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22 11月, 2016

ninkipen!、クライン ダイサム、名和晃平ら参加の商業施設「中目黒高架下」

11月22日に開業の中目黒駅の高架下商業施設「中目黒高架下」プレス内覧会に行ってきました。


高架下には、もともと飲食店などが立ち並んでいたが、鉄道の安全性の向上を目的とする高架橋耐震補強工事をきっかけに、東急電鉄と東京メトロが共同で開発した。
敷地面積:約8,300m2、延床面積:約3,600m2

開発コンセプトは「シェア(SHARE)」。全長約700mに及ぶ高架下を個性豊かな店舗がシェアし、中目黒らしい街の楽しみ方ができる新しい商店街のかたちを目指す。

中目黒駅正面改札の横断歩道を渡った側には6店舗。

〈中目黒 蔦屋書店〉
クライン ダイサム アーキテクツ







〈Soup Stock Tokyo 中目黒店〉
ninkipen!

高架下ならではの柱を活かした空間。※詳しいレポートはコチラ


ninkipen!の今津康夫さん。


そのほかにも、「中目黒高架下」唯一のアパレル店MHL.やLONCAFE STAND NAKAMEGUROなど。


目黒側を渡った先にあるのは


〈PAVILION〉
スマイルズが新たに手掛ける、LOVEとARTがテーマの窯焼き料理とワインの専門店。巨大なアートや懺悔室シート、オリジナル通貨の使用など随所に遊び心が溢れている。


店内奥には名和晃平のアート作品「Black ball」が。照明を兼ねており、光源はひとつだが、内部に仕込まれた鏡面に映りこむことで輝く。


目黒側沿いに煌びやかな看板があるがそれはエントランスではなく、実際はここから入る(!)。看板の指示に従ってたどり着くことが可能。

「席があるかどうか、この電話ボックスで確認してもらうことができます」とスマイルズ代表の遠山正道さん。

PAVILION入口は、50mほどの回廊を抜けた先にある。


アートや映像など

ウェイティングバー。デスクはサカナクションの山口一郎が使っていたものを譲り受けたそう。

中目黒駅南改札口から祐天寺方面には、飲食店を中心に20以上の店舗が並ぶ。


EXILEのリーダー・HIROが代表を務めるLDHグループが展開する「CURRY SHOP 井上チンパンジー」、うどん居酒屋「二〇加屋長介」など。











「中目黒高架下」のロゴ。
"中目黒高架下"の6文字と6本の高架橋脚をモチーフに、トランジットジェネラルオフィスが手掛けた。

【中目黒高架下】
設計・監理:株式会社東急設計コンサルタント
施工:清水建設株式会社
商環境デザイン:株式会社丹青社

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21 11月, 2016

永山祐子+竹中工務店による複合施設「女神の森 セントラルガーデン」

永山祐子建築設計+竹中工務店による「女神の森 セントラルガーデン」の内覧会に行ってきました。山梨県・小淵沢駅から徒歩30分程の場所。

 建築面積2,787m2、延床面積5,385m2。S造+RC造、地下1階、地上2階建て。敷地近くに本社を持つ自然派化粧品会社のホール・研修施設・カフェなどの複合施設。
永山事務所はデザインアーキテクトとして、竹中工務店は設計施工を担当した協働プロジェクトだ。

 敷地は南北に緩やかに傾斜し8m程の高低差を持つ。
ホールやその他の要素を一つのボリュームに納めてしまうと大きくなり、周囲の森に対して違和感がある。機能を分節し、ボリュームをできるだけ小さくしながら、それらを廊によって繋ぐ構成とした。

南北を貫く抜けが3本、そして東西も貫く多くの抜けにより、周囲が豊かな森ということを全面で享受。明治以降に植林されたアカマツの森だが、今回、地域本来の植生を再編集し、花や紅葉の色づきでエリアごとに植樹したという。四季折々に彩りを変える植物を「森のカラーパレット」に見立て、各開口から内部に取り込むことができる。

 左のアスファルトは車寄せへ通じ、歩行者は草木の間を巡る遊歩道を通ってアプローチする。遊歩道は二手に分かれ、左はホールや研修室へ。右は一般の利用も可能なカフェへ通じる。

