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15 2月, 2019

UDSによる「HAMACHO HOTEL」開業レポート

日本橋浜町の清州橋通りに2月15日にオープンする「HAMACHO HOTEL」内覧会に行ってきました。
ホテル・店舗・賃貸住宅からなる複合施設「HAMACHO HOTEL & APARTMENTS」のホテル部分である。安田不動産が「手しごと」と「緑」のみえる街、というコンセプトのもと進める街づくりプロジェクトのひとつ。UDSが建築デザイン監修と、ホテル企画・設計・運営を手がける。
建物の足元や各客室のバルコニーに緑をふんだんに取り入れており、国内外から訪れるゲストのみならず、浜町に住み、働く人々との交流と賑わいを生み、コミュニティを創出する場となることを目指す。


地下1階地上15階、RC造、敷地面積1,423m²。


ホテルの客室数は全170室。1階はダイニング&バーとチョコレートショップ、2階〜15階が客室という構成。


エントランス。
ホテルと賃貸住宅の共有エントランスであるが、1階のエレベーターホールでセキュリティーを設けている。建物全体の植栽はSOLSOが監修。




中に入ると、ロビーを中心に左手にダイニング&バー、右側にレセプションとエレベーターホールがある。ロゴマーク「H」はHAMACHOの頭文字で、佐藤卓が手掛けた。


まずはエレベータで15階へ。
最上階の15階にはテラス付の部屋が4室ある。


〈テラスルーム〉 40m²
床を下げることで生まれる立体的な室内空間と併設するテラスで広がりを感じられる空間。3室はこのタイプで宿泊料は30,000円〜。


松などの和テイストにローズマリーなどのミックスした植栽のテラス。 


バスルームからもグリーンをのぞむことができる。


<プレミアムテラスルーム> 45m²
こちらは1室のみの特別客室。乃村工藝社 A.N.D.による内装デザインで、古材やデニム生地のカーペットなど、他客室とは異なるテーストと遊び心のある設えとなっている。 パーティールームとしての使用を想定し、バーカウンターやターンテーブルが備わる。
宿泊料は35,000円〜。


テラスはアウトドアリビングのように東京の景色を眺めながら寛げる。


〈コーナーダブルルーム〉 25m²、12室(3階〜14階)
各フロアに1室しかない2面の開口でパノラマに街が広がる開放的な部屋。
宿泊料は13,000円〜。


13階でありながら窓から松の木が見える!(12階にしっかり固定されて植えられている) 


〈ダブルルーム for relax〉15m²、34室(3階〜14階)
窓際には、荷物を置いたり足を投げ出せる機能を持たせたベンチソファーが備わる。
宿泊料は11,000円〜。同じ広さでビジネスユースに適した「ダブルルーム for business」もある。


1階に降り、専用の階段で2階の「TOKYO CRAFT ROOM」へ。


柳原照弘氏をクリエイティブディレクターに展開する、クラフトの新しい価値を東京を経由して世界に広げるプロジェクトの拠点となる特別客室だ。日本各地の作り手と国内外のデザイナーをマッチングして完成したアイテムを、客室の一部とするコンセプト(アイテムによっては購入も可能)。78m²、宿泊料は50,000円〜。


開業時には2組のデザイナー(アムステルダムのデザインスタジオDe Intuïtiefabriekと、スウェーデンのインゲヤード・ローマン)によるアイテムがお目見え。年に数点新しいデザイナーの作品が追加されていく計画で、今夏にはCKRによるテーブルの発表が予定されている。


インゲヤード・ローマンによる有田焼のカップは各客室で楽しむことができる。


〈nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO〉1階
日本の手しごと×チョコレートをコンセプトにしたショップ。ガラス越しにチョコレートが出来上がっていく様子を眺めながら一息つけるカフェも併設。


ショコラティエがベトナムの契約農家など複数産地のカカオ豆の選定から行って作り上げるボンボンショコラ“ビーントゥーボンボン”や、カカオ豆の発酵度合いによる味の違いが楽しめる商品。


〈SESSiON〉1階
ブルーノート・ジャパンによる街のダイニング(食堂)をテーマにしたダイニング&バー。
デザインは乃村工藝社 A.N.D.が手掛けた。「セッション」には、国内外から訪れたホテルゲストのみならず、浜町に住まう人や働く人が集い、心地よいリズムや対話が生まれるような場所になって欲しいという思いが込められている。豚の角煮やコロッケなど親しみのあるメニューをプロの技でアレンジした食事を提供。


