17 3月, 2015

SALHAUSによる川崎の集合住宅「tetto」

SALHAUSによる神奈川・川崎市の集合住宅「tetto」の見学会に行ってきました。小田急線鶴川駅から徒歩8分ほど。
プロデュースはプリズミック。

 敷地面積742m2、建築面積285m2、延床面積468m2。木造2階建ての長屋で8住戸ある。
新宿まで40分程ながら里山の風景を残す敷地は、市街化調整区域内の風光明媚な場所。今回の計画は、調整区域の指定前から宅地であった範囲内の建て替えとして行われた。


 この恵まれた環境と接触面積を多く取れるようにと、南側は大きな一面のボリュームにはせず、雁行させながら建物に細かな凹凸を持たせた。


 平地は新たに造成することなく、以前建物があった場所だけを計画地として利用した。
アプローチは緩い曲線を描きながら計画地をなぞるように続く。


 奥へ進むと左側に集会所。その2階は賃貸住戸。
古くからこの地に住むオーナーは町内会長でもあり、住人や地域の人との交流の場として集会所を設けた。


 元々あった井戸。清掃しポンプを付けて復活させる予定。

 アプローチはそのまま反対側まで貫通し、オーナー所有の数千平米の敷地全体を活用できるようになっている。


 抜けたアプローチは遊歩道に趣を変えながら、使い方自由の東屋、使い方未定のスペース、そして8住戸分用意された駐車場へと続く。


 裏山には畑もあり、希望者はオーナーと相談の上、野菜づくり等も行うことができる。


 はじめに戻り建物を見ていく。
専有と共有スペースはあいまいに区切られながら至るところに居場所が用意され、真ん中にヤマボウシを植えた。
右の黒い部分に1号室、中央の板張り部分に2号室、左の白い壁の奥に3号室それぞれの玄関がある。

 1号室の2階。
大きめの母屋に幅広の垂木が連なり、右(北側)に高度斜線の勾配がつく。


 緑に差し色された階段室で空間の切り替えを行う。1階には寝室や水回りがある。


 差し色は各部屋異なり、片面にだけ色が付く。


 バルコニーに出ると2.5mもせり出す大きな軒が現れる。
“tetto” とはイタリア語で “屋根” の意味。


 2号室は1階にLDKと寝室。土間として使うことも出来るスペースを持ち、ヤードと連続する。
多くの開口が設けられ様々に風景を切り取ることができる。
2階にもう一つ寝室がある。


 3号室の2階はスキップして寝室とLDK。


 垂木と壁の隙間にはペアガラスをはめたハイサイドライト。空間が伸びやかに軒へ連続する。


 4、5、6号室のボリュームと7号室。


 5号室のキッチンは表に向いている。



 7号室は独立したようなボリューム。


 7号室の1階LDK。


 各住戸のヤードは、パーゴラとルーバーで軽く仕切られ頭上に軒が延びてきている。


 7号室のバルコニーから見た、集会所と8号室のボリューム。
裏山にはピンク色のしだれ梅が咲き、もうじき桜とモクレン、その後アジサイなどが咲き、秋には紅葉も楽しめる。

 8号室に上がる階段からは全体が見渡せる。


 この住戸だけワンフロアにLDK、水回り、寝室が配置されている。


 裏山から。 
各住戸は50m2前後。これだけの環境を享受でき家賃は9万円台〜10万円台。既にほとんど入居が決まっているとのことだ。
敷地内では様々なことができるので、住みながら住人たちと話し合いルール作りをしていく。

SALHAUS代表の3人。左から日野雅司、安原幹、栃澤麻利の各氏。
「イタリア語で “屋根” を意味する “tetto” と名付けました。室内と屋外、占有部と共用部といった生活領域がスムーズにつながっていて、軒を大きく張り出した木造の大屋根がそれらを覆います。その様子は、ここに住む人々が全員で共有できる風景となるでしょう。”木造アパート” のイメージをポジティブなものに転換し、郊外ならではの大らかな生活の場をつくりだすこと。それがこのプロジェクトの目標です。」



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