25 1月, 2017

「新しい建築の楽しさ2016:後期展」レポート

1月10日から開催の「新しい建築の楽しさ 2016:後期展」に行ってきました。会場は東京・京橋のAGC studio。
この後期展には大西麻貴+百田有希、高野洋平+森田祥子、山﨑健太郎、馬場兼伸、伊藤立平、落合正行の6作品が出展されている。
前期展では神本豊秋、小川博央、能作淳平、岩瀬諒子、山岸綾、蘆田暢人が出展した。
会場構成はバンバ タカユキ。企画は中崎隆司。

 前期展では西日が差し込む時間に訪れたが、後期展では日没後のニュートラルな状態を撮影した。
バンバさんが担当した会場構成については前期展の記事に詳しい。

 〈福智町立図書館・歴史資料館 ふくちのち〉 大西麻貴+百田有希/o+h
福岡県福智町の図書館と歴史資料館からなる複合施設へのコンバージョンプロジェクト。

 1階は文化活動が広がる屋内広場のような空間で、2階には小さな居場所をつくる。本をきっかけに様々な出会いが起こる場所になるよう建物全体が図書館であり、歴史資料館となる。


 小さな居場所の例。子どもたちが楽しみながら読書できる積み木のような本棚。



大西麻貴さん、百田有希さん

 〈土佐市複合文化施設〉 高野洋平+森田祥子/MARU。Architecture、聖建築研究所
高知県土佐市の図書館、ホール、公民館、社会福祉協議会、商工会からなる複合施設。


 テーマは「ミチ文化」。水運が発達した歴史や、道路を使って行われる祭りや市、日本古来のミチ文化が息づく地域にあって、建築内にミチを取り込み、ミチを巡ることで活動や情報との出会いを生み出し、ミチに沿って賑わう風景をつくる。



高野洋平さん、森田祥子さん

 〈五十二間の縁側〉 山﨑健太郎デザインワークショップ
千葉県八千代市の宅幼老所(小規模多機能型居宅介護施設)


 デイサービスや宿泊、訪問介護センター、さらに子ども食堂、就労支援スペースとして工房、寺子屋も併設。緩やかに起伏する敷地に合わせ縁側と、雨水を活用した水辺をもつ縁の下や畑は地域、子ども、お年寄りたちの新しい営みの場となる。



山﨑健太郎さん

 〈代田の長屋〉 馬場兼伸建築設計事務所/B2Aarchitects
東京都世田谷区の賃貸アパート。


 均等に開口が並ぶ外壁の中は上下左右異なる広がりを持つ6住戸からなり、条件に応じて独立性や採光性を重視したものなど性格が異なる。殻と中身のずれの狭間に、静かに多様な生活が展開することを想像している。


 〈木の風景〉 伊藤立平建築設計事務所
山口県長門市の製材業を営む一家のための、ギャラリーと住宅が一体の施設。


 家具や木工品、材料のショールームが併設。規格材による積層壁は架構の一部でもあり、場所に応じて寸法を変え様々な用途に対応させた。製材所、来訪者、地域の人々、家族との関係を築き、活力のある場を生むことを目指す。


 〈いこうファームのキッチン・ラウンジ〉 落合正行 PEA.../落合建築設計事務所
東京都足立区の貸農園に併設する共同のキッチン・ラウンジ。


 農園利用者や周辺の人たちも利用できるキッチン・ラウンジを併設し、プライベートだった場所をパブリックに開き、地域に関わりながら建築によって付加価値を生み出していく仕組み。私有地を公共性の高い場所に変えることはリスクを負うが、新たな土地活用のあり方を問う。


 この日は出展者3組が登壇し「パブリックスペースの中にプライベートスペースをつくる」というテーマでフォーラムが開催された。


 本展の企画者でフォーラムのモデレーターも務める中﨑隆司さん。

【新し建築の楽しさ2016:後期展】
会期:2017年1月10日~3月4日
会場:AGC studio(東京・京橋)
詳細:www.agcstudio.jp/project/pdf/project19th.pdf

※2月16日、出展者である馬場兼伸、伊藤立平、落合正行登壇のフォーラムが開催。

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