ホテルエントランスからダイニング&バーを見る。


「SESSiON」の外部エントランス。

「HAMACHO HOTEL」はデザインコンシャスでありながら気取らない親しみやすさがある。3月には良品計画が展開する国内初の「MUJI HOTEL GINZA」を開業させるUDS。今後も攻めの企画、設計、運営であたらしい文化やコミュニティーを創出していってくれそうだ。

【HAMACHO HOTEL】
企画・インテリアデザイン・建築デザイン監修:UDS/ the range design INC.
プレミアムテラスルームデザイン:乃村工藝社 A.N.D.
TOKYO CRAFT ROOM デザイン・クリエイティブディレクション:TERUHIRO YANAGIHARA STUDIO
植栽デザイン監修:DAISHIZEN SOLSO
アートワーク :トモル工房 / Spiralarts & Co. / ALL GOOD FLOWERS
設計・監理 :松田平田設計
運営 :UDS
所有者 :安田不動産
https://hamachohotel.jp/

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徳田慎一による大田区の「池上のクリニック」

徳田慎一(徳田慎一建築設計事務所)による東京 大田区の「池上のクリニック」を見学してきました。東急池上線 池上駅から徒歩5分ほどの場所。
徳田さんは青木淳建築計画事務所出身だ。


元々自宅兼の耳鼻科医院。経営者(院長)が亡くなってからしばらく住み手もない状態であったが、その経営者のご息女の旦那さんが、泌尿器科の医師として務めていた総合病院を定年退職し、この機会に町医者として地域に根ざした医療を行おうと、診療所部分を拡張修繕し、開業したのがこのクリニックだ。


周囲にRCのマンションが並ぶが、本門寺の参道に面する雰囲気の良い建物だ。
「恐らく3回ほど増築され、元の部分は昭和20年代だったのでは。」と徳田さん。


旗竿敷地で長いアプローチを持つ。シャッター付きの門扉はそのままで、看板を耳鼻咽喉科から泌尿器科へ変えた。


真新しいモルタルのポーチと自動ドアを抜けると、昭和の面影を残した空間が現れる。


既存では手前にエントランスと待合室、半分より奥が診察室だったが、今回左手壁の向こう側の住居部分へ診察室を拡張した。
スタディでは天井も張り直そうと考えていたが、解体が始まり中央の柱が現れると、これを残した方が良いと思い、それに合わせ天井も現しにしていくこととなった。


解体を進めると耐震に問題があることが発覚。左手の壁や中央の壁などを耐力壁となるよう補強し、開口部にも柱やブレースを追加した。2階も居住を考えているわけではないが要所に耐震補強のみ施した。設計は建物を補強することを前提に進めていったという。
椅子は新たに製作したもの。左の長椅子は座面の奥行きが広いが、具合の悪くなった患者が横になれるようにした。


「町医者になる」という院長の思いを反映する雰囲気が表現されている。
驚いたことに施主である院長は、はじめのプレゼンでOKを出したのち、一度も現場を確認しなかったという。「お願いしたのだから任せる」ということだったそうだが、設計者としては初めての施主確認が引き渡しの時という、かなりスリリングなプロジェクトだっただろう。


3種類床板が確認できる。増築の度に異なる材が張られたのだ。
上から少し飛び出しているパイプは暖房用に2階へ引き込まれたガス管だが、アクセントになるよう敢えて残した。


診察室は元食堂。一見全て新しく見えるが、奥の2枚のドアは既存。垂れ壁には鴨居が付いたままだったりする。
待合室と診察室合わせ53m2。


出窓やサッシュ、棚もそのままに。


今ではなかなか手に入らない貴重な磨りガラスがそのまま残っている。


診察室のドアの向こうは元キッチンだったバックヤード。こちらは補強した構造合板などはそのままに。勝手口が懐かしい。


元和室は事務室に。正面の四角い開口は診察室と通じており、磨りガラスを移設した。
座っているのは院長の奥さま、つまり先代院長のご息女で、この家で長く暮らしていた。
見てきた食堂(現診察室)とキッチン、この和室などが一番古い時代のもので、左の部屋や、ちらりと見える階段から上は増築。


