく、災害救援のために紙管と膜を使った避難所の創造的探究をしていることで国際的な敬意を得ている。そしてその創造を機能や美観を妥協することなく行っている。」

そして【UIAゴールドメダル】 。過去9人の受賞者のうち日本人は槇文彦さん (Fumihiko Maki) と、安藤忠雄さん (Tadao Ando)。

UIA会長ルイーズ・コックス (Louise Cox) よりメダルを授与されるアルヴァロ・シザ (Alvaro Siza) 。
講評:「アルヴァロ・シザの作品はどんなカテゴリーにも属さない。彼の作品と認識はできるが、それぞれの建物は異なっている。彼の建物を同じように複製することはできないが常に若い建築家の模範になるといえよう。彼の活動は流行に左右されることなく、1975年以降の「建築家」として職責に立ち向かう不断の挑戦をしながら21世紀へ続いている。」

「私の建築は異端として評価されないこともありました。しかし私の建築を理解し愛してくれる方々に支えられ今日を迎えることが出来ました。」とシザ。






表彰式の後少し休憩し、シザによる講演がありました。 「講演の前にお話しておきたいことがあります。先の大地震で甚大な被害を受けた日本をとても心配しました。来日し日本の皆さんが力を合わせ前向きに進んでいく姿みて感動し本当に敬意を表します。一刻も早く復興できることを心より願っております。」

スペイン屈指の世界遺産、アルハンブラ宮殿 (Alhambra) の新レセプション施設の設計について非常に丁寧に説明。

滅多にコンペに参加しないシザですが、2011年2月に勝利しこのプロジェクトを獲得。

アルヴァロ・シザ。日本唯一の作品「二期倶楽部・荒崎プロジェクト」の完成が待ち遠しいです。

ルイーズ・コックス。「お腹空いた〜!早くご飯食べたいわ」と笑顔で仰っていました。

こちらは【日本の匠たち展】。昼間ロビーギャラリーで行われていたひとコマ。日本の伝統的な木造技術や文化を紹介するパネル・動画の展示。パネル前では職人技が披露されており、沢山の人が足を止めていました。台鉋による究極の薄削り実演。透けるほど薄い削り華に歓声が上がっていました。


大鋸による鋸挽き体験。浮世絵で見たことあります。

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26 9月, 2011

「UIA2011 TOKYO」開会式、イベントレポート

24回目にして遂に日本に上陸した「UIA2011東京大会」UIA世界建築会議。日本での開催はひょっとすると一生に一度の機会かもしれません。天皇皇后両陛下がご臨席された開会式や、メイン会場の東京国際フォーラムと、丸の内周辺で開催されているイベントをいくつか盛り沢山でレポート。


メイン会場の東京国際フォーラム。大会のテーマは「DESIGN 2050」。2050年にあるべき未来像を描き出し、そこに向けて持続可能な建築環境や生活の質を「デザイン」していくための道筋を探る。というもの。

設計はアメリカの建築家ラファエル・ヴィニオリ (Rafael Vinoly)

厳重な警備。手荷物検査や、金属探知機を通っての入場。

開会を待つステージ。

両陛下のご登壇により開会式がはじまった。

最初に日本大会会長 小倉善明さん (日建設計顧問/Yoshiaki Ogura)。「震災の影響で大会開催を断念せざるを得ない状況を乗り越え、無事開催できました。初めて日本を訪れた方もいらっしゃると思います、近い将来復興した日本をまた訪れてください。」

UIA会長ルイーズ・コックスさん (Louise Cox)。「2050年我々はどこでどんな生活をしているでしょうか? 願わくば、歴史的な建造物に囲まれ、自然や文化が豊かで、人々にとってより良い世界になっていることを望みます。今回は東京をぜひ堪能してください、その後ほかの素晴らしい都市を訪れてみてください。大会中様々な会場に行きますので気軽に声をかけてください。」

東京都知事石原慎太郎さん (Shintaro Ishihara)「古来より建築はその時代の先端技術の粋を集め作られ、その時代を表してきました。皆さんもぜひ時代を作る建築を生み出してください。」

ご退場の際、槙文彦さん (Fumihiko Maki) に声を掛けられる陛下。

開会式が終わると皆思い思いの展示会場や講演・セッション会場へ。

Aホールロビーでの開催は【2050 Earth Catalogue展 パート1】

音響が一体となったSONYの照明。

屋外広場では【一万人の世界建築家展】

本当に1万あるかは数えなかったが、すごい長さ。

とは言え一通り見てjapan-architectsのメンバーを探してた。(見落としている方がいらしたらすみません!)


