11 7月, 2017

川辺直哉の自邸「泉区中田の住宅」

川辺直哉(川辺直哉建築設計事務所)が手掛けた横浜の自邸「泉区中田の住宅」を見学してきました。竣工・引越から1年が経過しており、外構の植栽や室内も落ち着き、満を持しての公開となった。


敷地面積129m2、延床面積104m2。RC造2階建て。
元々近所の賃貸住宅に住んでいた川辺さんは、お子さんの学校環境や今までの生活環境が変わらぬように地元で土地を探し、気に入ったのがこの3面接道の変形角地だ。


建物は大きく二つのボリュームに分かれており、その間に玄関アプローチがある。(引きが取れず全体が撮影できなかったのが残念)


アプローチの周り含め外構には様々な草木が植えられ、週末にはご夫婦でよく手入れをするそうだ。


玄関扉の横にはガラリで通風できるように。ここまで木造に見えなくもなかったが、内部にRCの躯体が見えてきた。左には下足入れや、ロフト付きの納戸。


玄関を入ると目の前に、約6mの吹き抜けのホールと、スチール製の階段が3つ出迎える。


吹き抜けは外観で見えた二つのボリュームの交点。右側に二つの子供室と奥に主寝室が並ぶ。


子供室の前から見ると、交点にもう一つ小さなボリュームが嵌合しているが分かる。扉はトイレで、その左は小さなサンルーム。

サンルームからは坪庭を愛でながら自分の空間をつくることが出来る。


サンルームから見るとこのように。子供室の引戸が2枚並び、地窓から光と植栽が覗く。


子供室の前から。正面奥は洗面コーナー。その左に水回り。
お気付きだろうか、ホールを中心に見る向きを変えると、全く表情が変わっていることを。


洗面コーナー


ホールの見上げ。ボリューム同士が合わさった部分が三角形の吹き抜けをつくり、RC躯体と、2階の床は木造なのが分かる。また高さの異なる天井が5面も見える。

躯体と、床・階段の納まりには気を使い、右に見えるように、全て壁の木口はモルタルで滑らかに仕上げられている。
「躯体の状態のときにかなり手を掛けた。」と川辺さん。


このカットだけを見せられたら、これだけ見せ場があるような住宅には見えない、不思議な建築だ。
設計や、監理など全て川辺さん自身が手掛け、スタッフはほとんど関わらなかったそうだ。

2階へ上がる途中、踊り場は植物に囲まれた居場所。1階のサンルームでは南側開口、ここでは北側開口で性格の異なる光を楽しむことができる。


踊り場から振り返る。左にダイニング、キッチン、スタディーコーナー。右にリビング、バルコニー。

ダイニング。オリジナルの丸テーブルを4種類の椅子が囲む。窓際には大小様々な植物。

ダイニングを中心に向きを変えると周囲の見え方ががらりと変化する。

リビングから。この住宅はある1箇所からの代表的なアングルが存在しない。撮影をしていて、20〜30cm位置を変えるとファインダーに見える画が全く変わるのだ。それは上下2枚の写真で見える4枚の壁によるものだと気付いた。そして1階での天高の違い、2階では床レベルの違いとが複雑で高度に構成されバランスを取っている。


キッチン。上が開いており、隣のスタディコーナーと通じている。右上はスタディコーナーから出し入れするロフト収納。




スタディーコーナー。長机が一枚のシンプルな空間が、開口によって単調にならないように工夫されている。


明確な仕切りはないが、構造壁で絶妙に仕切られている。


次に左上のリビングへ。


リビングはテレビを見る場所として他と切り離されている。天井は2.2mと低め。奥の右手にバルコニー。


バルコニーも屋外の居場所として存在している。


自邸を建てたことについて川辺さんは「子どももう高校生と中学生。あと何年か、10年も経てば家を出てしまうでしょうから、今のうちに “実家” をつくってあげたかった。」と話す。




川辺直哉さん。「内と外をひっくり返したような住宅です。外壁を(外断熱で)きれいに仕上げ、内壁はPコンの跡もそのままにラフに仕上げました。そして内には外と同じくらい植栽を置いてさらに外のように感じさせています。」
「三面接道の敷地を選んだので、色々な方向を向こうと思い、二つのボリュームに角度を付け性格の異なる開口と居場所をいくつも作りました。」


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