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21 3月, 2013

中村竜治による会場デザイン「カリフォルニア・デザイン 1930-1965」展@国立新美術館

国立新美術館で3月20日より開催している「カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-」展の内覧会に行ってきました。

 本展は、20 世紀半ば、ミッド・センチュリーと呼ばれた時代に、カリフォルニアで展開したモダン・デザインをテーマとした大規模な展覧会。20 世紀デザイン史において重要な役割を果たしたにもかかわらず、これまで十分に紹介されてこなかった"カリフォルニア・モダン"の全貌を、家具やファッション、陶芸、建築写真など、約250 点の作品を通じて紹介するというもの(展覧会案内より)

 会場デザインを担当したのは中村竜治さん。可動壁23枚をリング状に配列して、外側をぐるりと周りながら最後に内に入っていくという動線になっている。


 可動壁は制約があって上手くつながらない所があるが、それをそのまま残すことで隙間から向こう側の空間が所々見えるようになっている。「日本庭園の借景のようなイメージです」と中村さん。


 会場は「カリフォルニア・モダンの誕生」「カリフォルニア・モダンの形成」「カリフォルニア・モダンの生活」「カリフォルニア・モダンの普及」の4つの章で構成されており、それぞれの章の始まりと終わりはシンプルなカラーの切れ目で分かるようになっている。

 ハーウェル・ハミルトン・ハリス、リチャード・ノイトラ、フランク・ロイド・ライトらの建築写真も展示。

中央でひと際目立つ「カリフォルニア・モダン普及」の展示物。

映像資料を見る椅子も勿論ミッドセンチュリーのチェア。

 中村竜治さん。「カリフォルニアのおおらかな空気感を会場に表現することを考えました。国立新美術館側には『会場全体を使う構成が新鮮』と言っていただきました。」
※国立新美術館では会場デザインに建築家を起用したのは初めてとのこと。

【カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-】

会期:2013年3月20日~ 6月3日(月)
場所:国立新美術館 企画展示室1E
詳細:http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/california/index.html

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19 3月, 2013

長坂常によるインテリアデザイン「Floyd KITTE Marunouchi」

長坂常/スキーマ建築計画 (Jo Nagasaka / Schemata Architects) による「Floyd KITTE Marunouchi」。21日にオープンするJPタワー内商業施設「KITTE」のテナント。

Floydは静岡県沼津を拠点にする雑貨店で、今回東京に初進出。

KITTEの3階にあり、エスカレーターで上がってくるとまずこのギラギラの天井が見え、徐々にゴツゴツした四角い箱が目に入る。思わず「何の店だ?」と近づきたくなる仕掛だ。

 間仕切りや棚はアクリル板を使い商品が見やすくなるように。またアクリル板裏側の端面に塗装してあり、表側の端面に美しいグラデーションが現れる。視線の動きに合わせてグラデーションが動く様子は実際にお試しください。

 商品棚はラワンのベニヤでありながら、非常に丁寧な仕事で滑らかに仕上げてある。沼津を拠点にする家具メーカーO.F.Cによる製作。
またレジカウンター後ろの棚は藤城成貴さんによるデザイン。

 長坂さんのお気に入りはこの辺りのものたち。

長坂常さん。「倉庫や荷さばき所のようなイメージしました。新築の商業施設とのギャップ。お客さんの視覚を想像しながらデザインしました。」

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18 3月, 2013

隈研吾によるインテリアデザイン、JPタワー「KITTE」

昨年5月に竣工したJPタワー。その商業施設「KITTE」のインテリアデザインを隈研吾さん (Kengo Kuma & Associatesが手掛けた。3月21日のグランドオープンに先駆け開催されたプレス内覧会に行ってきました。

 1931年竣工の歴史的建造物である東京中央郵便局を部分的に残しながら、右後ろのJPタワーを建設。右側時計のある側は従来通り、郵便局・ゆうちょ銀行が入っている。 

 1階エントランス。

 東京駅から直接アプローチできる地下のエントランス。開業するとこちらがメインになるのかも知れない。

 反対側に回ると旧建物と新しいJPタワーのコントラストが見える。

1階は三角形をした5階まで吹き抜けのアトリウム。

 オープニングに向け吊されている巨大な桜の画は日本画家千住博さんプロデュースによる。後日ハガキサイズに裁断されその後のプロジェクトに使われる。
http://jptower-kitte.jp/sakura


