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20 11月, 2017

田辺雄之による逗子市の「LL House」

田辺雄之(田辺雄之建築設計事務所)による神奈川県逗子市の住宅「LL House」を見学してきました。JR横須賀線 逗子駅から10分ほど歩いた山間の住宅地。田辺さんの奥さまの妹夫婦のための住宅だ。


敷地面積176m2、建築面積66m2、延べ床面積115m2。木造2階建て。既存の住宅が建っていた状態で敷地を購入し、木や庭石、駐車場のタイルなどを残しながら建てた。
正面は南を向いているが、山が迫っているため11月にもなると正午頃でも影に隠れ始めた。


横から見るとこのように。ファサードを山の斜面に対して逆の角度で傾斜させることで、特に2階で山からの圧迫感を軽減し、窓から空が見やすいようにした。
もう一つの大きな特徴は断面が同形状のまま、断層のようにずれていることだ。これについては中で説明。


(©田辺雄之建築設計事務所)


下にずらした西側のボリュームはゴロッとした台形の塊が表現できるよう一部地面から浮いている。急傾斜地特有の条例により、山の斜線に掛かる部分をRC造にする必要があることから、基礎の施工段階で一緒に浮かせて打設した。


東側のボリューム下部は大きく口を開け、ポーチ兼ウッドデッキとして内外の接続部分とした。


玄関扉を開けるとさっそく見せ場が現れた。傾斜した壁(屋根)の開口、段差、面の取り回しが単なる玄関ホールではなくなり楽しい。


振り返ると益々表情豊かだ。


1階には水回りと主寝室。主寝室の周囲をL字形に土間(廊下)が計画され、居室とは明らかに違う使い方が生まれそうだ。


床下には蓄熱式床冷暖房を採用。


右手に寝室の開口があることから、土間は縁側のようにも見える。


縁側という言葉を使った途端に、ウッドデッキは濡れ縁と呼びたくなるから不思議だ。
インドア派だった施主は、仕事でアメリカに赴任している間にすっかりアウトドア派になり、帰国してからは東京への通勤圏内でありながら自然が豊かな土地を探し、家にはカヤックを置くための土間やバーベキューができるスペースを望んだ。


主寝室。


土間を介して外が見える。


2階へ。玄関ホールを愛でるような階段と踊り場。正面にLDK、左に子供室がある。


子供室。山の緑が見える環境。


踊り場から。建物がずれているのが確認できる。


台形の開口を抜けると台形のLDK空間が広がる。床や造作部分には乱幅のカラマツ材を浮造り+ラフソーン加工して使用。


反対側を見るとズレの部分を利用してハイサイドライトを設け、西側からも採光を得ることができた。
右に上っていく階段の先から屋上に出られる。


ボリュームのズレは屋根面で175cmある。ボリューム同士を繋ぐこの開口高さを重視しながら、床レベルには55cmの変化をもたせた。分けられたボリュームは光量や室の性格も変わっている。


1階から2階、屋上への動線が一目で見えるカット。「シーンの切り替わりを大切にする動線をいつも心掛ける。」と田辺さん。


正面開口の位置、大きさ、形状も様々に検討した。


キッチンは、指物職人である「ペッタンコハウス(2015年)」の施主と工務店による共作。カラマツとシナランバーで構成されている。


田辺雄之さん。「東西のボリュームは金太郎飴のように同断面のままずらすことで、用途に適した光豊かな内部空間が生まれました。外構から玄関かまで高低差をコントロールしながらつながり、そのままスキップフロアのような空間を屋上まで一筆書きのように連続していく構成は、アウトドアを好むお施主さんのために計画しました。」



【LL House】
建築設計:田辺雄之建築設計事務所
構造設計:樅建築事務所
施工:川口建築
キッチン:atelier m4

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15 11月, 2017

間宮晨一千デザインスタジオによる京都の「近藤悠三記念館/KONDO MUSEUM」

間宮晨一千デザインスタジオがリニューアルを手掛けた「近藤悠三記念館/KONDO MUSEUM」内覧会に行ってきました。場所は京都・清水寺の五重塔が望める茶わん坂。


清水焼の陶芸家で人間国宝 近藤悠三(1902-1985)の生家跡地である。その地に1987年作品を収蔵・展示する「近藤悠三記念館」が建てられた。30年の時を経た今回のリニューアルでは、孫にあたる近藤高弘氏 (現代美術家として国際的に活動中)をクライアントに、新たなミュージアムとしてのあり方を時間をかけながら共に模索していったという。


間宮晨一千デザインスタジオは、普段から自社オフィス柱の杜にて、なごや朝大学の運営や高蔵寺ニュータウンのまちづくりに関わるなど、街と人をつなげるプロジェクトを手掛けている。今回の依頼に対しても、2階建ての1階と2階一部を展示空間として設計したほかに、KONDO MUSEUMとして次の時代につなげていくためのソフトコンテンツ企画までを担当した。 


エントランススペース。ガラスケースにはこれまで広く公開されていなかった悠三の最大級の作品である梅染付大皿を展示し、茶わん坂の通りから誰でも見ることができるようにした。

エントランスまわりの洗い出しは小石の色合いや大きさを細かく指定して仕上げている。建具などは外観の調和を考えて既存の窓格子の割付に近しいプロポーションとした。また道行く人々の流れに添わせるようにR壁を新設している。


