手塚貴晴+手塚由比(手塚建築研究所)による東京 駒込の「勝林寺 客殿・庫裏」を見学してきました。
1年前(2016年)、本堂・納骨堂が完成し本ブログでも紹介したが、今回はその隣に客殿・庫裏が完成した。
敷地面積3,034m2、建築面積140m2、延床面積464m2。木造 + 一部RC造、地下1階、地上3階建て。
左が客殿・庫裏、右が本堂・納骨堂。客殿とは来客や、檀家が法事などで集まる場所のことで、庫裏(くり)とは住職とその家族の住まいのこと。
左が客殿・庫裏、右が本堂・納骨堂。客殿とは来客や、檀家が法事などで集まる場所のことで、庫裏(くり)とは住職とその家族の住まいのこと。
既存状態(Google Map)
墓地側から。防火地域と準防火地域にまたがる敷地であるため、通常は庫裏も本堂もRCや鉄骨で造りがちだが、手塚さんと住職は木造にこだわった。
1階・2階が客殿、3階が庫裏。前庭はほぼ完成したが、植栽や灯籠が未完だ。
玄関は三和土(たたき)、壁は漆喰、柱・梁は渋墨色の塗装仕上げ。
梁は本堂でも採用した二重梁だが、サイズが少し小さい。
梁は本堂でも採用した二重梁だが、サイズが少し小さい。
玄関の左は寺務所。板戸が多用されている。
反対側の多目的室へ。
奥の多目的室から見返す。2部屋を仕切ることも、開放することもでき、フレキシブルに使えるようになっている。
片隅には井戸が。この建物が建つ前からあった井戸で、そのまま建物内で活用するという。
木造準耐火建築物であるため、燃え代設計の太い柱が確認できる。
木造準耐火建築物であるため、燃え代設計の太い柱が確認できる。
2階へ。
2階は総和室だ。主に法事や、お坊さんの集まりなどに使われる。奥から6、8、6、6畳間があり、4部屋は襖・障子を開放し大広間にすることもできる。
書院は二部屋ある。炉畳が見えるが、臨済宗では茶事を大切にするためだそうだ。
障子を閉めた状態の畳廊下。
厨房。大勢集まることもあるのでかなりの規模だ。
3階の庫裏は非公開だったが、1階と同様の板の間と板戸で構成されたシンプルな空間だった。
屋上の塔屋も手を抜かず建物に完全に調和したデザインだ。
屋上の塔屋も手を抜かず建物に完全に調和したデザインだ。
屋上から本堂を見る。
2階の簾越しに本堂を見る。
1階へ降り、客殿と本堂の間に接続されたスロープの渡り廊下で本堂へ。
本堂。(前回の記事に詳しい)
昨年訪れたときと異なるのは、この須弥壇(しゅみだん)と香台が出来上がっていることだ。どちらも手塚事務所でデザインした。装飾を極力排した本来(平安時代)の須弥壇に近い形だそうで、カリン材でできている。因みに本尊は現在も修復中で仮の本尊が鎮座している。
本堂地下の納骨堂へは、客殿のエレベーターからユニバーサルアクセスできる。
改めて納骨堂へ。
前回訪れたときはまだ制作中であった合葬壺が完成し、中央に置かれていた。
手塚さんは「このプロジェクトでこだわったのは準防火地域での木造です。RCにすれば何の苦労もありませんが、ここで木造3階建てにすることは大きなチャレンジでした。木造であれば手入れをきちんとすれば数百年もちます。そして木造の客殿・庫裏の佇まいは今は少なくなってしまった寺町の雰囲気を取り戻すためにも重要なのです。」
また住職は「この本堂、客殿・庫裏を建て替えるにあたって、檀家さんの寄付も募りましたが、コンクリート造りですと何十年か後に建て替えの可能性がでて、また寄付を募るのは檀家さんの負担になります。もちろん木造のお寺を後世に残したいという強い思いからです。」と話す。
【勝林寺 客殿・庫裏】
建築設計:手塚建築研究所/手塚貴晴+手塚由比/担当:杉中俊介、斧田裕太
構造設計:TiS & PARTNERS
照明設計:ぼんぼり光環境計画
勝林寺:www.mannen-syourinji.com
【関連記事】
勝林寺 本堂・納骨堂
山を捕まえる家
高床の家
手塚さんは「このプロジェクトでこだわったのは準防火地域での木造です。RCにすれば何の苦労もありませんが、ここで木造3階建てにすることは大きなチャレンジでした。木造であれば手入れをきちんとすれば数百年もちます。そして木造の客殿・庫裏の佇まいは今は少なくなってしまった寺町の雰囲気を取り戻すためにも重要なのです。」
また住職は「この本堂、客殿・庫裏を建て替えるにあたって、檀家さんの寄付も募りましたが、コンクリート造りですと何十年か後に建て替えの可能性がでて、また寄付を募るのは檀家さんの負担になります。もちろん木造のお寺を後世に残したいという強い思いからです。」と話す。
【勝林寺 客殿・庫裏】
建築設計:手塚建築研究所/手塚貴晴+手塚由比/担当:杉中俊介、斧田裕太
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