24 7月, 2015

建築家の意見をお聞かせ下さい - - 新国立競技場について

迷走を続ける新国立競技場問題ですが、先日安倍首相により「白紙」に戻すことが決まりました。

当ブログでも再三に渡って取材や、各ニュース、建築家の意見や考えを拾い上げ紹介してきました。そして現在もTwitter、WEB、新聞・雑誌などで意見、インタビューを目にしますが、それぞれが散り散りに発信されているのが現状です。

そこで当japan-architectsブログで建築家の皆さんの意見を広く募集し、こちらでまとめて見られるようにしたいと考えております。

建築家には政治家、役人などにはない独特の職能や知恵があるはずです。建築家の皆さんは今後このプロジェクトをどのように進めれば良いとお考えでしょうか?

批判や中傷ではなく前向きな意見をお待ちしております。
(暫くしましたらJSCにも見て頂くようにしてみます。)

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新国立競技場はザハ案(修正案)で着工。整備費約2,520億円
槇文彦グループより新国立競技場プロジェクトへの提言
新国立競技場 "当初は" 屋根なし・規模縮小で建設
磯崎新による意見書「ザハ・ハディド案の取り扱いについて」全文
槇文彦、内藤廣らが登壇 シンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」レポート
「ザハ・ハディド展」レポート/東京オペラシティ
安藤忠雄のコメントや質疑応答/新国立競技場計画に関する説明会
新国立競技場基本設計案の画像と概要
新国立競技場コンペ審査委員 内藤廣のコメント全文
宮台真司が新国立競技場について東京新聞に寄稿した記事の全文
文部科学大臣、都知事らに提出された「新国立競技場に関する要望書」の全文
槇文彦「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」シンポジウム レポート
新国立競技場ザハ・ハディド案が最優秀案に選ばれる

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23 7月, 2015

黒川彰による目黒のオフィスリノベーション「AAR Office interior」

黒川彰(Sho Kurokawa architects)による目黒にあるAAR Japan(NPO法人難民を助ける会)と、社会福祉法人さぽうと21のオフィスリノベーションの内覧会に行ってきました。

 1970年竣工のビルのワンフロア177m2のリノベーション。黒川さんのデビュー作だ。


 はじめに紹介すると、黒川彰さんは黒川雅之さんのご子息、つまり黒川紀章さんの甥にあたる。


既存状態ではオフィス什器が雑然と並び、必要な物が単にフロアに置いてあるというような印象。
(photo: Sho Kurokawa architects)


 既存の什器は今回刷新はできないので、そこからコンテクストを拾い上げ、"壁" を作った。


 壁により、事務スペース・多目的スペース・打合せスペースとのゾーニング、資料棚や書庫スペースの確保、ロッカーなど大型什器の目隠し、展示・掲示スペースとして多機能、そして秩序を持たせることができた。

 拾い上げたコンテクストを壁の材質、サイズ、色、掲示用フレームの高さ等に落とし込んだ。


 掲示用フレームは立て掛けても、磁石による掲示も可能で、ピッチはA3の高さに。


日本語の学習支援もしていることから、50人ほどが集まることもあるため窓際には机も設えた。

 壁の一部には地雷やクラスター爆弾の信管や炸薬が抜かれた本物が展示されている。
紛争地域・元紛争地域にはこれらの対人地雷が大量に埋設されており、誤って触れた市民がその犠牲になる。しかも命を取り留めながら足や腕を失うといった生活困難者になることが多い(命は奪わず生活や自由を奪うのが対人地雷の目的)。そういった人々を支援するのもAAR Japanの活動の一つだ。

 日本もかつては対人地雷を製造・保有していた。
説明パネルはグラフィックデザイナーの岡崎真理子が手掛けた。




 黒川彰さんを挟んで、"AAR Japan” と、姉妹団体 “さぽうと21” の方々。
AAR Japanでは、先のネパール大地震での緊急支援や、シリアからトルコに逃れた難民の支援、東日本大震災での復興支援などもしており、その活動は60以上の国と地域に及んでいる。
さぽうと21では、日本に定住するインドシナ難民、条約難民、中国帰国者、日系定住者及びその子弟などの自立を支援している。

