02 4月, 2015

菅原大輔による「ゆたか幼稚園」

菅原大輔/SUGAWARADAISUKEによる埼玉県三郷市の私立幼稚園「ゆたか幼稚園」の内覧会に行ってきました。
Yutaka Kindergarten
(設計:菅原大輔・原田勝之・上赤坂典幸・楢原弘志/SUGAWARADAISUKE

 敷地面積2,650m2、建築面積812m2、延床面積802m2。木造+一部鉄骨造、1階建て。


 正方形に近い敷地に以前の園舎はL字型に建っていたが、その園庭にほぼ正方形の園舎を新築した。取り壊された旧園舎のL字型部分が新しい園庭になった。


 この幼稚園では子ども自身が疑問や学びを確立する自発的な教育を目指している。そのために経験や体感を誘発する自由で多様な場が設計されている。


 幅約30m。フラットな平屋の園舎が地面と空の間に建っている。平屋にすることで内と外の動線がスムーズに展開し活動的な生活を生み出す。
広々としたこの園庭は「動の庭」。人数や運動量や激しさの違う遊びを誘発する3種類の庭が連続する。

 正面入口側の園庭にはこの後芝生が敷き詰められ、自然に生えてくる雑草も子どもたちへの体験として利用していく。
こちらは「静の庭」。「動の庭」に対して運動量が少なくなる。

 雨が降れば樋から滝のように雨水が流れ落ち、「雨」という自然を感じられる。
その下には植物が芽を出したような形の水栓。

 エントランス。右側の奥へと、左側に教室が並ぶ。


 中央の遊戯室は所々にトップライトが設けられた「屋根の庭」。


 遊戯室は各教室に面しており、日常の情報伝達や遊びの発信基地となる。


 遊戯室には冷房用のダクトが並ぶが、なるべく冷暖房に頼らない生活が出来るよう配慮されている。
トップライトは開閉式で通風も可能。

 この建築の機能的にも意匠的にも象徴するのが山型の壁。耐力壁としての構造も兼ね、仕切りながらも開放的にする相反する作用を両立する。


 山型壁は教室の仕切りや、


 園庭や各クラスの仕切りにも使われ、連続する遊び場を、接続・切断、管理・自由、不変・変化といった矛盾を調停する。



 園児たちの目線からは空間は仕切られるが、


 先生(大人)の目線からは各スペースが見渡せる。


 トイレにも。


 そして “谷” の部分から覗く景色は、光沢のある天井に反射しその色を映し出すよう演出されている。


 3月に行われた芝生張りワークショップの様子。
(photo: SUGAWARADAISUKE)


(※図面はクリックで拡大)


菅原大輔さん。「ゆたか幼稚園の教育理念である『環境を通して行うことを基本とする』ということを建物や園庭のハード面にそこはかとなく埋め込むように設け、子どもの目線に合わせて建物や園庭が一体化し、また子どもの生活や遊びを通しての学び、学び合いが『可視化』するように試みました。」

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(この建築の模型が見られます)


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