【すまい・建築・都市の環境展 ecobuild 2011】は地下展示ホール。

多くの企業や団体がエコ技術などを展示。

【建築大学展 建築を学べる大学を知ろう】は地下1階通路にて。

東京フォーラムを離れ丸の内へ。丸の内ではエリアを上げてUIA東京大会を盛り上げている。

丸ビル地下、行幸通りギャラリーでの開催は【docomomo Japan 150 未来への遺産展】 日本のモダンムーブメント建築150選の展示。



【東京チェアシティ展】は丸ビル1階のカフェeaseで。

伊東豊雄 (Toyo Ito) の「RIPPLES ベンチ」

店内には川上元美 (Motomi Kawakami)、深澤直人 (Naoto Fukasawa)、坂茂 (Shigeru Ban)らのデザインによる椅子16種類が展示され利用できます。

各テーブルにはデザイナーの情報マットが敷いてある。椅子は藤江和子 (Kazuko Fujie) による「シェルチェア」。

偶然、横河健さん (Ken Yokogawa) がご自身の椅子「cri cri」で一服中。

easeを出て向かいでは【アーキニアリングデザイン展 -模型で読み解く世界の建築】 多くの有名な建築がどのような構造になっているかを模型で見ることがでる

北山恒 (Koh Kitayama) の「洗足の連結住棟」や「祐天寺の連結住棟」 。この展示の面白いところは、一部実際に触ってみることができること。

手塚貴晴+手塚由比 (Tezuka Tkaharu+Yui) の幼稚園「Ring Around a Tree」

坂茂の「 ポンピドー・センター メス」(Shigeru Ban)

丹下健三の「東京カテドラル 聖マリア大聖堂」(Kenzo Tange)

その他古代の建築、日本古来の建築などの構造も紹介。

丸ビル1階、3階に膨大な数の模型が展示されている。

【東京2050//12の都市ヴィジョン展】は同じく丸ビルの7階、丸ビルホールにて。

皇居を中心とした千代田区の1/1000模型

東京の2050年、未来のヴィジョンを12の大学研究室チームが提案。


次に三菱一号館美術間へ。イギリスの建築家ジョサイア・コンドル (Josiah Conder) によって設計され、1894年建てられた三菱最初の洋風事務所建築。老朽化により1968年に解体されてしまったが、2010年、当時の設計図などを精査し、意匠や部材だけでなく、製造方法や建築技術まで忠実に再現され生まれ変わった。

ここで開催されているのは【丸の内をつくったタウンアーキテクト展】

明治時代にタイムスリップしたような空間。(ピンヒールによる穴の開いた床が痛々しい...)

展示は詳細なパネルで。

120年前の図面が丁寧に保存されている。

裏はこのような洋風庭園に!(注:ここは丸の内です)

東京ビルTOKIA 1階ガレリアでは【2050 Earth Catalogue展 パート2】

2050年を展望し、しなやかな社会を豊かに創りだす、英知とヒントが数多く展示。

「111 Navy Chair」。丸ビルのカフェeaseで客席として並んでいましたが、再生PETボトル111本分を使用し日本コカ・コーラが50脚提供している。


【RAIDING PROJECT -crossover architecture】は「BMW Group Studio」 丸の内ショールームにて。

原広司デザインのMINI Crossover (右) 用、持ち運び可能なツインタイプガレージ「Car & Camp」

RAIDING PROJECTとはオーストリアにあるライディング村に、小型で多機能な建築を創造するというプロジェクト。 9人の日本の建築家が選出され25m2、2階建て以下で完璧な住空間を装備していることが条件。

手前からSANAA、隈研吾 (Kengo Kuma)、山下保博 (Yasuhiro Yamashita)

手塚貴晴+由比 (Tezuka Tkaharu+Yui)、青木淳 (Jun Aoki)、大野秀敏 (Hidetoshi Ohno)。

手前右から藤森照信 (Terunobu Fujimori)、原広司 (Hiroshi Hara)、伊東豊雄 (Toyo Ito)。

山下保博の作品。樹脂に自然素材が鋳込まれてます。

これらの他にもまだまだイベントが各地でたくさん行われているので、引き続きレポートしますのでお楽しみに。

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