23 7月, 2015

黒川彰による目黒のオフィスリノベーション「AAR Office interior」

黒川彰(Sho Kurokawa architects)による目黒にあるAAR Japan(NPO法人難民を助ける会)と、社会福祉法人さぽうと21のオフィスリノベーションの内覧会に行ってきました。

 1970年竣工のビルのワンフロア177m2のリノベーション。黒川さんのデビュー作だ。


 はじめに紹介すると、黒川彰さんは黒川雅之さんのご子息、つまり黒川紀章さんの甥にあたる。


既存状態ではオフィス什器が雑然と並び、必要な物が単にフロアに置いてあるというような印象。
(photo: Sho Kurokawa architects)


 既存の什器は今回刷新はできないので、そこからコンテクストを拾い上げ、"壁" を作った。


 壁により、事務スペース・多目的スペース・打合せスペースとのゾーニング、資料棚や書庫スペースの確保、ロッカーなど大型什器の目隠し、展示・掲示スペースとして多機能、そして秩序を持たせることができた。

 拾い上げたコンテクストを壁の材質、サイズ、色、掲示用フレームの高さ等に落とし込んだ。


 掲示用フレームは立て掛けても、磁石による掲示も可能で、ピッチはA3の高さに。


日本語の学習支援もしていることから、50人ほどが集まることもあるため窓際には机も設えた。

 壁の一部には地雷やクラスター爆弾の信管や炸薬が抜かれた本物が展示されている。
紛争地域・元紛争地域にはこれらの対人地雷が大量に埋設されており、誤って触れた市民がその犠牲になる。しかも命を取り留めながら足や腕を失うといった生活困難者になることが多い(命は奪わず生活や自由を奪うのが対人地雷の目的)。そういった人々を支援するのもAAR Japanの活動の一つだ。

 日本もかつては対人地雷を製造・保有していた。
説明パネルはグラフィックデザイナーの岡崎真理子が手掛けた。




 黒川彰さんを挟んで、"AAR Japan” と、姉妹団体 “さぽうと21” の方々。
AAR Japanでは、先のネパール大地震での緊急支援や、シリアからトルコに逃れた難民の支援、東日本大震災での復興支援などもしており、その活動は60以上の国と地域に及んでいる。
さぽうと21では、日本に定住するインドシナ難民、条約難民、中国帰国者、日系定住者及びその子弟などの自立を支援している。

 ちなみに今回のオフィスが入居するミズホビルは、INA新建築研究所による設計で1970年に竣工した建物。


 エレベーターシャフトと階段が円弧に納まっている。



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