 ちなみに今回のオフィスが入居するミズホビルは、INA新建築研究所による設計で1970年に竣工した建物。


 エレベーターシャフトと階段が円弧に納まっている。



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22 7月, 2015

新国立競技場に関して伊東豊雄へのインタビュー

(毎日新聞webより)


「そこが聞きたい:新国立競技場見直し 伊東豊雄氏」

 ◇原案固執、失った2年 プリツカー賞受賞の建築家・伊東豊雄氏

 土壇場での撤回劇=1=である。東京五輪・パラリンピックを5年後に控えるなか、新国立競技場の建設計画は異例の仕切り直しに追い込まれた。混乱の原因はどこにあったのか。世界的に評価され、新国立競技場のデザインコンペにも参加した伊東豊雄氏(74)が「建築家の目」で騒動の深層を語った。【聞き手・隈元浩彦、撮影・関口純】

−−安倍晋三首相が計画を白紙に戻すと決断した。

 良かったと思うが、遅きに失した感は否めない。デザインの選定は2012年11月のこと。翌13年10月には総工費が3000億円にのぼるという試算が示された。その段階でなぜ、対処できなかったのか。せめて1年前だったら、既存のスタジアムの再利用を含めて議論できたかと思う。失われた2年だった。貴重な時間が無為に失われただけではない。この間に、建設費は高騰している。計画の遅れの影響は計り知れない。

−−建築界からさまざまな問題提起がなされた。

 私は昨春、旧国立競技場の改修案を発表した。新国立競技場のデザインコンペに参加し、落選した立場からいえば批判も覚悟した。けれども、どういう設計思想のもとで、明治神宮外苑という景観と歴史を無視するような、巨大なスタジアム=2=になったのかが一切明らかにされないことに違和感を覚えたからだ。そう感じた建築家は私だけではない。だが反対論、異論に、文部科学省や計画の策定を進めてきた「日本スポーツ振興センター(JSC)」は「国際公約」「見直す時間はない」を理由に耳を貸そうとしなかった。当の国際オリンピック委員会が原案に固執した経緯はないのに、である。皮肉にも、間に合わせるはずの開閉装置は実施設計で五輪大会後に先送りされた。矛盾だらけの二つの言い分は、とにかく原案通りに遂行したい文科省などの方便に感じた。

−−今秋までに新たな整備計画を策定する。何が重要か。

 国際コンペを実施しなければならない。それも設計者と施工業者が組んだコンペだ。スタジアムは規模が大きく、技術的に難しい。施工方法、工期、コストの問題など全部ひっくるめて審査することで、発注者のリスクを抑えられる。施工期間は限られている。これまでのような多目的施設ではなく、スポーツ専用の施設として考え、屋根の開閉装置はやめるべきだ。コストだけではなく、何がテーマなのかが問われる。その視座が決定的に欠けている。

−−12年秋のデザインコンペで審査委員長を務めた安藤忠雄氏は16日の会見で、「任されたのはデザインだけ」と強調した。

 安藤さんがどういう意図であの巨大なデザインを選んだのか、その理由が明かされると期待した。しかし、釈明とコストの話だけで残念だった。自然との共生を考えるのが21世紀のデザインの潮流なのに、なぜ、自然を克服する対象として捉える、20世紀的モダニズムの典型のようなデザインになったのか、これまで説明がされていない。コンペだって本来は、設計者にデザインの意図を語らせるのが最低限のエチケット。それすら行われず、書類だけで「日本の技術だからできる」の一点で走り出した理由が分からない。当初は安藤さんも「周辺環境との対話」「地球環境に配慮」と言っていたはずなのに、いつの間にかなくなった。

−−あの時は、1300億円を条件にコンペが行われた。

 消費税込みかどうかは明示されていなかったが、誰が見てもザハ・ハディド氏の案がその額に納まるとは考えなかっただろう。最初の案はJR中央線をまたぐ大きさ。本来ならルール違反で失格だ。その後、延べ床面積で25%縮小された。コンペの規定には<提案デザインの変更は不可>という趣旨の一文があったのに主催者がそれを破った。最初の案と比べて脚がもがれたカニのような形になったのに、ハディド氏は何ら説明をしていない。おまけに設計者なら完成まで寄り添うべきなのに、実施設計は日本の設計会社が担う。その彼女には13億円が支払われ、さらに支払い義務が生じるという。異常だ。返金を求めていいほどだ。

