18 4月, 2012

伊丹潤 展「手の痕跡」レポート/Jun Itami Vestigial Impressions

4月17日よりTOTOギャラリー・間で開催される「伊丹潤展 手の痕跡」のプレス内覧会に行ってきました。

 2011年6月急逝した建築家、伊丹潤さんの回顧展。
伊丹さんが残した言葉「もし建築に完璧さだけを追い求めたとしたら、まぎれもなく、機能に研ぎすまされ、冷たく味気ない空間になるであろう。そして、無駄という掴みどころのない言葉の範疇には、人間の生に何か非凡なもの、あるいは空間の本質みたいな何かがあるようだと、常々感じてきている。」

 3階展示室には韓国での作品を模型やパネルで紹介。進行中のプロジェクトもあります。

 中央に立つパーティションは、その前に展示されている「三つの美術館 風」ファサードの実物大モデルでもあります。

 韓国でブレークのきっかけになった済州島にある「PODO HOTEL」(2001)。モチーフは済州島の景色や地元の伝統的民家。

「PODO HOTEL」のスケッチ。

 3階中庭には水を張り「PODO HOTEL」のパネルと伊丹さんが好んだ素材である石を配置。手前の石は事務所に置かれているものを運び、奥の石は伊丹さんが懇意にしていた四国の石材店からの提供だそうです。

 4階展示室はデビュー時からの日本国内での作品。


 中央の展示台には無数の手描きスケッチ。自身「最後の手の建築家」と語っていたそうです。また興味深いのは紙の種類が多岐に渡り、わら半紙、和紙、トレペ、メモ帳やレシートなど思いついたときに何にでも描いた様子が伺えます。

 窓側には3階と同じく「三つの美術館 風」ファサード。夕方西日が差し込むと実物と同じ情景が再現されるそうです。この日は残念ながら曇り...

 デビュー作「母の家」(1971)

 自身のオフィス「墨の家」(1975)

 移転した自身のオフィス「墨の庵」(1998)。格子の部分は竹でその前に桜が植わり見事な和のコントラストに。

 ソウルのアトリエ「刻印の塔」(1988)。実物はRC造に壁や屋根が石で覆われている。

 展示室の奥には伊丹さんが実際に使っていた書斎の机をそのままに再現。壁には相田みつをさんの銘で「一生燃焼・一生感動・一生不悟」の文字。

 死の二日前に描いていた最後のスケッチが机の中央に。正に絶筆。会場で実際にご覧ください。

 同日開催されたプレスカンファレンスにて。伊丹さんのご長女で韓国で協働していたユ・イファさんは、ソウルのITMユ・イファ アーキテクツ代表。

25年にわたり伊丹潤・アーキテクツに勤める設計室長、田中敏晴さん「伊丹は温故知新と言う言葉をよく口にしていました、それは人柄にも作品にも現れていたと思います。この展覧会で人間伊丹潤を感じてもらえるのではないでしょうか。」

【伊丹潤展 手の痕跡】
会期:2012. 4. 17〜6.23
会場:TOTO ギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex120417/index.htm


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