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敷地面積62m2、建築面積37m2、延床面積98m2。1階RC造、2・3階木造。
敷地は江戸時代に造られた運河のほとり。昭和になってから護岸と堤防が造られ、さらにその後運河は埋め立てられ、長細い土地だけが取り残されたような格好だ。
敷地は江戸時代に造られた運河のほとり。昭和になってから護岸と堤防が造られ、さらにその後運河は埋め立てられ、長細い土地だけが取り残されたような格好だ。
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前面道路に17m接するも、奥行きは3.6mの敷地に、間口16m×奥行き3mの建物。通りに対して圧迫感のある「壁」にならないような佇まいを検討した。
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埋め立てられた運河の上は現在区の土木事務所となっており、今回住宅を建てる際、測量したところ堤防が50〜60cmほど越境していた。この堤防を削るために調査、予算計上、承認、工事手配などなど役所側で時間が掛かり、計画開始から4年を経ての竣工となったそうだ。
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1階部分はRC。通りに広く面しているので「守る」ための強さや、上階との差を付け圧迫感を軽減させる。
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敷地ぎりぎりに建てることもできたが、同じく圧迫感を軽減させるために50cmほどセットバックさせた。その分室内は狭くなるので出窓を効果的に利用。
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玄関は端に設けると洞窟のようになってしまうため、建物の中心に据えた。
コンクリートの型枠はラーチの荒っぽい木目を出し、それに合わせるように壁の内側もラーチで仕上げた。
コンクリートの型枠はラーチの荒っぽい木目を出し、それに合わせるように壁の内側もラーチで仕上げた。
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反対側からも上り降りできる立体回遊型。
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片側は階段というより3段のスキップフロア。上面には畳が張ってあり、子どものプレイスペースであり、読書スペースになる。
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中2階にはパントリーとトイレ。ニコ設計室では色を積極的に使う。
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2階へ。
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2階中心にDK一体の居間。壁は内-内で2.5mしかないため、キッチン部分の両側に出窓を設け幅を確保した。
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これだけ細長いと耐力壁による空間遮断の問題が出てくるが、大学で構造の教員である施主は、自ら構造設計を行った。
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上棟時のカット。右は120角ながら左(接道側)の柱を240×120とし、さらに梁成600の強力な合板重複梁を3本掛けた。
これにより梁方向に耐力壁がなく、すっきりした空間をつくることができる。
これにより梁方向に耐力壁がなく、すっきりした空間をつくることができる。
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キッチンからそのまま繋がる居間ダイニング。大きな梁が見えているが空間を遮断することはない。
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居間を抜けるとスロープで畳間へ。
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畳間を抜けるとバルコニーへ。1階から伸びたシマトネリコがいずれここに大きな傘をつくることになる。
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バルコニーから。畳間は吹き抜けで3階に開口が見える。
ちなみに上部のルーバーは構造ではなく、建設中、大工さんが資材置き場として使っていたものを「吹き抜けが少し抜けすぎるのでこれいいな」と現場で決めたアイデアだとか。
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中3階には水回り。
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3階へ。
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3階は手前に書斎兼クローゼット、奥に寝室。高い梁成を利用しスキップさせ、空間の仕切りに利用した。
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外部に対して刻んだギザギザ屋根は、内部では表情豊かな空間を生みだしている。
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施主の廣石さん一家(前列)と西久保毅人さん(右)、後列にニコ設計室のスタッフの皆さん。
「17mも道路と接しているので無防備な環境であるともいえます。そこで、その薄くて長い状況を、奥行きのある立体的な体験に変換し、街に接している状況を楽しみながらも、守られた暮らしを実現できのではと考えました。3階建てですが、半階毎に暮らしが展開しながら、立体的に回遊できる住まいです。」と西久保さん。
「17mも道路と接しているので無防備な環境であるともいえます。そこで、その薄くて長い状況を、奥行きのある立体的な体験に変換し、街に接している状況を楽しみながらも、守られた暮らしを実現できのではと考えました。3階建てですが、半階毎に暮らしが展開しながら、立体的に回遊できる住まいです。」と西久保さん。
【廣石さんの家】
建築設計:ニコ設計室
構造設計:廣石秀造、森永信行
施工:大和工務店
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