 実施設計まで2年を要しているのも理解に苦しむ。加えて、実施設計よりも前の段階で、施工業者が決まっていた。技術を持っている、という説明だが、大手ゼネコンなら同じようなもの。指名であれば、競争が働かずコストがかさむのは当然だ。

−−今後、重要なことは。

 建築とは時代精神を反映する。巨大なスタジアム案のままだとしたら、東日本大震災からも何も学ばなかったこの国の姿を象徴すると思われたかもしれない。仕切り直しの今こそ、エネルギー、環境の問題も含めて21世紀の建築とは何かを考える時だ。1964年の東京五輪で会場が整備され始めた時代、私は学生だった。全国民が高揚感に浸った。今回、それがないのは寂しい。

ソース:http://mainichi.jp/shimen/news/20150722ddm004070007000c.html


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21 7月, 2015

「オスカー・ニーマイヤー展」レポート/会場構成 SANAA

東京都現代美術館にて7月18日(土)より開催される「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」内覧会に行って来ました。
会場構成は、ニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきたSANAAが担当。作品の選定などにも始めから関わり、アドバイザーとしての役割を果たしている。
[Oscar Niemeyer The Man Who Built Brasilia]

 本展は、2016年のリオデジャネイロオリンピック開催を目前に控えた、日本とブラジルの外交樹立120周年記念事業の一つ。世界遺産をつくった巨匠オスカー・ニーマイヤーの日本初の大回顧展となる。
2012年に104歳で亡くなる直前まで、精力的に設計を手がけていたニーマイヤーの建築デザイン活動を、10点のマスターピースを中心に、図面、模型、写真、映像などを用い紹介する。

 〈プロローグ〉
愛したリオの写真。曲線が重要な要素であるニーマイヤーの作品としてロッキングチェアーも展示。このコーナーにある映像ではUFO(ニテロイ現代美術館)から降り立つニーマイヤーが見られる。


 20代から89歳までのニーマイヤー。


 160cmと小柄な等身大ニーマイヤーの前で解説をする東京都現代美術館チーフキュレーター長谷川祐子さん。
「いま人々が求めている建築は何か、と考えた時、ニーマイヤーの人間性を感じることができる建築ではないかという考えに辿り着きました。」

 会場構成を担当した西沢立衛さん(SANAA)によるプレスツアーでのコメントを中心に紹介していく。


 1/10〜1/200という多彩なスケールで、その有機的でダイナミックな曲線とモダニズムの幾何学の調和を特徴とするデザインをフィジカルに感じることができる。


 〈パンプーリャ・コンプレックス/Pampulha Complex〉の3作品
これらはニーマイヤーらしさは勿論のこと、そのスケールの大きさを感じてもらうために選ばれた。
40年代のニーマイヤー初期の作品ながら、既にやりたい事やスタイルがほぼ確立されており、モダニズムの新しい可能性を発掘している。

 〈サン・フランシスコ・デ・アシス教会/Church of St. Francis of Assisi〉
ニーマイヤー作品はアーティストとのコラボレーションも重要なポイントだ。
タイルの模様が中外で連続している大胆な意匠とフリーハンドの魅力。


〈ダンスホール/Dance Hall〉

〈パンプーリャ・ヨットクラブ/Pampulha Yacht Club〉
プールで泳ぎながらいつの間にか建築の中に入ってしまう。

 本展の模型はすべて野口直人建築設計事務所が担当した。野口さんの模型制作技術はSANAA勤務時代から突出していたそう。
図面がほとんど現存してないことから、余程のバランス感覚や直感力がないとニーマイヤー展覧会を開催することは難しいとされている。そんな中、様々なアプローチを経て今回この完成度に持っていった。

 〈カノアスの邸宅/Casa das Canoas〉自邸/House of the Architect
ミースへのオマージュで溢れている。
人工地盤で敷地の地形を変えてしまっている。

