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27 4月, 2015

西久保毅人/ニコ設計室による「マシューズさんの家」

西久保毅人/ニコ設計室 (Taketo Nishikubo / Niko Design Studioによる「マシューズさんの家」のオープンハウスに行ってきました。中央線国立駅から徒歩10数分の場所。
[Matthews-san’s House]

 敷地面積192m2、建築面積88m2、延床面積132m2。木造2階建て。敷地は共有私道の突き当たり、斜めに跳ね上がった屋根が「ここだよ!」と手を上げているようだ。


 近付くと敷地が私道に対しL字型に接し、左下に三角形が出来ているのが確認出来る。このちょっとした部分が北側斜線を緩くし三角の屋根を生み出した。


 設計依頼を受けたときから敷地には赤松、椿、紅葉などが残されていた。


 玄関は洗い出し仕上げの土間と踏み石。円弧を描いた板の間は、上がり框を用いず切り放しの仕上げ。


 玄関からは納戸とトイレが収まるコアを設け、その裏にファミリールーム。


 納戸の引戸には奥さまが用意した戸車が存在感を示す。


 トイレはドラマチックに。


 ファミリールームは廊下から三段降りて畳み敷き。低い視線から庭の木々を楽しむことが出来る。
左側に見えるのは子供室で、鏡の引戸と、棚付きの引戸になっている。


 2階にあるリビングとは別の家族でテレビを見たりする部屋。左の奥さまが立つ場所が納戸で、玄関の方へ通じている。


 娘さんの部屋は黄色。


 息子さんの部屋は青。


 両部屋とも上に登ることが出来、2階の書斎へ通じている。


 主寝室。一角には奥さまが瞑想(ヨガ)スペース。白樺の丸太もご自身で用意した。


 浴室には何と富士山のモザイク。そしてバスタブではなく、ヒノキの縁をつけた浴槽。
ご夫妻は結婚前静岡に住んでいたことがあり、その思い出にということだがしっかり静岡側からみたシェイプになっているそうだ。

 2階へ。ニコ設計室のオープンハウスではよく見る光景だ。


 開口に囲まれたリビング。手前は土間のような仕上げの家事動線でキッチンとユーティリティを一直線に結ぶ。


 キッチンと、筆者背中側がトイレ・洗濯・作業をするユーティリティ。
3連のペンダントライトの下にはダイニングテーブルがくる。


 キッチンの奥へ進むと跳ね上った屋根部分が見えてきて、高くなった天井の最上部からトップライトの光がグラデーションを作りながら注ぐ。


 キッチンの奥からは2階の殆どが見渡せる。


 リビングからキッチンはこのように。


 ユーティリティと奥にトイレ。子どもたちは工作が大好きでここで色々作ったり実験を楽しむ予定で、壁には工具が吊り下げられるように有孔合板が張られている。アメリカのガレージのような感覚だ。
それにしても作業台が高い。120cmはあるだろうか?

それもそのはずマシューズさんの身長は192cm。斜線制限が厳しい中でできるだけ天井も高く設計した。


 アメリカで買って個人輸入したガス暖炉。これも随分高さがあるなと思ったが、マシューズさんが肘を掛けてパイプをくゆらす(パイプは吸わないが)ポーズにぴったりの高さなのだとか。
ちなみに同じガス暖炉は日本でも売っているそうだが価格はアメリカの3倍する。


 暖炉の裏は書斎。マシューズさんは大学の先生(言語心理学)であることから蔵書が多い。
書棚の塞がっている部分に暖炉の煙突が通る。
左下は子供室に通じている。


 リビングの東側は大開口でそのままバルコニーへ連続する。


 前回OHレポートをした「小川さんの家」の赤ん坊が来たので子守りをする西久保さん。


 バルコニーへ出てみる。後に頭上1/3位はパーゴラを付けて藤棚にでもしようと計画している。
左には階段が見える。

 少し降りて物干しスペースで、さらに地面まで降りることが出来、裏庭を囲むようにデッキが張られて寝室側と回遊できる。




 基本設計が終わった後、奥さまは素材や雰囲気を伝えるために自ら詳細なイメージ模型を作った!


ご家族全面協力の取材。
「用途毎に部屋を細かく分けるご要望でした。するとどうしても空間がどん詰まりになってしまうので、横へも縦へも回遊できるよう工夫しました。また奥さまの思いが詰まった模型のイメージに近付けるよう努力したつもりです。」と西久保毅人さん(前列右)