 トップライトのガラスにはソーラーパネルが備えてあり、同時に強い直射日光も和らげる。

 店舗は地下1階から地上6階まで9,400m2に98店が入る。初出店や東京初進出も多くある。


アトリウムの床を見ると八角形の模様がある。これは旧建物にあった柱の面影を残したもの。

 天井からは微細なチェーンによって八角形の柱が表現されている。

 よく見ると2種類のチェーンが吊り下げられている。

 郵便局ではオリジナルの柱を見ることができる。KITTEオープン記念切手がないのが残念だ。

今回のインテリアデザインのテーマは「Feel Japan」 各階に日本古来の素材が仕上げに使われている。こちらは1階。

 2階。

 3階。

 4階。

5階。

 6階。

 トイレ。木目調のタイルが敷かれている。


 当日は曇りだったが一瞬日が差し、美しい陰影を見ることができた。


隈さんのデザインではないが、KITTEの目玉施設の一つである「インターメディアテク」。 

 JPと東京大学の産学協働プロジェクトで、東大で所蔵する膨大な学術サンプルを無料で一般に公開するミュージアムだ。
デザインは丹青社とSIMPLICITYによる。

 空間は旧建物を修復し、展示ケースや陳列棚などはそのまま東大からやってきたそうだ。奥にキリンやマッコウクジラの骨格見本が見える。

 今回JPでは旧建物を遺産として修復や保存したり、この歴史的建造物を後生に伝えることに力を入れている。(当初は取り壊される計画であった)
ミュージアムでは照明や屋外に取り付けてあった時計の針、八角形の柱のカバー。建設当時や解体・修復時などの写真も展示している。
http://www.intermediatheque.jp


4階には旧東京中央郵便局長室が公開されている。ベンチに腰掛けこちらも修復されたばかりの東京駅を眺めながら休憩できる。

 その他いくつもの店舗からこのような景色が見える。

 6階はレストランと屋上庭園。

 一方には寒椿が一面に植えてある。

屋上からは東京駅に一番近い建物ならではの景色を眺めることができる。

【JPタワー「KITTE」】

2013年3月21日オープン。
http://jptower-kitte.jp

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伊東豊雄プリツカー賞受賞

2013年のプリツカー賞 (The Pritzker Architecture Prize) 受賞者に伊東豊雄さん (Toyo Ito) が選ばれた。
日本人の受賞は1987年丹下健三、1993年槇文彦、1995年安藤忠雄、2010年妹島和世・西沢立衛に続く5回目。
>> http://www.pritzkerprize.com


13 3月, 2013

「平田晃久展 からまること/集まること」レポート

3月11日よりLIXIL: GINZAにて始まった「平田晃久展 からまること/集まること」に行ってきました。

冒頭このような文言からはじまる。「この国の、若い建築家のキャリアは通常小さいプライベートな仕事から始まらざるをえない。しかし、だからといって建築に向かう意識まで小さく閉鎖的であるわけではない。むしろ小さなプロジェクトの中にこそ、これからの建築の根源を問うような種を内包させたいと思ってきた。しかし、一人の当事者として、そういう宣言だけで済まされる年齢ではなくなってきた。」

平田さんの最近3年ほどのプロジェクトが大きく3つのエリアに分かれ展示されている。
最初のエリアのテーマは「からまりしろ 生きている世界に接続する建築」。震災前の東京で比較的小規模なプロジェクト。

 "coil"。「からまりしろ」は「からまりが発生する余地」という意味の造語で、その世界観を具現化した住宅。人間を一つのいきものとして考え、建物とからまることで生まれる豊かな世界。

 "tree-ness house"。からまりに植物が加わりより複雑にからむ。

 二番目のエリアのテーマは「都市を発酵させる」。より都市的レベルで展開された海外(台湾)でのプロジェクト。

 "Foam Form"。台湾のコンペで次点に選ばれた。

高雄市を流れる川の、幅1Km以上とその沿岸を含めた巨大プロジェクトで泡をモチーフにした。

 "Hotel J"。ヴィラタイプの宿泊施設を備えた温泉リゾート。渓谷のようなデザインだ。
「からまりしろ」の発想は台湾で自然に受け入れられたという。それはヨーロッパでは感じなかったことで、東アジアのある種ローカル的な身体感覚がそうさせるのではないかと最近考えているそうだ。

 "Taipei Complex"。細かく分割されているように見えて内部は一つの大きな空間になっている。
これとHotel Jは高雄のコンペを見ての依頼だそうだ。


 奥のエリアのテーマは「集まること=建築のはじまり」。一番最近の、被災地釜石市での復興プロジェクトになっている。

 コンペで最優秀に選ばれたプロジェクトで、市営住宅と保育園が併設されている。
被災しゼロになった地、ひとが集まることでそこに建築がはじまる。


 敷地周辺、敷地に、さらには4階建ての集住でありながら住居の前にも道を効果的に配し、その道に沿ってからまるように全体が計画されている。

 住宅は40戸からなる。今後釜石市では千数百戸分供給する予定で、その第一弾だ。

 最終案。切妻屋根の下は共用部分。建物としてはこの屋根は無くても良いが、人が集まり繋がる場にするためには必要不可欠な存在だ。

 一見複雑に見える計画だが実はユニットを組み合わせ、コストに見合い、かつ迅速に建てられるように設計されている。

 住居は1LDKか2LDK。セットバックし道を作りながら上層に上がっていく。

 アラップに依頼し敷地や建物の空気の流れをシミュレートし、寒暖の激しい東北で快適さも追求している。

切妻屋根の有る無しで検証した図も。


平田晃久さん。「東日本大震災後、建築が本当に役に立ち、未来を指し示すことができるのか、ますます鋭く問われつつあると思います。」

【第118回建築家フォーラム 平田晃久展 からまること/集まること】
会期:3月11日(月) 〜 3月19日(火)
場所:LIXIL GINZA 7F
講演会:3月19日(火) 要予約
詳細:http://www.kentikuka-forum.net

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