 壁面には影がある美しさを捉えたホンマタカシの写真。
本展は様々な写真家によるニーマイヤー作品が展示されているのも魅力の一つだ。

 〈国連本部ビル/United Nations Headquarters〉
ル・ コルビュジエとの共同設計。


 〈ブラジリア建設プロセス1956-1960/Brasilia Construction Process〉
ブラジリア首都計画の主要な建物設計に携わったニーマイヤー。荒涼とした土地に創造性豊かなひとつの都市をつくりあげ、ブラジルのイメージを一新することに貢献した。

 〈ブラジリア大聖堂/Cathedral of Brasilia〉
ブラジリアの建築計画の中でも特に象徴的。残念ながら模型の中には入れない。
壁面にはLeonardo Finottiや二川幸夫の写真。

 未開の大地に身一つで乗り込んだニーマイヤーは現場でも設計を進めた。
先住民とのふれあいを持ちながら完成されていく様子なども。

 〈国会議事堂/National Congress〉
自転車競技のバンクのような内側の配筋作業。


 〈アウヴォラーダ宮/Alvorada Palace〉大統領官邸の柱
ブラジル大使の強い勧めにより、特徴のある柱をフィーチャー。
柱一本がなんとも言えないモニュメンタルになっているのがニーマイヤーらしい。



 Iwan Baanによる壮大なブラジリアのバードビュー写真。


 ブラジリア建設の詳細なドキュメント映画は60分。時間に余裕を持って出かけたい。


 〈ニテロイ現代美術館/Niteroi Contemporary Art  Museum〉
本展では最も最近(1996年)のプロジェクトとして展示されている。


 花をイメージしており、岩の上に立つ時に意外と地形に合っているという不思議さがある。


 〈コンスタンティーヌ大学/University of Constantine〉
1969年アルジェリアに竣工。西沢さんが雑誌で最初に見たニーマイヤー作品だそうだ。


 敷地にゆったりと配置された建築群。

  〈イビラプエラ公園/Ibirapuera Park〉
約500m2のアトリウム全面を使った本展目玉のインスタレーション。1/30模型の世界を靴を脱いで自由に歩きながら、イビラプエラ公園を五感で感じることができる。



巨大なカーペットにgoogleマップをほぼそのまま印刷した。 
小さい人型は2000人。木は500本植えてあり、植物公園としての多様性も再現している。


 〈産業館 - シッシロ・マタラッツォ・パビリオン/Pavilion of Industry - Ciccillo Matarazzo Pavilion〉
実物は幅250m。模型は1/30でも8mある。


屈んで見ると違った風景が見えてくる。 
「ニーマイヤー展の依頼があったとき、一番好きなイビラプエラ公園が真っ先に浮かびました。ここでは特に彼の度量の大きさを感じさせる。雨漏りするなどデザイン的に問題があるところもありますが、『そんな細かいことはいいでしょ』とでも言うかのような寛容さのある建築だと思う。」と西沢さん。


 〈アフロ ブラジル博物館/ Afro Brazil Museum〉


座ったり、寝転がったり、実際の公園のように思い思いの時間を過ごして欲しい。


 〈エピローグ〉
ニーマイヤーが2001年に描いた16mの直筆ドローイングが展示されている。
あらためて彼のドローイングがいかに自由か、またドローイングと建築の近さ(ドローイング情報がそのまま現実になるという)を感じることが出来る。


西沢立衛さん。「僕らが尊敬しているニーマイヤーらしいものを並べました。最後の部屋にあるドローイングは今日初めて見ましたが、描かれているものが、偶然にも展示している作品とかぶっていて、ファンとして幸せです。」

【オスカー・ニーマイヤー展】
会期:2015年7月18日 〜 10月12日
会場:東京都現代美術館
詳細:www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html