徳田慎一さん。「まちと建物の雰囲気もさることながら、ここでキャリアを完成させようとしている院長先生の考えに惹かれ、設計を始めました。長い時間を経たものを手掛りに、かつて耳鼻咽喉科時代に流れていた空気を想像しつつ、とにかく観察する日々。設計は、既存の空間を下地にして、元々あったものと新しく作るものとの関係性を作っていくような、コラージュに近い作業だったように思います。」

【池上のクリニック】
設計・監理:徳田慎一建築設計事務所
構造設計:KKSエンジニア
施工:TH-1


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10 2月, 2019

進藤強/ビーフンデザインによる板橋区の集合住宅「feel CnB」

進藤強/BE-FUN DESIGNによる板橋区の集合住宅「feel CnB」
東武東上線 成増駅から徒歩5分程の場所。


敷地面積476m2、建築面積272m2、延床面積776m2。RC造3階建て、22住戸からなる長屋。
東西に7m程の高低差を持ち、かつ三角形の変形敷地。


南側と北側に玄関を振り分け、メゾネット若しくはトリプレットで複雑な入れ子状を構成しながら、ほぼ全ての住戸で南側に開口を持つように計画されている。


既存では木造の建物が3棟建ち、周囲に鬱蒼と草木が生えていた。その状態で売りに出されていたのを進藤さんが見つけ、事業計画を立てたうえでオーナー候補に提案し、プロジェクトがスタートしたという。
写真は敷地の下側(西)から、解体が終了し更地になった状態。


平面は何とこのような形。さらに断面が南へ北へ複雑にからまっている。


6つの棟が接続したような外観が階段状に連なる。


アパート名の「BnC」は「Bicycle and Cat」の意だ。つまり自転車好きや猫好きが暮らしやすいアパートとなっている。階段には自転車用にスロープをつけた


南北共に敷地内通路を設けそれぞれ路地のような風景を作りだしている。
既に入居がはじまっているが、この日は4住戸の見学ができた。




西側は暗渠になった緑道に面しているが接道はできない。


公開空地にできれば近隣にも親しまれる路地になりそうだ。


北側の4号室。土間や壁面ラックに自転車を置くことができる。
左の引戸がトイレ、奥に洗面と浴室。


洗面室の足元にキャットドアが付き、洗面台の下にトイレを置くことができる。


2階は収納と洗濯機のスペースのみ。


3階はLDK。L字を逆さにしたような断面で構成されているため、奥の開口は南に面している。


この住戸はモデルルームとして家具が設えてある。


ダイニングキッチンの上は、、、


ロフトのベッドスペースに。3階はスキップしながら3層を構成している。写真ではなかなか伝わらないが、垂直方向の迷路のような面白さ、日常に変化が感じられるようにしてあるのだ。


東端の13号室。玄関を入ると螺旋階段と土間のみ。自転車がおける広さだけが取られている。全住戸で、2階若しくは3階に寝室が配置できるよう、1階は居室としての選択を排除しているのだ。
手前に、猫が外へ逃げないようにスクリーンゲートが付いている。


2階はキッチンと洗濯機置き場。


トリプレットの3階を見上げると何やら造作物が現れたが、、、


キャットウォークだ。左手前は透明アクリルになっており、肉球を眺めることができるというマニアには堪らない "設備" だ。


敷地と同じような変形の部屋だが、二面に開口があり明るく、バルコニーもつき開放的。


21号室はメゾネット。キャットウォークが付くのは、南側に玄関がある住戸。
こちらは別パーターン。


2階から垂直に上がり、、、


ロフト高さで水平に移動する。ここに寝ていると下から猫が上がってきて、横から眺めながら布団に潜り込んでくる、といったストーリーが目に浮かぶ。


18号室。階段を上がってバルコニーに出るのは、その下に別住戸のロフトがあるため。
これらのキャットウォークは半分の住戸に設えてある。また、飼える猫の頭数も住戸によって制限があるそうだ




進藤強さん。「複雑な敷地条件、法令、収支計算、立地、ニーズなど様々な要件を勘案し、最適解ともいえるアパートを提案できました。一見不合理で、住宅や集合住宅を建てるには無理があるような土地でも、その良さやここでできることを掘り起こし、プロジェクト化できるのは建築家ならではの仕事ではないでしょうか。」

【feel CnB】
設計監理:進藤強/BE-FUN DESIGN + 湯本峻大/Nomadic
構造設計:安藤耕作構造計画事務所
施工:環境クリエイト


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