13 2月, 2013

岸本和彦による「Casa さかのうえ」

岸本和彦 / acaa (Kazuhiko Kishimoto / acaa) にる横浜の住居兼・多目的スペース「Casa さかのうえ」を見学してきました。

敷地面積132m2、延床面積158m2。木造2階建て。傾斜地を利用したユニークな構成になっている。

塊感のある建物が傾斜に合わせ高さの異なる壁柱によって浮かんでいる。左の一番高い壁柱は3.7m、右の(見切れているが)一番低いものが1.5m。反対側まで抜けた先は雑木林になった崖だ。

どこからアプローチするのか迷う一見複雑なステップだが、奥に石段があるのでそこを目指させばルートが分かった。

 ステップを上がると中央に四角い中庭があり、周囲のデッキとは表情を変え「アウターギャラリー」と呼び、正面のガラス張りにはインナーギャラリーがレイアウトされている。
つまりデッキを含めこの周囲全てがギャラリーやイベントに利用され、人々が集い、そのまま外に連続できるようになっている。

 円形にくり抜かれた場所も。当然憩いの場になるだろう。

床下を抜け反対側に出るとファサードには開口が多く、雑木林を借景に四季を楽しめる。ギャラリーの窓の下が盛り上がっているのは、中から見たとき山の斜面に連続して見えるようにだ。

 アウターギャラリーには階段が二つ。住居用と、ワークスペース用だ。植わっているのはモミジ。

 住居用の階段を上がって振り返る。

 玄関を入って左はキッチンとリビング。トップライトが大きく開いている。

 右はダイニング兼客間。床中央の四角い切れ込みは、持ち上がってテーブルになり、足元は掘りごたつ。

 雑木林の崖を見下ろすと乗馬場が見える。白馬が見えるのがお分かりになるだろうか。

施主の要望は「30人40人集まっても大丈夫な家」。岸本さんは、どの場所が何用とは決めつけず至る所に座れるように設計した。 

 奥さまは友人とワイワイしながら料理ができるようにと広めの作業台をリクエスト。 


 2階に上がった所はアトリエスペース。ご家族で絵を描いたりパソコンをしたり、勉強をしたりできるように。


 アトリエスペースを曲がった廊下の左は水回り、突き当たりがトイレで、その左が寝室。


 寝室は手前の子供室、奥の主寝室とワンルームで、可動式の家具やカーテンで緩く仕切る。

 主寝室。この下は玄関横の掘りごたつのある部屋の上だ。 正面下部の開口部は実際にはポリカの板がはめ込まれる。その左は収納。

 トップライトは道路斜線に合わせて傾斜しているのでハイサイドライトとも言える付き方だ。向かいの屋根越しの遠くには富士山も望める。

 キッチンまで戻って "隠し扉" があることを知る。開けると1.4m高のロフト空間で主に収納スペースだ。

 ロフトの収納を突き当たって左に曲がると、ワークスペースの玄関に出てくる。

 ワークスペースはご主人が仕事をしたり、私塾も開く予定だそうで、奥の窓に付く引戸がホワイトボードになっている。左の小窓はギャラリーに通じている。 

その小窓から見下ろすギャラリーは約7帖。施主は大勢の人と交流するのがとても好きで、ここをアートやイベントのスペースとして貸し出し地域のコミュニティを作り出せたらと望んでいる。近隣に慶応大学もあることから学生たちにも広く利用していってもえるようにする予定だそうで、それが「Casa さかのうえ」という施設名ということだ。 

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