05 9月, 2012

[ヴェネチア・ビエンナーレ 国際建築展3]
各国パビリオン レポート

ヴェネチア・ビエンナーレ 第13回国際建築展 La Biennale

ビエンナーレの主会場はヴェネツィア市街最大の公園・ジャルディーニで行われています。園内には参加各国の政府が所有・管理する30のパビリオンが建っており、パビリオンを持っていない国はアセナーレに展示場所を間借りし、今回の総合ディレクターのデイビット・チッパーフィールドのテーマである「COMMON GROUND」を元に各国のコミッショナーがそれぞれのテーマで発表しています。
今回は13カ国のパビリオンと展示を紹介します。

【フィンランド】New Forms in Wood

フィンランドのパビリオンはアルヴァ・アアルトが設計。
インテリアは今回の展示を機に改装されたそうです。
アルヴァ・アアルトもそうでしたが、現代フィンランド建築家も木を建材に使うことを好みます。今回はフィンランドの若手建築家たちによる、木造建築を展示していました。

【オーストリア】Hands Have No Tears to Flow
オーストリアの展示では、建築らしいものは一切展示されていませんでした。展示はプロジェクターから映し出される人体のアニメーション。

私たちの生活が科学の発達によって変わってきたと同時に人体も中身も変わってきています。このような状況の中、建築には何が出来るのでしょうか。

【ドイツ】Reduce/Reuse/Recycle -Resource Architecture
ドイツの展示はドイツらしくエコロジーをテーマに。
Reduce/Reuse/Recycle をキャンペーンに廃棄物に新しい価値を見いだし、建材に利用します。 同じように、既存の建物にも敬意を表し建築的な新しい価値を見いだした資源とする考え方を展示していました。
展示の歩道に使われていたのは、ヴェニチアのアクアアルタ時に使われていたものを再利用していました。どこまでもエコなドイツでした。

【スイス】And Now the Ensemble!!!
 例外的・日常的なもの、古いもの・新しいものを全体的に統一感を持って備えたコラージュを写真で表現。
Quintus Millar & Paola Maranta は、彼らの参考図書を壁一面に展示。


【イスラエル】Aircraft Carrier
 "Aircraft Carrier"では、1973年以来アメリカ的なアイディアによって可能にしたイスラエル建築の急速な変化について取り組んでいます。その結果として生じる環境と建てられた建築を展示しています。

【ロシア】i-city
 Skolkovoは、モスクワの近くに位置する、新しいアイディアがたくさん発祥するロシアのシリコンバレーのような街です。Skolkovoの都市計画はテクノロジー、研究、サステイナビリティーを元に計画され、世界的に活躍する建築家たちによって計画されたプロジェクトをiPadからQRコードを読み取り、観れるように展示していました。
ロシアは、パビリオン賞を受賞。

【セルビア共和国】 Jedan:sto/100
『全体として知覚することが不可能なオブジェは美しいもの。』
 パビリオンのほとんどを埋め尽くす巨大な白いテーブルは、サスペンションで両側から支えられており、表面を叩くと太鼓のような音が鳴ります。壁側にはセンサーが仕込んであるようで、エコーが新たに加わり面白い効果音が鳴り響いていました。

【アメリカ合衆国】Spontaneous Interventions: Design Action for the Common Good 
都市域をポジティブに変えていこうとする120人の建築家や、デザイナー、計画家、芸術家、また市民の新たな活動を研究する展示。
 それぞれが問題を指摘し、市民のために都市が抱える問題をポジティブに解決しようとします。仮設建築から、自転車の車線、都市の農園などについて研究し、アイディアを出したとても興味深い展示でした。
 アメリカ合衆国は、パビリオン賞を受賞。

【ブラジル】ConVivencia: Lucio Costa, Marcio Kogan
 Lucio Costaの歴史的なインスタレーション"Riposatevi"(上)とMarcio Koganによる、コンテンポラリーなインスタレーション(下)が交わった展示。

【イタリア】Le quattro stagiorni
土地と環境については経済発展と共に議論され、ビジネスと建築は経済の回復には欠かせないものだと述べています。

【アイルランド】SHIFTING GROUND
 Heneghan peng architect による展示。
アイルランドは国際化された国で、実に様々な言葉が混じり合っています。その共通言語として、ジオメトリーと数字で表現しています。動くベンチと壁のグラフィック。

【タイ】 Common College
 100つものアイディアを共通基盤として紹介しています。
タイの国民文化を過去のものも現代のものも全てが「現状」に起きていることとして、どんな空間を共有出来るか、どんな場所で、どんな時間で、どんなコラボレーションが行えるか、、、?

【チリ】CANCHA
”cancha"は人々が出会うオープンスペースを意味し、また隠喩でチリのテリトリーという意味でもあります。二つの意味を持つ言葉と同じように、床には粒子のサイズ違いの塩をグリッド状に配置。砂漠を新しい都市ランドスケープに変換するプロジェクトなどを展示しています。

【ポーランド】Making The Walls Quake As If They Were Dilating With The Secret Knowledge of Great Powers
 Sound Sculpture by Katarzyna Krakowiak.
音の彫刻とは、とても素敵な名前。今回音を使ったインスタレーションは全部で5つありましたが、ポーランドのパビリオンでは床を傾いた床や壁から振動によって壁に音が伝わるように設定し、訪れる人々は壁に耳をあてて音を聴いていました。
Making The Walls Quake As If They Were Dilating With The Secret Knowledge of Great Powersのタイトルのように隠された何か大きな力によって壁が震えているのだと教えています。
 ポーランドは、パビリオン賞を受賞。

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