04 3月, 2016

5組の建築家が参加したコンペ「Bicycle street Design competition Aoyama」公開審査

千葉学、手塚貴晴、谷尻誠、ツバメアーキテクツ、山口一紀らが参加の指名コンペ「Bicycle street Design competition Toyama 2015」(BDA)の公開審査会に行ってきました。
東京・青山は2009年に「自転車に優しい街」を宣言。2012年に青山に相応しい駐輪スペースのアイデアを公募によるコンペを実施してきたが、4回目の今年は上記建築家5組を招聘し指名コンペのかたちを取った。
対象エリア・テーマは、「青山通り(青山1丁目から外苑前まで)と周辺の区立公園を「自転車に優しい街」にふさわしい環境にするにはどうすればいいか。駐輪ラックのデザインも併せて提案。」

 会場は南青山にあるシマノが運営する「ライフ・クリエーション・スペース OVE(オーブ)」


 審査委員4名、右から、宮内忍(八重洲出版 チクリッシモ編集長/審査委員長)、松下計(東京芸術大学教授/グラフィックデザイナー)、佐藤博史(港区赤坂総合支所 協働推進課長)、坂本力氏(青山商店会連合会 理事長)の各氏。

クジで決めたという発表順に各案を紹介
 手塚貴晴さん(手塚建築研究所)
この日手塚さんはインフルエンザでSkypeからプレゼンテーションを行った。
学生の頃自転車部にも所属していた自転車好き。車道の左側で車に2度巻き込まれる事故を経験しているという。

 道路の端を時速5km以下の低速レーンにし、子どもなどが安全に自転車で走れるようにし、中央分離帯を使って時速30km程度の高速自転車レーンにする。
そして歩道側には駐輪禁止にして、中央分離帯側に立体的な駐輪場を設ける。

 自転車の種類によって様々なタイヤ幅が問題になるが、、、


 板に何種類かのタイヤサイズに合わせた切り込みを入れた自転車ラックを提案。


 フィンランドの設計事務所OOPEAA(オーピエ)に在籍する山口一紀さん。
フィンランドやデンマークの自転車事情などのリサーチから紹介。

 街中でよく見掛ける “単管バリケード”。エリアを仕切ったり、交通整理にも使われるこれに注目。


 都心では「○○専用」といった常設的なゾーニングは難しいと考え、単管バリケードに駐輪ラックの機能を持たせながら、両方の機能を持たせ、フレキシブルに対応させるというアイデア。


 これによりイベント等の際、自転車レーンを作ったり、駐輪場としてその都度活躍できる


 千葉元生さん、山道拓人さん、+西川日満里さん(ツバメアーキテクツ)
対象エリアのフィールドワークにより平日251台の路上駐輪自転車を確認。

 対象エリアの歩道橋下、交通インフラの脇、店舗等の軒先、公開空地などを活用し駐輪場を設置。


 自転車のみならず、ベビーカーや車椅子なども鑑みたアイデア。


 さらに運営組織をつくり、官・民・スペースの持ち主らとコストを負担し合い、利用料や広告料などを得ながら持続可能な事業とする。


 【優秀賞】(次点)の谷尻誠さん(サポーズデザインオフィス)
以前からダウンヒルが大好きで、自転車を続けるためにフリーランスになったとか。
「こんなのがあったらいいな、というちょっと夢のようででありながら、不可能ではないギリギリの提案になりますが。」と前置きしながら、、

 平面的ではなく、立体的な思考で街の機能・可能性を広げる。
歩行者は野山を散策するように、目線の高さがの変わりながら街を楽しむ。立体にすることで生まれた高架下を駐輪スペースに。

 目的の場所へ移動するだけの青山通りに溜まり場が生まれるれ、人・自転車・街が一体となる。


 そして自転車と人との距離感を縮めることができるラック。

 【最優秀賞】の千葉学さん(千葉学建築計画事務所)
自称 “バカ” が付くほどの自転車好きという千葉さん。本コンペ発起人の一人であり、1回目からの審査員である氏は4年間温めてきたアイデアを披露。

 左端を自転車レーンにする試みはあるが、バス停、タクシーの乗降、荷物の積み卸しなど障害が多い。


 手塚さんも提案した、中央分離帯を自転車専用道にする「バイシクルハイウェイ」。


広くは都心に繋がる幹線道路に設け、都市を自転車で走る楽しさを象徴する。

 新たに駐輪場を設置するのは難しいので、既存の設備を有効活用する「リーフラック」。


 パイプ型のガードレールに巻き付ける。


 素材はカーボンで、弾力性があり、様々なタイヤサイズに対応でき、ホイールを傷つけにくい。ボルトで簡単に取り付けられる。
後輪保持には、地面にゴム製の凹みを設置する。


 審査委員からは「非常に説得力があり、現実的なアイデア。かつ都市の新しい姿を描いている。」といった講評が相次ぎ、満場一致での最優秀賞だった。

谷尻さん設計の “Onomichi U2” に千葉さんも行ったことがあるそうで、自転車談義が尽きない二人。
「自転車環境の整備が、都市をサイクリストにとってだけでなく、誰にとっても住みやすく、楽しく、生き生きとしたものになって欲しい。」千葉さん


(※紹介した全ての作品は、出品者がその知的財産権を保有しており無断で模倣することはできません)
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【第4回 BDA】

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