28 1月, 2019

新関謙一郎による目黒の住宅「NKN Project」

新関謙一郎/NIIZEKI STUDIOによる目黒区の住宅「NKN Project」を見学してきました。
二組のクライアントによる依頼でA・B二棟建っている住宅だ。

 左のA棟は敷地面積100m2。右のB棟は敷地面積165m2。
二組のクライアントは同じ敷地を気に入りそれぞれに分筆、新関さんに設計を依頼してプロジェクトがスタートした。

 敷地は接道より1.8m程の高低差がある。公園の中に入り込むような敷地で、当然この公園に対してどう向き合うかが大きなテーマとなる。そのため外観や基本的なコンテクストの解釈は両棟とも共通になるよう設計側で主導し、内部の細かな要望をそれぞれのクライアントと詰めていくというコーポラティブハウスに近い形となった。

 「外観は街のためにある」という新関さん。常にシンプルなボリュームを美しい構成で街に据える。
まずはA棟へ。前庭はピンコロ石を敷き駐車場に。公園の木々と親和するように大きめの木が植わる。

 両棟の境界は直線であるが、間にアイビーを植え、手前をA家、奥をB家が面倒を見る。またA棟にとってB棟の壁が塀になるような、その逆でもあるような、お互いが少し関係性を持ちながら計画されている。

 玄関を開けるとすぐ大きな一枚壁と、壁のような収納に挟まれた空間の先に公園が覗く。壁は大きめの骨材が入った土壁左官刷毛引き仕上げ。
左手に水回り、左後ろに主寝室、階段を上がってLDへ通じる。

 水回りはトイレ(筆者後ろ)と洗面室が一体で、ガラス扉の奥がシャワー室。

 照明を消すと洞窟の如き空間へ雰囲気を変えた、天高3.4mの半階下のフリールームへ。セカンドリビングのような使い方も想定してるそうだ。

 階段より少し手前までが収納で、、、

 裏側は書斎になっている。

 2階LD。一部引越が済んでおり家具が入りはじめていた。

 2面の大開口から公園の緑を贅沢に享受できる。常緑樹が多く殆どの視線は遮られているがロールスクリーンが備わる。

 振り返ってダイニングスペース。奥は子ども室とキッチンへ通じる。

 屋上も設けた。森を眺めながら寛げるキャンティレバーのテーブルと、ベンチが作り付けられている。

 次にB棟へ。

 木製シャッターを持つガレージと、その横の扉を開けるとアプローチが現れる。

 遺跡のような重厚な佇まい。

 玄関ポーチ前で見返す。ガレージには大きな正方形の開口が設けられており、ガレージ内の閉塞感をなくしている。

 玄関扉を開けると向かい側に中庭と連続するよう引戸が設えてある。
動線は左右へ振り分けられる。左下がリビングとDKへ、左上が主寝室、さらに左手にゲストルーム、右上が子ども室と水回りへ通じる。

 ゲストルーム。台形のためデスクが鋭角な三角形に。開口はサッシュを全面引き込むことができる。

 バルコニーから見えるルーバーの内側には設備類が納まる。

 2階主寝室。二面の開口は左が北西を向く。

 主寝室の奥は収納やウォークインクローゼット(W. C)へ通じる。

 W. Cとバルコニー。さらに奥へ通じているようだ。

 こちらのバルコニー(屋上)は照明を備え、バーベキューなども楽しめそうだ。

 W. Cを抜けると、玄関から上がることのできる2階へ通じていた。

 見返すとこのように。左から子ども室1、W. Cへ、玄関へ、水回り、背後に子ども室2となる。機能上、長手方向に細かく分節された。

 子ども室2。こちらの部屋には植栽のある小さなバルコニーがつき、その先に公園の緑も望める。

 浴室はダークな色調のモザイクタイルを貼った。縦スリットの開口からは中庭の緑が覗く。

 2階から地下1階を対角に見通せることで空間に奥行きを感じられる。

 地下1階リビング。天高4.6mのゆったりした気積に、開口一杯の緑。植栽のすぐ向こうまで、公園で遊ぶ子どもが来ることもあるとか。
庭には屋外家具を置き、アウターリビングとしても使うという。

 電動のロールスクリーンは遮光タイプ。壁には暖炉が埋め込まれる。その奥はDKで、リビングに置かれるソファが届いていた。

「ここは造成された擁壁によって公園と分断された敷地でした。『公園に隣接する住宅』ではなく、『公園の中にある住宅』と考え、住宅によって公園が切り取られるのではなく、住宅によって公園を広げるというイメージで、『森を街に返していく』ことを目指し、かつてあったこの地域の地形に戻すことからはじめました。」と新関謙一郎さん。

【NKN Project】
設計:NIIZEKI STUDIO
構造:長谷川大輔構造計画
施工:栄港建設
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