japan-architects.com

30 1月, 2014

建築家43組が参加の「DOMANI・明日展」 レポート

六本木の国立新美術館で開催された「16th DOMANI・明日展」の建築家の展示スペース "未来の家" をレポート。

 本展は、文化庁により海外で研修する機会「新進芸術家海外研修制度(旧:芸術家在外研修)」を与えられた芸術家の成果発表の場として開催されており、16回目となる今回、初めて “建築” という未紹介のジャンルが入り、"未来の家” をテーマに1983年度〜2010年度の研究生まで計43組の建築家が参加した。


 一律のブースに思い思いの "未来の家” が展示され、ひとつの会場をつくりあげる。それぞれが個性的なお店・バザールのようなイメージで、そこに広場や路地のあるといった展示構成。
今まで互いに交流はなかったという建築部門研究生。今回の展示をきっかけに、研修生の交流とともに30年の研修成果を一堂に会する機会となればということで開催された(連絡先がわかる範囲で声がけされたそうだ)

いくつかご紹介。
 栗生明(1983年度派遣/イタリア)
式年遷宮記念「せんぐう館」
栗生氏は本展の幹事代表。

 小川晋一(1984年派遣/アメリカ)
建築 × 身体

 古谷誠章(1986年派遣/スイス)
“建築” 採集

 堀川秀夫(1994年度派遣/イタリア)
100年後の未来の家

 100年後の未来を想定した新しい住環境の提案として、その時代に実現可能となるであろう構造システム、環境負荷低減を組み込んだプレゼンテーション。リアリティのある提案を行うために、構造家の名和研二氏、設備家の遠藤和広氏と共に構想を練った。


 吉村靖孝(1999年度/オランダ)
ボルトレスジョイントによる木造ラーメン構造の研究
富山の金物メーカーと構造家の大野博史氏と協同して簡単な接合方法で自由に拡張できる建築のジョイントを開発中で、その構法を利用した戸建て住宅も2軒設計している。

 白井宏昌(2001年度派遣/オランダ)
?:住まいへの問い

 原田真宏(2001年度派遣/スペイン)
「こわさない・こわされない」
計画中の住宅Log-Hのプレゼンテーション。何世代もの建築物へと転用されリユースされていく伝統的な木造のシステムを現代的な構造システムで展開できないかと考え、高層建築物で用いられるH型鋼(h700×w350)を校倉式に組み上げる事で建築全体を構築。住居としての用途を終えた後は分解され他の建築の一部として利用されていく仕組み。

 柄沢祐輔(2002年度派遣/オランダ)
「複雑な階層状のネットワーク」

 松田 達(2002年度派遣/フランス)
空間充填パズルの家

 山口尚之(2002年度派遣/アメリカ)
NEXT TO THE LAST / 最後の次に
天井から吊らされた無数の糸。その一部が着色され、ぼんやりとした「家」が浮かびあがる。希望や不安も含めた様々な未来の家のかたちをイメージ。

 迫 慶一郎(2004年度派遣/アメリカ)
東北スカイビレッジ
東北地方における自然災害または緊急事態下で自立できる地域を目指した計画案。

 伊藤 廉(2005年度派遣/ポルトガル)
コルクの家

 瀬下淳子(2006年度派遣/ポルトガル)

 使用した紙皿とホッチキスの本数


 松川昌平(2009年度派遣/アメリカ)
アルキテクトーム

 石井大五(2010年度派遣/ノルウェー)
Locality/Inter-Locality

 空き家(キャンセルになった参加者スペース)


出口では、未来の家でこだわりたい場所にシールを貼っていくという来場者参加型の展示も。多いのは風呂、庭、台所、居間?


【16th DOMANI・明日展】
会期:2013年12月14日~2014年1月26日 ※終了しています
場所:国立新美術館
詳細:http://domani-ten.com

出品建築家
栗生 明/小川晋一/古谷誠章/竹内裕二/西森陸雄/山岡嘉彌/古暮和歌子/堀川秀夫/岡田哲史/戸室太一/林 寛治/松島史朗/今永和利/大松俊紀/吉村靖孝/宮元三恵/白井宏昌/原田真宏/秋吉正雄/柄沢祐輔/土井一秀/長田直之/藤井由理/松田 達/丸子 淳/山口尚之/山添奈織/大津若果/霜田亮祐/山田 良/郡 裕美/迫 慶一郎/田中宏明/伊藤 廉/瀬下淳子/田辺雄之/平瀬有人/小塙芳秀/鈴木葉菜子/大野暁彦/松川昌平/石井大五/細海拓也(派遣年度順)


========== japan-architects.com ===========
日本の建築家・インテリアデザイナー・ランドスケープアーキテクトと世界をリンク
ジャパンアーキテクツメンバーのプロフィール >>japan-architects.com

建築・デザインのイベント情報 >>What's happening

建築・デザインのお仕事 >>求人求職情報
ジャパンアーキテクツへのお問い合せ >>事務局へメール

26 1月, 2014

富永哲史による「オビノイエ」

富永哲史 (Tetsushi Tominaga Architect & Associates) の設計による「オビノイエ」を見学してきました。文京区の茗荷谷駅から数分の場所。12月にオープンハウスが開催されたが完成してから伺った。

