10 10月, 2012

長谷川逸子 近作展「都市のきのこ-都市建築の設計-」レポート

10月9日より始まった、長谷川逸子建築計画工房 (Itsuko Hasegawa Atelier)  近作展「都市のきのこ-都市建築の設計-」に行ってきました。LIXIL GINZAで継続的に行われている「建築家フォーラム 第114回」の為の企画展。

 エントランスには長谷川さんのスケッチや住宅の建築模型写真が放射状に展示されている。 

 長谷川さん自らが70年代に作ったバルサの住宅模型。

左へ進むと中国で進行しているプロジェクトの紹介。

 上海で進行中の "江陰語山湾プロジェクト / Jiangyin Yushanwan Project" は高層と戸建ての複合住宅地の計画で、戸建て部分は完成している。

 こちらも上海で進行中の "上海儀電漕河泾三号敷地プロジェクト / Shanghai Yidian CaoHeJing No.3 Block Project"。広大な敷地の3区画200,000m2の巨大プロジェクトだ。

 右へ行くと、日本とフランスでの進行中プロジェクトの紹介。

 静岡県沼津市で進行中の "ふじのくに千本松フォーラム / Plaza Verde"。展示場、会議場、ホテルが一体となるコンベンションセンター。

 コンベンションセンター利用者の多くは他の地域から来るビジネスマンだ。しかし沼津には高校が多いそうで、若者をはじめ地元の人々が利用できるような提案が多くなされている。

 "ポン・ディッシー周辺の再編成プロジェクト / Project de Reamenagement du Pont d' Issy"。セーヌ川沿いに進行中の敷地21,000m2のプロジェクト。しかしユーロ危機により進行はペースダウンしている。

 会場に3脚置かれている椅子は、ポンピドゥーセンターにパーマネントコレクションされている作品。"すみだ生涯学習センター" 向けにデザインされたものだが、センターで起きた事件で燃えてしまったものを引き取りクロスを張り直したものだそうだ。

 スタッフによるエスキースモデル。

 会場の一番奥には椅子とテーブルがある。そこに彰国社より出版のスケッチ集 "海と 自然と 建築と" が置いてあるので、ゆっくり見ることができる。

 スケッチには長谷川さんのトレードマーク、パンチングメタルの指示が見える。長谷川さんは「子供の頃海辺の町で育ちました。陽の光が水面にキラキラしている風景が大好きでした。それを建築にも表現したいなと考えてたとき古いタイプのパンチングメタルから漏れる光に気付きました。そこから独自に開口率などの計算式を作り様々に発展させていきました。」と話す。

 表の廊下部分には住宅作品のパネル展示。一番左 "T-Flat" は一つの敷地に3人の施主が一つの3階建てを建て、200m2超の各フロアにそれぞれが住むという珍しい住宅。

 長谷川逸子さん「都市のきのことは、長谷川きのこの胞子が日本各地、世界各地に飛んでいってその土地の栄養(つまり地域の文化や地元の人々の思い)を吸い上げながら育つきのこ、そんな意味です。」

女性建築家のパイオニアのひとり、長谷川さんは差別や偏見を受けることも多くあったそうです。そんな中でも悲観的にならずダメなものにははっきりとNOと言い、その建築にとって正しいこと、長く愛されるために心血を注がれてきたことなどをお話くださいました。

展覧会最終日10/16には手塚貴晴さん (Takaharu Tezuka) 進行で講演会が開催されます。

【建築家フォーラム 第114回】長谷川逸子「都市のきのこ-都市建築の設計-」
展覧会:2012年10月9日〜10月16日
講演会:10月16日(企画・進行:手塚貴晴)申込が必要です
場所:LIXIL:GINZA  展覧会7F 講演会8F

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