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12 1月, 2016

N.A.S.A設計共同体による千葉県鋸南町の「道の駅 保田小学校」

N.A.S.A設計共同体による千葉県鋸南町(きょなんまち)に竣工した「鋸南町都市交流施設・道の駅 保田小学校」の竣工式に行ってきました。
N.A.S.Aとは古谷誠章/NASCAを代表に、渡辺真理+木下庸子/設計組織ADH、北山恒/architecture WORKSHOP、篠原聡子/空間研究所の4者で構成されたユニット。
2014年度をもって閉校の町立保田(ほた)小学校跡地を活用した、都市交流施設のプロポーザルによって2013年に1位に選定された。
(新建築2016年1月号に掲載)

館山自動車道・鋸南保田インター出口から100メートルもない「保田小学校」。小学校の体育館然とした建物がすぐに見える。既存の小学校として備えている施設・設備・機能を生かしながら、町内・周辺・首都圏の利用者に開放し、交流客も町民も集まれる場所などの条件が求められた。

そのまま残された正門は歩行者のエントランスで、自動車用は別に設けた。

校舎1階には飲食店や物販のテナント、情報ラウンジ、管理事務所、貸しスペースなどが入り、2階には簡易宿泊施設、音楽スタジオが入る。正面2階には共同浴場、右手の体育館は市場になっている。建築家4者はそれぞれいくつかのパートを受け持ち、全体と調整しながら設計を進めた。


地産品市場 〈きょなん楽市〉は元体育館。下部の外壁2面をガラス張り、上部の外壁4面は40mmのポリカーボネートの中空板で仕上げた。(NASCA担当)


西面には竹を植え、夏の西日を遮る。

竹林の中はちょっとした遊歩道に。

当日は地元の人を招いたプレオープンということもあり、市場には既に沢山の商品が並び賑わっている。4面のハイサイドライトの他、トップライトも設けてあるのでとても明るい。

既存の鉄骨は劣化や強度をチェックされ、防錆処理と再塗装されている。強度的には殆ど問題がなく、一部補修や追加された部分に赤く差し色がされている。

かつて児童が使った備品は随所に活用されている。

市場を出ると様々な催しに利用できるイベント広場。正面には元職員室、右にトイレと共同浴場が増築されている。

職員室側の玄関はそのままに。中へ入るとカフェ、奥の授乳室やトイレへ通じる。


元職員室〈cafe 金次郎〉。(空間研究所担当)


既存の職員室の屋根に造ったデッキスペース。強度を考慮し定員280人とキャパを定めてある。浴場〈里の小湯〉は既存建物とは構造を別にしてある。
(空間研究所担当)

浴場は男女それぞれ10人ほどが利用できる広さ。


教室棟2階、南側全面は〈まちの縁側〉と呼ぶサンルームを増築。
教室棟と駐車場の間には 〈里の原っぱ〉 を整備し、芝が根付いた後子どもたちが遊べるようにし、小学校の風景を再現できる。

2階の窓からは黒い板が整然と並ぶのが見えるが後ほど。

〈まちの縁側〉の下はピロティになり、テナントがいくつか連なる。細長い建物の往来がしやすくなるような動線に。

 既存風に作られた手洗い場。


〈まちのコンシェルジュ〉。鋸南町の観光・宿泊・イベント・生活情報の提供の他、宿泊や浴場のフロントとして機能する。
architecture WORKSHOP担当)


テナントではない〈こどもひろば〉は幼児向けのスペース。壁面の立体迷路の裏が管理事務所になっており、丸窓から子どもたちの様子を伺える。architecture WORKSHOP担当)

中華料理〈3年B組〉。(ADH担当)

地元の人気中華料理店が出店。地元感そのままに演出。

物販・お土産〈快 鋸南百貨店〉。跳び箱を再利用したテーブルが見える。(NASCA担当)

元昇降口で、2階までの吹き抜けに、下駄箱、踊り場に設置されていた掲示板がそのまま残る。左の壁には剥がされた体育館の床がパッチワークのように組み上げられている。

イタリア料理〈Da Pe GONZO〉もNASCAが担当だが、ほぼテナント側のデザインと自主施工による。

〈里山食堂〉。地元の女性達が切り盛りし、おふくろの味が楽しめる。architecture WORKSHOP担当)

テーブルは学習机をリユース。

昇降口を利用した吹き抜けスペースに大テーブルも備わる。

2階に上がって〈まちの縁側〉。
縁側の長さは75m。訪れた人が自由に使えるほか、宿泊客の自炊スペースでもある。左側が既存のバルコニーがあった場所で、右に2.4mほどせり出して増築されているが、既存の建物には荷重をかけずに独立している。外から見えた黒い板は、室内側では白くなっていた。architecture WORKSHOP担当)

板は34枚の蓄熱板だった。冬場は黒い面で太陽熱を蓄え、夜間緩やかに放熱する。夏場は白い面を外に向け遮光板になるというわけだ。
この日はかなり冷え込んだが、温室のように暖かで上着を着ているとすぐに汗ばむくらい。

左の柱と一緒に見える銀色のパイプは、上部の暖かい空気を足元に循環させるリターンダクト。
咲き誇るのはブーゲンビリアで、水仙と並んで鋸南町の特産。今はここで育成されているが、春を待って1階の柱脇に植え替えられ、長大なブーゲンビリア棚にするそうだ。

簡易宿泊施設〈学びの宿〉。北側の既存廊下はほぼそのまま。元教室が客室になる。
地元の年配の方々が「自分たちが通ったときの校舎とは立替えられたが、学校が残って本当に良かった。」と口々に話していた。(ADH担当)

廊下の窓からは里山の風景。


客室は教室の面影たっぷり。
畳を敷いたベッドは共通だが、インテリアが各室少しずつ異なり、ここでは体育館にあった巨大な時計が掛かる(動いてはいない)。
客室からは縁側に連続しているので出入り出来る。

教室を半分に分け2室にしているため、後ろ側の部屋ではロッカーがそのままで、理科室にあった標本などが飾られている。

竣工式典と第二の人生を歩み始めた二宮金次郎。

N.A.S.A設計共同体。左から古谷誠章(NASCA)、渡辺真理(設計組織ADH)、篠原聡子(空間研究所)、八木佐千子(NASCA)、北山恒(architecture WORKSHOP)の各氏。

【鋸南町都市交流施設・道の駅 保田小学校】
所在地:千葉県安房郡鋸南町保田724(館山自動車道鋸南保田インター至近)
詳細:http://hotasho.jp/  
  (飲食店は比較的ラストオーダーが早いので要確認です)

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