 敷地面積77m2、建築面積46m2、延床面積111m2。RC造+木造。地下1階、地上2階建て。敷地の奥に向かって傾斜地のため、1階に見える部分は地階だ。


 4つの帯状の箱がずれながら重なる。ずれた部分はトップライトだったり、下向きの開口だったりと水平方向には閉じ気味だが垂直方向にいくつもの開口が設けてある。


 玄関に近づき見上げるとグレーチングが見える。上のグレーチングは後ほどキッチンで紹介する。


 玄関を入り納戸から振り返る。納戸には自転車も入る。


 外観で見えたずれはこのようなトップライト。


 玄関から見ると右に収納、水回り。突き当たりにご主人の寝室。左には収納、エレベーター、階段室。


 廊下を進み見上げるとガラスの天井。ペントハウスから垂直に光が注いでいる。歩くのはご自身も撮影に訪れた富永哲史さん。


 広めの浴室にも納戸から伸びるトップライトが続く。


 ご主人の寝室。浴室からも見えた坪庭に面している。植わっているのはシェフレラ。


 1階へ。


 1階には平面の中心にウォークインクローゼットが二つレイアウトされている。左が奥さまの寝室、廊下の奥が子供室。


 子供室。造り付けの机や棚。ぶら下がるのはハンモック。


 クローゼットの引戸は部屋の開閉を兼ねている。


 回り込むと何と奥さまの部屋とは繋がっていた。将来的には仕切れるが、お子さんがまだ小学生なので頭を付き合わせながら寝ている。ここのトップライトからは今の時期木星を見ながら眠りについているそうだ。(オリオン座の左上に見える黄色い明るい星)


 廊下からは上階のダイニングテーブルが見える。


 2階LDK。床はフレキシブルボードの下に床暖が設置されている。


 ペントハウスへ吹き抜けになっている。


 2階ではエレベータが見えないように扉がついている。


 玄関から見えたグレーチングにはプランターが置かれハーブが植えてある。料理をしながら手を伸ばせばいつでもハーブが採れるというわけだ。 


キッチンと反対側はアクメナが植わるテラスになっており、プライベートな空が眺められる。引越後1ヶ月半が経ち奥さまは「こんなに明るく快適なのに全く周囲が気にならない。都心でこんな生活ができるとは!」と感激していた。

========== japan-architects.com ===========
日本の建築家・インテリアデザイナー・ランドスケープアーキテクトと世界をリンク
ジャパンアーキテクツメンバーのプロフィール >>japan-architects.com

建築・デザインのイベント情報 >>What's happening

建築・デザインのお仕事 >>求人求職情報
ジャパンアーキテクツへのお問い合せ >>事務局へメール
>>Twitter   >>Facebook

23 1月, 2014

一級建築士事務所エヌア-ルエムによる「はつが野の家」

一級建築士事務所エヌア-ルエム (NRM-Architects Office) のオープンハウス「はつが野の家」の内覧会に行ってきました。



大阪府和泉市に建つ、若い夫婦と将来生まれるであろう子供達の為の住宅。
典型的な郊外の新興住宅地に位置している。

建築面積は81.15m2、延床面積は141.81m2。
木造、地上2階建て。

玄関を入るとすぐに中庭が見える。左手には和室、右に行くとリビングが配置されている。
和室からも中庭が見え、自然光が入る。

リビングよりキッチンを見る。

キッチンよりリビングを見る。


リビングから中庭を見る。中庭の向こうには和室が配置されている。


庭はグリーンスペース (GREEN SPACE) の仕事。


中庭から空を見上げる。庇で太陽をコントロールする。


二階廊下、奥には寝室


主寝室、ルーフバルコニー


ルーフバルコニー


ルーフバルコニーから1階の中庭をのぞく


「はつが野の家」について、お話をお伺いしました。

敷地は南側が接道し、近隣に立ち並ぶ家々は南側からの採光を得る為に、大きな窓を道路側に向けて設けている。しかしそれらの窓は、一日中カーテンやシャッターで閉ざされているという、建売業者やハウスメーカー主導による典型的な街並みを呈している。

「はつが野の家」では、このような状況を改善したいと思った。
建築は南側を低層、メインの生活空間となる北側を2層分の高さにし、中間に中庭を挿入するというヴォリューム構成とし、季節に関わらず上方斜め上から降り注ぐ太陽光により、日中カーテンやシャッターを閉じなくても、メインの生活空間となる北側のヴォリュームに採光を供給し、閉じたファサードとする事でプライバシーの確保も実現している。
また、外観を特徴づけている深い軒は、南中高度の低い冬には太陽光を遮る事無くリビングの奥深くまで光を導き室温の上昇を促し、南中高度の高い夏には太陽光を遮り室内への入光を防ぐ事で、室温の上昇を防ぐ役割を与えられている。


一級建築士事務所エヌア-ルエム
左:二宮 俊一郎さん、右:諸留 智子さん



グリーンスペースの辰己 耕造さん
『家の前の植栽は施主の意向で収穫出来る植物(ブルーベリーやハーブなど)を考え、中庭には、リビング、和室、玄関の三方から見えるように配置し、空間に合わせた植栽を考えました。』

設計:一級建築士事務所エヌアールエム
構造:玉置建築設計事務所
施工:株式会社Arcc
作庭:グリーンスペース
金属製ポスト製作/家具協力:aizara

========== japan-architects.com ===========
日本の建築家・インテリアデザイナー・ランドスケープアーキテクトと世界をリンク
ジャパンアーキテクツメンバーのプロフィール >>japan-architects.com

建築・デザインのイベント情報 >>What's happening

建築・デザインのお仕事 >>求人求職情報
ジャパンアーキテクツへのお問い合せ >>事務局へメール
>>Twitter   >>Facebook