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16 7月, 2015

安藤忠雄の新国立競技場に関する記者会見 レポート

7月16日、JSC主催による安藤忠雄の新国立競技場に関する記者会見が都内で行われたのでその様子をお伝えします。
当該コンペのプログラムに関して不透明な部分が多いことや、審査方法、神宮外苑の景観、デザイン、規模、建設コスト、工期、などなど様々な問題提起がなされてきた。
そんな中、そもそもこのデザインを選んだのが悪いのではないのかという論調が目立ちはじめたため、長く沈黙を貫いてきた安藤氏が、本日遂に自ら記者会見を開いた。
その中で筆者の問い、槇文彦氏や、磯崎新氏の提案についても回答をいただいた。

会見場にはテレビカメラ20台以上をはじめ、マスコミ数百人が集まった。


昨年膵臓、脾臓を全摘する手術を行ったが「今生きているのが不思議なくらい。」といいながら元気そうな姿を見せた安藤氏。


パネルを持ち込み審査委員が携わったのはデザイン選定までで、その後の設計によってコストが上がっていると説明。

安藤氏:
審査終了後も、デザインについて、設計について何か分からないことがあったらいつでも聞いてくださいとJSCには伝えていたが、一度も質問されたことは無かった。

コンペ当初予算は1300億円とされていたが、その中で収まるはずのデザイン案を選んだ。我々審査委員会はそこまで、その後基本設計を進めると1625億円になると、周りから聞こえてきた。JSCから連絡があったわけではない。
このくらいのオーバーなら、実施設計で少しずつ減額していけるのだろうなと思った。
ところが暫くして、2525億円になると伝わってきて私自身ビックリした。2525億円になったと聞いたのは、みなさんと同じ、外から伝え聞いただけなのです。

もっと下がるところあるでしょうと思います。聞いても「そのくらい掛かります」としか答えてくれない。
それなのに「安藤が決めたデザインが2525億円」みたいに言われても困ります。

前回の誘致で負けたのはリオのスタジアムに負けたのではと考えた。今回誘致に勝つためにはザハ案が一番いいと思った。

一人の人間として、ザハさんの案は残して欲しいと思います。

ただ値段が合わないので日建、日本設計、梓、立派な設計事務所がありますから徹底的に討論して、それを公に公開しながら決着しなければならいと思います。

コンペやその後の進展について情報は公開しながらやるべきだったと私も思った。

正直、あの敷地で80,000人の競技場は無理があると思った。でも80,000人はオリンピックで決まっている。場所もあそこだと決まっていたんですから。断ることもできたが、日本のために何か手伝いたいと思った。引き受けたからには勝って欲しいなと思った。

私も日本国民です、もっとさげられません?と思っています。

日本の技術や知恵を集め、ゼネコンは儲けようとばかり考えず、ここは日本のために是非頑張ってもらいたい。

日本のためのオリンピックです。多くの方の感心がお金ですが、どういう案になるか私も分からないですが、選んだザハさんと協調しながら進めて欲しいと願っています。

フォスターやロジャースが殆ど何もしていないのでは、というメディアもあるが、来日こそしていないが担当者が出向いてしっかりと時間を掛けて検討し、最終的に賛同してもらった。


周辺住民の立ち退き、環境問題については、80,000人入るというのはそれだけ大きくなるのです。スムーズにいくとは思いませんが多くの議論をオープンに行っていかなければならいと思う。


【筆者からの質問】
Q:
槇文彦さんや、磯崎新さんなどの提案がありますがどのようにお考えでしょうか?

安藤氏:
槇先生の唱える意見、特に景観やコスト、無蓋化は、基本設計チームがどう受け止めるか聞いてもらわなければならない。聞いていると思ういますけど。そこには我々は参加できてないわけです。槇先生は大変頑張っておられる。最後までよく頑張っておられる。凄いなと思いますが私たちにそんなエネルギーはあるかどうか、と思っています。

一方磯崎さんは「ザハを選んだのだから、国際協約からいってザハを外すわけにはいかない、そのことをしっかりと踏まえて考えなさい。」と仰る。私も全くそう思います。これは重要なことです。そうしないと日本の国際的な信用がなくなります。




