浜田さんはteamLab Architectsのパートナーでもある。普段から様々なプロジェクトでこちらの企業から基板を供給してもらっており、その関係で声がかかったという。平行して運営する自身の設計事務所として、今回初の建築が完成したかたちだ。
敷地面積:278m2、建築面積:182m2、総床面積:291m2、木造2階建て。
既存工場の駐車場を利用して増築棟を建てるプロジェクト。「ここから基板工場のイメージを変えていきたい」という次期社長の熱い想いに応えるべく、住宅が並存している準工業地域に建つ工場がどうあるべきかを一緒に考えた結果、工場と住宅の間をとりもつ「開かれた木造の工場」というイメージに辿り着いたという。
既存工場の駐車場を利用して増築棟を建てるプロジェクト。「ここから基板工場のイメージを変えていきたい」という次期社長の熱い想いに応えるべく、住宅が並存している準工業地域に建つ工場がどうあるべきかを一緒に考えた結果、工場と住宅の間をとりもつ「開かれた木造の工場」というイメージに辿り着いたという。
工場の外観と言えば概ね鉄骨造に工業的な外壁で閉鎖的になりがちだが、ここでは木造で親しみやすく、東面と南面の日射抑制も兼ねた可動式のルーバー引戸を設え開放的にできるようにした。
ルーバーの幅は3種類使用し、それぞれが少しずつ角度を変えながら取り付けられることで、豊かな表情を生み出す。
ルーバーの幅は3種類使用し、それぞれが少しずつ角度を変えながら取り付けられることで、豊かな表情を生み出す。
内側から見たルーバー。
西側の外構には植栽や井戸水を利用した水盤を設け、周辺との親和性を高めた。
案内板。プリント基板でできている。
1階〈& VILLAGE〉。ショールームのほか、地域に開かれたコミュニティースペースとして商工会の会議や、子供のワークショップ、イベントなどを行うマルチスペース。
1階は当初作業場として計画していたが、マルチスペースへと変更になったため、多用途に使える柔軟性と開放性が求められた。
グリッド状に配置された長押と、立体トラスの架構で構築されたワンルーム空間。トラスやブレース、ルーバーがつくり出す陰影が爽やかだ。
引戸で様々なグリッドに仕切ることができる。全て開け放した際に大きな空間と気積を得られるよう欄間部分が全て連続している。大スパンで鴨居を飛ばし、小さな部材で構成するために立体トラスの梁組みとした。日常的には、社員の昼食や休憩スペースとして利用されている。
一角にはワインサーバーや、本格的なキッチンまで設えた。
各区画の床はフレキシブルボードとし、基準線となるグリッドラインを加工しやすい木とし、敷居やコンセント、空調の吹出口を設けている。
天井を這う設備配管はあえて露出させた。「基板も電気の流れが合理的に設計され、それが可視化されています。それと同様にここでも通常隠される梁組や配管があらわされ、その流れや空気の流れを可視化する設計にしています」浜田さん。
スピーカーも空間に馴染むよう木製のものをクライアントが選択。
2階オフィスへは外部階段でアクセスする。
外周にはデッキ張りの回廊型の縁側を計画し、内と外の中間領域を設けることで周辺環境や自然環境とのバッファーを取った。
外周にはデッキ張りの回廊型の縁側を計画し、内と外の中間領域を設けることで周辺環境や自然環境とのバッファーを取った。
2階の架構も1階と同様の構造だ。社長室・経理室、打合せスペースやワークスペースなど引戸によって仕切られている。
1階との大きな違いはこの天蓋。ワーロンシートで覆われており、長押の上に仕込まれた照明によって行灯のように淡く光る仕掛け。また365日の直射日光をシュミレーションして、机上面に入る直達光を遮断する最小限の枚数で配置されている。
架構の接続は鋼管とフラットバーで特注した金物が使われている。
浜田晶則さん。「将来的に建て替える際にも、増築する際の汎用性が高く、空間やプログラムが使い手の能動的な関わりによって可変する建築を設計しようと考えました。住宅、工場など、様々なプログラムが混在してお互いに相利的な関係を築くことができる街づくりに貢献したいと考えています」
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