09 3月, 2012

荒谷省午建築研究所による「兵庫県西宮市の傾斜地に建つ住宅」

荒谷省午建築研究所による「兵庫県西宮市の傾斜地に建つ住宅」のオープンハウスに行ってきました。

兵庫県は西宮市に位置する高級住宅街、甲陽園。
近畿三国が眺められる気持ちの良い地域です。



敷地は109坪。
敷地が傾斜高低差12m。
家族構成は、30代後半の夫婦とそのお母様が住まれる予定。



この土地は高低差が6メートル程もある傾斜面敷地である為、周辺の相場よりは安いそうですが、建築コスト(特に基礎)が嵩むのが悩みどころ。
土地の特徴であるレベル差を活かした建築を提案出来ますが、同時に様々な問題を抱えます。

荒谷氏は、『この住宅は、傾斜地における建築の在り方を改めて考えた作品です。岩盤質の地盤のため、掘削を最小限にしてヴォリュームをコンタに沿って置いています。』と説明して下さりました。



3つに分けられたボリュームは、土地の等高線に沿うように配置されています。
手前のボリュームには寝室、左奥は個室とリビング、右奥はキッチン。

アプローチの階段に使われている岩盤は元々この土地にそのままあったものを削って作ったそうです。普通なら排除してしまうところですが、そのおかげで建物が上手く風景に馴染んでいました。



エントランスを入るとすぐに目に飛び込んでくる階段



エントランスを入った右側にロフトと呼ばれる空間があります。
ここは主にご主人が本を読む部屋として配置されました。




玄関入ってすぐ右側の扉を開けると御夫婦の寝室。
4段ステップを下がって入ります。



壁面はクローゼット



物置の扉の取り付けが絵画のようです



寝室からは庭の木々と大阪市が一望出来るように開口部を設置。
窓からどのような景色が見えるか、荒谷氏は実際に現場で何度も検証をしたそうです。



階段途中に扉。
入ってみると、小さな個室がありました。



クライアントのお母様の寝室になる予定



元々の傾斜を利用して造られた階段。
ここの斜面に座りながらクライアントと荒谷氏は打ち合わせを重ねたそうです。
その「行為」をそのまま家の中に取り込まれました。

この階段には文庫本がぎっしり入る予定。
入った後が観てみたいですね。

壁面には塗装仕上げが主となっているリブパネルをそのまま使用
テクスチャーに暖かみがありました。



階段の天井を見上げると、三角形の天窓。
多くもなく少なくもない、調度良い光量が階段に差し込みます。



2階に上がると、階段が天窓と同じく三角形に開口されているのが分かりました。



2階には柱がないと思っていたら、構造合板を上手く利用して本棚が構造になっていました。






2階の床と壁との収まりが美しいです。
床材はホワイトアッシュ
壁材はリブパネル
本棚は構造合板
様々な木を使っていますが、不思議にも調和した空間になっていました。



段差を使って空間の用途に変化を持たせています。



バスルーム
バスタブ横には大きな開口部を設けてありました。
目隠しは植栽で。



キッチン、ダイニング
ここからは大阪湾と兵庫の街が一望出来ます。



2階の床高を決める際には、実際に仮設ステージ(足場)を設け、景色と高さの調整を何度も現場でシュミレーションしたそうです。



キッチンの天窓からは桜の木が見えるように配置されました。
春には桜の花が見え、夏には桜の葉で影になるので採光を抑えられます。




キッチンから見える、大きなバルコニー




ボリュームが重なる



バルコニーから見たキッチン



奥には、リビング/フリースペース


_荒谷省午氏


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