【リリース全文】
新国立競技場改築について、國際デザイン競技審査委員長として、ザハ・ハディド氏の提案を選んだ審査の経緯です。

老朽化した国立競技場の改築計画は、国家プロジェクトととしてスタートしました。「1300億の予算」、「神宮外苑の敷地」、オリンピック開催に求められる「80,000人の収容規模」、スポーツに加えコンサートなどの文化イベントを可能にする「可動屋根」といった、これまでのオリンピックスタジアムにはない複雑な前提条件がありました。さらに2019年ラグビーワールドカップを見据えたタイトなスケジュールが求められました。
その基本デザインのアイデア選定は、2020年オリンピックの招致のためのアピールになるよう、世界に開かれた日本のイメージを発信する国際デザイン競技として行うことが、2012年7月に決まりました。
2013年1月のオリンピック提出ファイルに間に合わせるため、短い準備期間でのコンペとなり、参加資格は国家プロジェクトを遂行可能な実績のある建築家になりましたが、世界から46作品が集まりました。

コンペの審査は10名の審査委員長を組織して行なわれ、歴史、都市計画、建築計画、設備計画、構造計画といった建築の専門分野の方々と、スポーツ利用、文化利用に係る方々、国際コンペの主催者であるJSCの代表者が参加し、私が審査委員長を務めました。グローバルな視点の審査委員として世界的に著名で実績のある海外の建築家2名も参加しました。
まず始めに、審査委員会の下に設けられた10名の建築分野の専門家からなる技術調査委員会で、機能性、環境配慮、構造計画、事業費等について、実現可能性を検証しました。その後二段階の審査で、コンペの要件であった未来を示すデザイン性、技術的なチャレンジ、スポーツ、イベントの際の機能性、施設建設の実現性等の観点から詳細に渡り議論をおこないました。2012年11月の二次審査では、審査員による投票を行いました。上位作品は票が分かれ、最後まで激しい議論が交わされました。その結果、委員会の総意として、ザハ氏の案が選ばれました。

審査で選ばれたザハ案はスポーツの躍動感を思わせる流線型の斬新なデザインでした。極めてインパクトのある形態ですが、背後には構造と内部空間表現の見事な一致があり、都市空間との繋がりにおいても、シンプルで力強いアイデアが示されていました。とりわけ大胆な建築構造がそのまま現れたアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感は際立ったものがありました。
一方でザハ案にはいくつかの課題がありました。技術的な難しさについては、日本の技術力を結集することにより実現できるものと考えられました。
最終的に、世界に日本の先進性を発信し、優れた日本の技術をアピールできるデザインを高く評価し、ザハあんを最優秀賞にする結論に達しました。
実際その力強いデザインは、オリンピック招致において原動力の一つとなりました。
国際コンペ委員会の実質的な関わりはここで終了し、設計チームによる作業に移りました。

発注者であるJSCのもと、技術提案プロポーザルによって日建設計、日本設計、梓設計、アラップが設計チームとして選ばれました。13年6月に設計作業が始まり、あらゆる問題について検討が行なわれ、14年5月に基本設計まで完了しました。この時点で当初の予算1,300億円に対し、概算工事費は1,625億円と発表されました。この額ならば実施設計段階でコストを抑える調整を行なっていくことで実現可能と認識しました。
基本設計により1,625億円で実現可能だとの工事費が提出され、事業者による確認が取られた後、消費税増税と物価上昇にともなう工事費の上昇分は理解できますが、それ以外の大幅なコストアップにつながった項目の詳細について、また、基本設計以降の実施設計におけるプロセスについては承知しておりません。さらなる説明が求められていると思います。
そして発注者であるJSCの強いリーダーシップのもと、設計チーム、建設チームが、さらなる知恵を可能な限り出し合い一丸となって取り組むことで、最前の結果が導かれ、未来に受け継がれるべき新国立競技場が完成するこを切に願っています。

2015年7月16日
新国立競技場基本構想国際デザイン競技
審査委員長 安藤忠雄

以上



新国立競技場はザハ案(修正案)で着工。整備費約2,520億円
槇文彦グループより新国立競技場プロジェクトへの提言
新国立競技場 "当初は" 屋根なし・規模縮小で建設
磯崎新による意見書「ザハ・ハディド案の取り扱いについて」全文
槇文彦、内藤廣らが登壇 シンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」レポート
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新国立競技場コンペ審査委員 内藤廣のコメント全文
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