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20 4月, 2015

若手建築家5名による倉庫リノベーションの提案「MAKE ALTERNATIVE TOWN」

若手建築家5名による倉庫リノベーションの提案「MAKE ALTERNATIVE TOWN」のフォーラムと展覧会に行ってきました。
2014年中﨑隆司を中心に、幹事企業イーソーコ、プラス、リソーコと共に「倉庫リノベーション研究会」を発足。
その後隈研吾や、妹島和世、西沢大良などを講師にトークイベントを開催しながら、若手建築家(畝森泰行、中川エリカ、久保秀朗、松井亮、中村真広)と共に「倉庫リノベーション」「ウォーター・フロント新世紀」「品川・田町エリア再生」をテーマにについて研究を進めてきた。
そして今回、今までの研究を発表するフォーラムと展覧会(4月22日まで)が
田町の建築会館開催された。
展覧会の会場構成を西沢大良が担当した。

 フォーラム・展覧会開催主旨
「世界とつながる羽田空港と日本全国につながる東京駅の中間に位置する品川駅・田町駅周辺地域は日本全体のターミナルライン、ターミナルエリアの核となるポテンシャルを持つ地域。
山手線の新駅、リニア中央新幹線ターミナル駅、アジアヘッドクオーター特区などの計画があり、さらにウォーター・フロントを挟んで2020年東京オリンピック・パラリンピックのベイ・ゾーンと向かい合う。このエリアを構成する芝浦地区はリノベーションの可能性を秘めた倉庫が残る地域。
倉庫という既存インフラを活用しながら、10年後、20年後の芝浦地区、品川駅・田町駅周辺、及びウォーター・フロントの未来を豊かに創造していくためのデザインとビジネスモデルを考える場を共有するために、展覧会とフォーラムを開催。」

 建築会館ホールでのフォーラムにおいて、株式会社リソーコ代表取締役社長池田浩大による講演のほか、出展建築家5名によるアイデアのプレゼンテーションが行われた。


 建築会館ギャラリーでの展覧会(4月22日まで)。
大きな展示台に芝浦地区の模型と、その周囲には参加メンバーの紹介を兼ねた著書や掲載雑誌が並ぶ。

 芝浦地区の模型(西沢さんが教授を務める芝浦工大の学生達による制作)。
芝浦はその殆どが埋め立て地で、運河、産業道路、東京モノレール、首都高速などの物流インフラが網の目のように張り巡らされている。その中にイーソーコが扱う倉庫が多数あり、さらにその中からいくつかの倉庫をピックアップして「この倉庫をリノベーションするならどうする?」といった投げ掛けに、若手建築家が答えるといった展開だ。

 特に表現方法の決まりはなかったが、皆大きめの模型で微細に作り込んできた。


 〈LOFT FIELD shibaura〉by tsukuruba design(中村真広 + 柴山修平 + 日高海渡)


 ドローンの愛好家は今後益々増えると予想されるが、安全に楽しむ場所が限られる。
そこで倉庫のフロアの下層と上層の間にネットを張り、物資上部の未利用空間を有効活用し、倉庫の収益性を上げようという提案。

 〈Shibaura Library〉by 畝森泰行建築設計事務所


 倉庫を「ものを保管する」から「情報を収集し、発信する」図書館へ変える。
薄暗い倉庫内の一部をスキップフロア化によって光や動線のアクティビティのある空間にし、従来の図書館像を拡張した新しい公共の場と運河沿いの遊歩道が織りなす水のネットワーク。

 〈パブッリック・ポータビリティ〉by 松井亮建築都市設計事務所


 芝浦の中でも高層住居誘導地区に指定されたエリアは居住者も多い。
周辺住民がエンドユーザーとして利用できる工房の提案。セルフリノベーションの推進やマーケット、スクールなどの公共性も担いながらモノ作りの拠点として街と繋がる。

 倉庫内に設置された大型の貨物用エレベーターに収まるサイズをモジュールとして、屋台、陳列棚、階段状座席などを組み合わせて様々な用途に可変出来る。


 〈Open-Traffic SOHKO〉by 久保都島建築設計事務所


 選定倉庫の北側には年間利用者が8,800万人の東京モノレール、南側の首都高速は年間3,600万台の車が走る。これらへの潜在的な広告効果を利用するため倉庫の2階部分を三角形の区画にしたショールームにする。


 〈まちを知りたいなら、まずは外に出よう〉by 中川エリカ建築設計事務所


 屋上はその建物に属していながら、ランドスケープでもあり、地面から切り離されているため建物単体のスケールを超えた周辺環境に属した存在になる。芝浦には「外である」という価値を謳歌できる屋上がたくさん在り使われるのを待っている。


 ここで提案するのは三角形のフレーム状「工作物」。床面積も屋内も持たない工作物が、様々な展開へのきっかけとなり、開放的であることから身体とまちのスケールを縫合できるのでは、という試み。


左から中川エリカ、松井亮、久保秀朗、西沢大良、中﨑隆司、池田浩大、中村真広、畝森泰行の各氏。
「これはオリンピック後まで続く息の長いプロジェクトです。東京の新しい顔として変わっていくであろう芝浦エリアにこれからも注目して下さい。」と中﨑さん。

【MAKE ALTERNATIVE TOWN 展】
日時:2015年4月16日〜4月22日
場所:建築会館ギャラリー


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