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18 1月, 2013

ヴェネチア・ビエンナーレ帰国展「ここに、建築は、可能か」レポート

1月18日よりTOTOギャラリー・間で開催される「ここに、建築は、可能か 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展 -Architecture. Possible here? "Home-for-All"」の内覧会に行ってきました。

2012年、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にて「金獅子賞」を受賞した展示を日本で再現。

 コミッショナー伊東豊雄さん (Toyo Ito) の呼びかけにより集まった作家は、写真家畠山直哉さん (Naoya Hatakeyama) と、若手建築家3人=乾久美子さん (Kumiko Inui)、藤本壮介さん (Sou Fujimoto)、平田晃久さん (Akihisa Hirata)。

 津波被害を受けた陸前高田に地域コミュニティの拠点となる「みんなの家」を作ることを媒介に「ここに、建築は、可能か」という建築本来の姿を問う。
「みんなの家」が生まれるプロセスが、模型、映像、写真を通して追うことが出来る。


津波による塩害を受けた杉の丸太が陸前高田より運ばれ、模型と共に会場を埋めている。


 壁面には畠山直哉さんが撮影した、津波によって何も無くなった陸前高田の"街並み"が大パノラマ写真で中庭まで続く。
中庭にはみんなの家を模した構造物とパノラマ写真により現場の光景を疑似体験できる。

 上階の展示室では被災地を記録した畠山さんの写真を見ることができる。畠山さんは陸前高田出身で実家や肉親も亡くされている。


下階に戻り模型を少し紹介。
3人の建築家はそれぞれ模型を持ち寄り話し合いを重ねていった。会場の手前から初期のアイデア、奥に行くに従って最終型に近づく様子が見られる。
当初全く意見がまとまらず、プロジェクトはできないのではという不安があったそうだ。

 初期には、3人の個性がよく見て取れるアイデアが並ぶ。こちらは乾さん。

 藤本さん。

 平田さん。


 模型の下には各アイデアのポイントがコメントされている。

 徐々に意見やアイデアがまとまっていく。

 「みんなの家」最終型。

 上から見ると19本もの丸太が使われているのが分かる。
「『ここに、建築は、可能か』という問いかけに対してみんなの家の形は重要ではない。それよりもそのプログラムやプロセスが重要で、これからの建築はそうあるべきではないかと思う。」と伊藤さん


 左は、みんなの家管理人の菅原きみ子さん。伊藤さんは「菅原さんに出会ったことでこのプロジェクトは完成した。」
「今回被災地の復興に関して建築家は組み込まれていないという現実がある。それは私にも責任がある。この展覧会を通じて建築家ができることを知ってもらい、建築家の社会的立場を取り戻したい。ここにいる3人の建築家を始め若い建築家にぜひ社会の役に立つ建築家になって欲しい。」と強く語った。
乾さん「始めこのプロジェクトの重みに押しつぶされそうになった。大きな経験をしたが建築とは何なのかと聞かれればまだ分からない。」
藤本さん「建築のはじまりとはこういうことなのか、という起源をみたようだ。プロジェクトの始まった1年半前の自分がよく思い出せなくなるような経験をした。」
平田さん「自分の建築感が揺さぶられた。今まで、ある投げ掛けに対して建築家が答えてきたが、投げかけのない建築を初めて体験した。」

TOTO出版より1月22日に発売される「ここに、建築は、可能か」。プロジェクトのプロセスが詳細に記されている。
またヴェネチアでの展示の様子はコチラから

【ここに、建築は、可能か 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展】
会期:2013年1月18日〜3月23日
場所:TOTOギャラリー・間

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