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16 8月, 2018

CLT実験住宅「CLTHUT」体験宿泊レポート

山中祐一郎(S.O.Y.建築環境研究所)×木のいえ一番協会によるCLT実験住宅「CLTHUT」に体験宿泊してきました。
建築の詳細については以前のレポートを参照


CLTを使った戸建て住宅の普及を目指すため、技術検証を行う実験住宅であるこの建物は、山梨県山中湖畔の森の中にあるフェザント山中湖の一画に建つ。


フェザント山中湖はログハウスデベロッパーのBESSが運営するシェア別荘地で、CLTHUTの管理を担当している。センターハウスも巨大なログハウスで、鍵の受け渡しなどの手続きはこちらで行う。中にはレストランなども併設されている。


木のいえ一番協会は、戦後の効率と利便性だけを追求した住宅の普及により、木のいえをすっかり見なくなってしまった現代を憂い、「自然材を建物の内外装にふんだんに使い、木が醸しだす情感と、年月とともに深まる味わいを楽しむ暮らしの普及を目指す。」と活動する一般社団法人だ。


そして夏の湿気や、冬の寒さも厳しいこの山中湖畔で体験宿泊を繰り返しながら、平地での住宅としてフィードバックしていく目的で建てられたのがこの実験住宅「CLTHUT」で、設計を山中祐一郎が担当した。
竣工は2018年2月。半年経った建物の体験宿泊をする機会を得られた。


仕上げも断熱も不要とされるCLTだが、外気に触れる部分には耐候性を高めるために塗装だけしてあり、さらに軒を深く出し、雨の影響も少なくした。


内装は壁天井にホワイトの拭き取り塗装で、山小屋の雰囲気に寄りすぎない「住宅」の雰囲気だ。そして玄関土間全てが木というのも贅沢だ。


内覧会で訪れた際はなかったラグ、クッション、テーブルが設えてある。


キッチンには一通り調理できるよう、IH、深底フライパン、ケトル、コーヒードリッパー+ポット、食洗用品、ボウル、ザル、菜箸、トング、包丁、まな板、ふきん、オーブン電子レンジ、冷蔵庫、分別ゴミ箱が備えてある。


消耗品はゴミ袋、ラップ、アルミホイル、ティッシュ、蜂用殺虫剤などが。


食器棚には大皿、小皿、深皿、マグカップ、グラス、各種カトラリーが4人分揃えてある。


浴室。給湯はガス。ドライヤーと宿泊人数分のフェイスタオルとバスタオル。タオルはホテルのように交換サービスがないので、連泊する場合はセンターハウス横のコインランドリーで洗濯できる。


シャンプー、リンス、ボディーソープ。シャワーの湯量は申し分ないが、シャワーカーテンがあった方が良いと感じた。


2階は寝室。どのように敷くかはお好みだが、手摺子がシンプルなので落下に注意したい。またマットレスがなかったので、堅めが苦手な場合はキャンプ用のマットを用意すると良いだろう。(ここはあくまでも宿泊施設ではないのだ)


2階には間接照明が備わる。ペンダントやスポットなどいくつかの照明で、好みに調整して楽しむことができる。


真夏の今回は用はなかったが、秋以降は薪ストーブの体験もできるだろう。ちなみにパネル型のカーボンヒーターも1台常備されている。


夕刻、デッキでは当然バーベキューだ。デッキは住宅を想定しているためか十分な照明が備わる。


地元のニジマスを食べたかったため魚屋を探して買い求めた。東京とは違い、クマゼミの鳴き声が混じる虫のねをBGMに楽しんだ。


夕食後、湖畔まで2分歩いて山中湖花火大会報湖祭を堪能。

朝、トップライトの明るさで目を覚ます。目覚めの瞬間に緑と青空が見え、鳥のさえずりが聞こえ、木に包まれた空間にいる。そんなことがこんなにも非日常なのかと実感する。夜には雲間に星も見ることができたこのトップライトは、山中さんがどうしてもとこだわった箇所だったが、正解だ。


朝食前に湖畔に出ると見事な逆さ富士も拝むことができた。
重量感と安心感のあるCLTと山中湖の自然に囲まれ、特別な3日を過ごすことができた。断熱性能をみるために、秋か冬にもう一度体験してみたい。

この実験住宅は体験宿泊が可能です。
基本的には木のいえ一番協会会員向で、施設維持協力費として1泊¥15,000(棟貸し)、最大2泊まで。
一定の条件で非会員の方でも利用できるので、協会事務局まで問い合わせてください。

【CLTHUT 体験宿泊】
木のいえ一番協会:www.kinoie-1ban.or.jp
メール:info@kinoie-1ban.or.jp
電話:03-5790-6360


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