グラフィックはグラフの北川一成が手掛けた。


中に入ると照度を落とした黒をベースとした空間。クライアント・近藤高弘氏の作品「Monolith」が展示されている通路と、奥に広い空間。
黒には様々な種類が使われており、例えば左の壁は粒の細かい聚楽仕上げ、右の作品背後の壁には和紙職人ハタノワタルによる黒。それらがさりげなく存在し調和している。


今回のリニューアルに際して、近藤悠三の作品だけではなく、同じく陶芸家として活躍していた長男の近藤豊(1932-1983)と、次男の近藤濶(1936-2012)の作品、そしてクライアント自身の作品を同時に展示することが求められた。エントランスから少しずつずらしながらそれぞれエリア分けし、厳選した作品をゆったりと展示している。床は鉄平石、天井には艶やかな竹などを用い、素材の質感が作品を引き立てている。


豊と濶の作品エリア


悠三の陶磁器エリア


ミュージアムバー「柳水(りゅうすい)」。
作品を鑑賞するプラスアルファの体験を提供する新たなコンテンツとして取り入れたもの。「清き水にちなんだ利き酒を楽しみ、鑑賞と体感の両方から清水の歴史を感じとることができるスペースです」と間宮氏。カウンター奥には、間宮氏がクライアントの近藤高弘氏に制作依頼したという、銀滴彩をあしらった横幅7mのレリーフ。


暗がりの中でこの銀の滴りが浮かびあがることで、この地の水に纏わる流れ、滴、潤いや艶などを陶器の世界の中で感じてもらうことを目指したという。


日本酒の他にも、抹茶や緑茶なども。
特別な空間でのここでしか味わうことができない体験。

リニューアルでも唯一残したのは、1924年に悠三がこの地に陶工房を構えた当時の作業場。


一坪半ほどの空間に資料や道具類、ぐい呑酒器などが展示されている。

間宮晨一千氏。
「清水焼の変遷、進化の過程を楽しめる空間です。このミュージアムを起点とし、茶わん坂をクラフト通りとして活性化させる起爆剤になればと考えました。今後も文化発信のできる"茶わん坂ブランディング”を広げる活動を続けていきたいと思っています」


【近藤悠三記念館/KONDO MUSEUM】
京都市東山区清水1-287

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13 11月, 2017

オンデザインの新オフィス

西田司率いるオンデザインの新オフィスお披露目会に行ってきました。今年の夏、オンデザインはじめ多くのクリエーションオフィスが入居していた「宇徳ビルヨンカイ」が、組織としてビルとの契約が終了し解散。多くのオフィスが横浜の関内周辺に散り散りに移転した。


オンデザインは関内駅に400mほど寄った、築51年、泰生ビルの2階に新オフィスを構えた。


2階に上がると「ondesign」のネオンサインが出迎える。


エントランスの直ぐ左にはスタッフ全員のポートレートが並ぶ。28名の大所帯だ。


そのまま進むと、オンデザイン名物の “そこまでやるか模型” がズラリ。
数年前、オンデザインの模型展を見たときはほとんどが住宅であったが、近年は公共建築を含む大型プロジェクトも多く見られるようになった。


模型の多くは1年経つと廃棄されることから、これらは概ね1年以内に作られたことになる。
模型ラックの間にはテーブルがあり、通常はクライアントや業者との打合せをするスペースでもある。


奥へ進むと、グリーンに囲まれた大きなキッチンテーブルと、長テーブルが現れた。

足元は防水層を設え、屋外用チェアが並び、沢山のプランターと植物が吊り下がり、アウトドアをイメージしたグリーンゾーンだ。
植物は100鉢あり、コーディネートはSOLSO、右の散水が掛からないように撥水のレースカーテンを制作したのは安東陽子、屋外チェアのコーディネートはニチエス、照明のコンサルは岡安泉がそれぞれ協力した。


このグリーンゾーンを確保するために、スタッフのデスクを1人分当たり40cm削ったという。


各デスクで簡単な打合せや相談ができなくなった分、こちらの長テーブル使う。気分転換しながらの作業をするフリーアドレススペースとして。ランチ、イベントなどにも。


右のワークスペースが固定アドレスの「ON」、左のフリースアドレスのグリーンゾーンが「OFF」ということだ。




今回インテリアの主要素は植物と、この単管パイプ。これにより今後もフレキシブルにレイアウトが変えられる。それと水平使いされているの単管パイプと同サイズの丸棒はアラキ+ササキアーキテクツで開発した、その名も「モクタンカン」。


金属の単管パイプだけでは堅いイメージになるが、モクタンカンにより、木の温もりや柔らかさを加えることができる。
ヒノキの間伐材で作られているそうだ。


オフィスの一番奥は模型制作スペース+書庫。

机上にはオンデザインのしごとのメソッドが収められた書籍「オンデザインの実験」(TOTO出版/2018年2月発売)。
「プレゼンをつくる時の5ヶ条」「伝えるリサーチの5ヶ条」「地域/人の巻き込み方5ヶ条」「コンペに取り組むときの5ヶ条」など内容の一部が紹介されていた。




西田司さん。「1日の多くの時間を過ごす場として、ONとOFFを切り替えられる気持ちのいい仕事場。トライアンドエラーを繰り返しながら様々な実験ができ、新しいことが生まれてくるオフィスを目指しました。ちなみに植物に囲まれた環境は、生産性が6%上がり、クリエイティビティは15%も上がる研究結果があります!」

【オンデザインパートナーズ】
横浜市中区相生町3-60 泰生ビル2F
www.ondesign.co.jp


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