12 11月, 2014

14組の建築家による「新しい建築の楽しさ 2014・前期」レポート

11月6日より東京・京橋のAGC studioで始まった「新しい建築の楽しさ 2014」前期展に行ってきました。
恒例となってきた本展は今年で3回目。地に足を着け、社会との関わり方を模索する30〜40代の若手建築家14組が手がける最新のプロジェクトの模型を、前期と後期に分けて展示。いずれも実施を前提、或いは竣工済みのプロジェクトだ。

今回の会場構成を担当したのは萬代基介。繊細でありながら存在感があり、しかし模型を引き立てる展示台をデザインした。

 無数の細いスチールロッドで、厚さ2mmのアクリル板を支えている。


 2月5日に行われるフォーラムでこちらの話もされることだろう。


前期展では14組のうち7組の作品が展示されている。

 〈まるほん旅館改修プロジェクト〉久保秀朗+都島有美
群馬で400年以上続く老舗旅館の改修。あえて部分的建築で複雑さを足していきながら改修を進め、旅館の持続可能性を模索するプロジェクト。模型はそのうちの小さな風呂小屋。


 〈赤坂6丁目プロジェクト〉木下昌大


  都心の集合住宅。煉瓦の透かし積みのスクリーンでセミオープンな開口を用いて内外の関係に幅を持たせる。不動産の経済原則に従いながらも住戸の多様性を確保し、街の風景を刷新する集合住宅の新しいプロトタイプを目指した。 
>> 竣工後の「Akasaka Brick Residence」取材記事


 〈A-School Project〉藤原徹平


 埼玉・深谷の医療系専修学校。勉強熱心で学校での滞在時間がやたら長い学生のために、事業効率性を保持したまま空間の豊かさを生み出すのが課題。お気に入りの場所を探したり、授業を受ける教室を目指しながら人が立体的に動く活発な状況を建築によって生み出す。
>> 竣工後の「Aoi Medical Academy」取材記事


 〈HS project〉栗田祥弘


 東京・天王洲対岸の活性化プロジェクト。運河沿いの古い建物を再生し水辺の賑わいを復活させる。船着き場やいかだの様な場を水上に作り、水運を使った往来も含め水辺に人が集まる工夫と居場所を考えている。


 〈みんなの別荘プロジェクト〉松井亮 


 神奈川・箱根の保養所を改修しシェア別荘として再生させるプロジェクト。保養所として既に十分な共有空間は備わるが、個人や家族利用のための空間が不足している。施設全体のパブリックとパーソナルのバランスを分散。森をシェアする仕掛を点在させている。


 〈Dragon Court Village〉 稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐


 郊外住宅地の賃貸長屋の段階的計画。軒下を中心とした立体的な外部空間とアネックスを備えポーラスな建築に。中長期的にアネックスの交換や借り増し、軒下の増改築などの持続可能性を取り込む試み。さらに隣地への集合住宅の計画により敷地を横断する連鎖をも試みる。


 〈鶴ヶ島太陽光発電所・環境教育施設『eコラボつるがしま』〉工藤和美+藤村龍至
埼玉の太陽光発電所に併設された、複数の機能をもつ施設。大学院生らが設計に参加し建築家が指導を行った。住民投票によるランキングを繰り返し段階的に案を統合。多数決投票ではなく、投票を用いて課題を抽出していった。


後期には松島潤平、三浦慎、伊藤暁+須磨一清+坂東幸輔、菅原大輔、川添善行、田辺雄之、三浦丈典が展示を行う。

【新しい建築の楽しさ 2014】 
会期:前期/2014年11月6日〜12月26日
   後期/2015年1月6日〜2月21日
会場:AGC studio
企画:中崎隆司
詳細:https://www.agcstudio.jp/project/pdf/project_12th.pdf

【フォーラム】18:30 - 20:00

11/20 リノベーションは多様化する  栗田祥弘/松井亮/久保秀朗
12/10 新しい設計体制を構築する 藤村龍至/稲垣淳哉
12/18 新しい景観をつくる 藤原徹平/木下昌大
1/15 新しい形式をつくる 川添善行/伊藤暁 + 須磨一清 + 坂東幸輔
2/5 人を集める 田辺雄之/三浦丈典/萬代基介
2/19 居場所をつくる 松島潤平/三浦慎/菅原大輔



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