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大山崎駅から山へ向かって歩を進めてゆくと、森の中に美術館が見えてきます。イギリスのチューダー様式をもとに、別荘として大正の初めから昭和初期にかけて建てられた建物。
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旧館と新館からなる美術館。旧館は実業家でもあり、登山家でもあり、建築家でもあった加賀正太郎の設計によるもの。その後、旧館の補修と新館を安藤忠雄が担当。安藤さんは「新しいものと古いものとの対話」を意識されたそうです。
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入り口を入ってすぐ、銘木の下に造り付けられた革張りのソファーがお出迎え。建物もさることながら、新旧「いす」による対話が始まります。
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かつてダイニングだった部屋は、今回の展示では、京都を中心に活躍した黒田辰秋の特別展示室。
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こちらは黒田が二十代の頃の作品だそうですが、なんとも早熟。民芸運動の一翼を担った黒田辰秋の力量がはっきりと見てとれます。
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多趣味だった加賀正太郎さんの一面がうかがえる空間の一例。三階部分で演劇や歌が繰りひろげられ、二階のホールはその鑑賞スペースとして使用されていたことも。左奥の部屋には長期滞在される客人のための客間。
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畳が仮設され、低座椅子などが展示してあります。右は、海外の民芸に触発されて作られたという平松源さんの座椅子。左は、笹倉徹さんによる欅の椅子。奥は、佃眞吾さんによる栗の長椅子。
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客間の外側の北に面したバルコニー。現在、安藤さんによる別館が建設中。左に見える塔は木造三階建ての白雲楼。最上階から敷地を見渡し設計管理をした加賀正太郎。今もって安藤さんや職人は厳しいまなざしを感じるかもしれません。
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南に面した反対側のバルコニーからの眺め。イギリスのウィンザー城を訪れた際に眺めたテムズの流れの記憶から、木津、宇治、桂の三川が合流するこの地に加賀さんは山荘を建てることを決意したそうです。
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一階中央の広間に戻って、さらに新作の椅子たちと対面。客間にあった低座椅子もそうですが、座面の広い椅子は、床に座する日本人の生活の名残を感じさせます。
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右は、窪田謙二さんのアームチェア。とても座り心地がよかったです。左は、宮本貞治さんの長椅子。座面にはわずかな凹凸が。水の波紋を表現しているようです。
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一部漆の塗られたかわいらしい欅のスツール。田中清貴さんの作品。
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すわることはできませんが、著名人が実際に使っている椅子も展示。左から京都府知事の山田啓二さん、タレントのおかけんたさん、大阪府知事の橋下徹さんのもの。
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見ているだけで楽しくなってくる様々な椅子。すわりながら自分のお気に入りを探すのもいいかも。
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旧館から新館へ。それらを繋ぐ通路。安藤さんは環境への配慮から建物のほとんどを地中に埋めてしまいました。
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作品に対峙するための時間を用意された思いで、長い階段を降りてゆきます。
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普段は「睡蓮」があまりにも有名なモネの作品を飾るスペースですが、展覧会期間中は沢山の椅子も置いてあります。好きな椅子を選んで絵の前にすわってみてください。右に見えるのが、山本伸二さんによる巨大な「オーム貝のベンチ」。
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坂田卓也さんの「Low rocker」という椅子。すわって揺らしていると、とても心地よいです。
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八十原誠さんのスツール。
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子供と遊びながらすわれる椅子群。
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部屋に光を落とすトップライト。建物上部は環境に馴染むように植栽されています。
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きれいなディテールです。
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新旧の時間を繋いでいる川の流れ。
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そして、モネの絵から飛び出してきたかのような蓮の池。シーズンにはさぞ素晴らしいことでしょう。建築が環境と切り離せないということを存分に感じさせてくれる展覧会でした。
会場:アサヒビール大山崎山荘美術館
会期:9月25日(日)まで
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