 カフェに向かう途中、北端の多目的スペースから中庭を挟んで南端のホールまで、緑、室内、緑、室内、緑とレイヤー状に見通すことができる。


 カフェのエントランス。カフェは後ほど紹介。
(永山さんのお子さんも見学に訪れた)

 アプローチからも同様に、北から南を一直線に約90m見通せる。
1階の外壁はアスロック(押出成形セメント板)だが、あえてムラのある裏面を使い、職人の手作業によるオリジナルの「森綾」柄を表現。
上部にはリブ付きアスロックのリブピッチと合わせた格子を組み合わせた「森綾」をアルミキャストで表現し、さらに上の一番高い層は空の雲模様と馴染むようにムラのある塗装を施すなど、森との親和性を高めるためフラットな表情を避けた様々な心遣いが伺える。

 アプローチを見返す。天井のステンレス2B材に映り込む遊歩道。


 車寄せから見るエントランス。


 エントランスから多目的スペースへ。筆者背後の緑地と、中庭に挟まれたランドスケープの一部のような空間だ。この空間は間仕切って使うこともできる。


 南北の開口部分には温水式ペリメーターヒーターの吹き出しと、小さい方は自動開閉式自然換気の吹き出し口。

多目的スペースを抜け、インフォメーションスペースは「森綾」を横使いにした書棚がアクセント。この後照明が付き書棚を照らすそうだ。

 カフェ。4面ほぼ全面開口で、中庭と森に囲まれた贅沢な空間だ。
敷地は下がっていっているので、カフェの奥に進むに従って地上0mから5mへと森の高さが変わっていく様子が楽しめる。

 天井は低めで水平方向の広がりが強調されている。
天井にも「森綾」。敷地を覆っていたアカマツを伐採後、製材し利用している。
自家農園の野菜を使った体に良いこだわりメニューで、来春オープン予定。

 テーブル類はオリジナルデザイン。写真のテーブルは丸みのある木の葉をイメージした。
またソファのファブリックはオリジナルで、この後紹介するホールの壁面にも使用されている。

 一度多目的ホールに戻り2階へ。


 左右の天井と連続するような階段。


 階段を上がると研修室のロビー。天井のツートンはホールのホワイエにも踏襲される。


 研修室は300人収容


 中庭側の開口は、ルーバーを介した柔らかな採光を行っている。


 ルーバーに近付くと「森綾」柄。


 アルミのダイカスト製で、アルミがうまく流れるように型の微調整が繰り返されたそうだ。


 1階へ降り、「屋外ロビー」と名付けられた廊を通ってホールへ。


 ホール ホワイエ。研修室のロビーで見られた色のツートンはここでは、ダークカラーでテクスチャーのツートンで仕上げられている。
(照明は最小限にされた状態)

 振り返るとアプローチ方向の抜け。ハイサイドから光と森を一手間掛けて取り込んでいる細やかさ。



南端の開口からは水面に映る森を逆さまにしたような光景がみえる。

 足元の微妙な反射は洗い出しされた黒玉砂利。

 所々横方向にもピクチャーウィンドウのような抜けが設えられている。


 ホールは700人収容。正面ステージの背後は暗幕を開放し中庭に連続する。


 座席の背後も全面開口。秋が深まり始めた(取材時10月)小淵沢では早くもクヌギやコナラが色づきだしている。木々が育った数年後の秋は一面黄金色の景色になるそうだ。


 可動式の座席はよく見ると「森綾」のオリジナルファブリック。壁もオリジナルのファブリックでカフェのソファに使われていると前述。


 ステージの背後。暗幕とガラスの前面にロールスクリーンも備わる。


 楽屋廊下。


 楽屋ロビー。バックヤードでも要所要所で森を取り込んでいる。


 地下搬入口。左の壁にも敷地から伐採したアカマツから、木毛セメント板を製作して使用している。


 舞台下倉庫の巨大な迫。



永山祐子さん。「大きな建物であるため、森の中という敷地条件を鑑み、どのような建ち方が相応しいか全体の構成とデザインを熟慮しました。さらに森との親和性、森が持つ肌理(きめ)を重視し、汎用建材を使いながらもその表情を利用し、森の中に楚々として存在するホールができたのではないかと思います。」

【女神の森 セントラルガーデン】
デザインアーキテクト:永山祐子建築設計
設計施工:竹中工務店
所在地:山梨県北杜市小淵沢町1578
建築主:株式会社AOB慧央グループ

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