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22 12月, 2014

辻昌志によるリノベーション「川沿いのペントハウス」

辻昌志建築設計事務所 (Masashi Tsuji Architects) によるマンションのリノベーション「川沿いのペントハウス」の内覧会に行ってきました。
江戸川区平井駅から10分程の場所。施主はプリズミック。

荒川沿いの8階建ての賃貸マンションで、一棟ごとプリズミックが所有者となったことで、空室だった住戸を幾つかリノベーションするために辻さんに設計を依頼した。この日公開されたのは左上最上階の三角の住戸。


7階に上がってみると、専有のルーフバルコニーを備えていた。屋上にひと住戸だけ突き出した2層のペントハウスだ。
建物名は「PRISM COURT 平井」。バルコニーも含めた専有面積は71m2、2LDK、賃料19万円。



ルーフバルコニーからは荒川を望むことが出来る。


右奥の玄関から入ってきてDK。床にはフレキシブルボードを張り、キッチンはコンクリートの造り付けに変えた。

リビング側は2層の吹き抜け。上階から、うねるようにカーブした個性的な床がリビング側に1m程せり出し、正面の開口の前に螺旋階段が設置されていたが、それらを撤去しすっきりと開放的にした。


解体前の様子。

反対側を見ると斜線制限を受けた天井が対角方向に下がっていき、空間的にかなりダイナミックさを出している。
奥右の扉は水回りで、左の小さな扉は納戸。

水回りは全て更新した。


納戸を覗くと斜めの屋根が床ぎりぎりまで収束していく様子が見える。


螺旋階段を撤去したのちDKとリビングの間に壁を立て、キャンティレバーの階段を設えた。壁が無いときはバルコニー越しに開放的ではあったが、室外機が内を向いて設置されていることもあり、壁によりシーンの切り替えができるようにした。

しかし完全には仕切らずチラッとバルコニーが覗くも室外機は見えないよう配慮した。
サッシュは黒く目立つので枠に袖を被せ視覚的に落ち着かせた。

上階(8階)には個室が2つ。


吹き抜けとはガラスで仕切った。


奥の個室。ここに置ける家具はなかなか難しいので予め作り付け、使い勝手を良くした。


辻昌志さん「傾斜した屋根によって空間が大きく変化する住戸です。単に開放的にするだけでなく空間のシークエンスを大切にしました。」「梁も大きく傾斜しているのでそれを特徴として印象的に見えるようにしました。」

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19 12月, 2014

廣部剛司による住宅「由居庵(ゆいあん)」

廣部剛司 (Takeshi Hirobe Architectsによる東京・世田谷区の住宅「由居庵(ゆいあん)」のオープンハウスに行ってきました。

敷地面積137m2、建築面積50m2、延床面積92m2。木造2階建て。旗竿敷地や、風致地区によるセットバックなどにより建築面積は制限される。

 玄関土間はスレート張り。奥の地窓からは敷地外周に巡らせた植栽が覗く。


 閉じ気味の玄関と狭められた開口を抜けると...


 一転、22畳のワンルーム空間が広がる。


 この住宅はご主人がもうすぐ定年を迎えるご夫婦の住まい。寝室や書斎などの個室を設けず、「下の部屋」と「上の部屋」のみ。ベッドを置かずに布団で気ままに好きなところで寝るそうだ。


 いわゆる老後の住まいのイメージではなく、よりアクティブに住まうことができるよう自由な空間作りがされている。


 キッチンと、筆者の背後の納戸に洗濯機が置かれる。奥の勝手口からは物干しに出られるので一直線の家事動線だ。
キッチンと作業台の天板は黒御影石。

 吹き抜けの上下には大開口。外周にはシラカシの生け垣でプライバシーを確保。


 反対側は螺旋階段と丸木を使った大黒柱。2階と北西の壁を支える太い梁は105×330ある。


 階段の踏面の支えはカーブさせ柔らかい表情を出している。
また外壁に櫛引を多用する廣部さんだが、ここではシラスの内壁全体に刷毛引を施した。

 2階へ上がると多摩丘陵の斜面から、向かいのマンション越しではあるが多摩川方向を望むことが出来、遠くに丹沢の山並みと富士山も。
敷地の法規制ぎりぎりのボリュームを取りつつ、2階の床を高く設定することで眺望の抜けを実現した。上棟後真っ先に2階へ上がり、多摩川の対岸が見えたときはほっとしたという。

 中央の小さめの開口はフィックスではなく引き違いサッシュを利用している。


 外から見るとこのように。既製の引き違い窓の外枠を外寄りに付け、片側のサッシュにガラスを入れないで使っている。勿論雨仕舞はきちんとされている。


 反対側、左にウォークインクローゼット、右に書斎スペース。


 屋根は切妻(上の画像)と寄せ棟だと分かる。奥の戸は水回り。




 天井には少し光沢のある和紙が貼り込んであり、表情を変えながら光を反射させている。


「お施主さんは、動きがあり、空に開かれ、使い方に自由度がある空間を望まれました。ここでは法的な縛りで外形ボリュームはある程度決まってしまいますので、広さではなく “拡がり"、そして気積をコントロールしました。大きめの吹き抜けで上下層を繋ぎ、シンプルな箱形に相互貫入していくような “抜け” を作りました。」と廣部剛司さん。



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15 12月, 2014

Niji Architectsによる「鷹番の長屋」

原田将史+谷口真依子/Niji Architects (Masafumi Harada + Maiko Tanigichi) による「鷹番の長屋」のオープンハウスに行ってきました。場所は東京・目黒区、学芸大学駅より2分程の場所。

 敷地面積51m2、建築面積31m2、延床面積73m2。S造3階建て、2住戸が入る長屋。


 建て替えにより敷地脇を4m接道にする必要があったため敷地が減少、そこに専用住宅は小さいので何か面白いアパートを建てようということになった。


 2住戸は下層・上層で分けるのはなく、この小さなボリュームを道路寄りの東側と、敷地奥の西側で縦に割って分けた。


ファサードのガルバリウム鋼板はそのまま玄関ドアにまで張り込んだ。


 玄関を入ると広めの土間に螺旋階段と、住戸を分けるS字型の界壁が現れる。

 1階は玄関ホールと水回り。
螺旋階段は支柱も、25mm厚の踏み板も無垢鉄材で剛性を出したので上り下りで足音がしない。

浴室から見る。 


 閉鎖的で少し薄暗い1階から2階へ上がると切妻の頂点までの吹き抜けと、トップライトが見え、一気に開放される。


 ここで一度模型を見て頂くと分かりやすい。住戸は単純に真っ直ぐな壁で仕切られておらず、室内に狭い側・広い側をつくることで強制パースが生まれ広く感じられる。
(photo: Niji Architects)


 南の広い側には幅一面に開口を設け、緑の借景を望むことができる。


 カーブを描く界壁に落ちる影。


 3階は “納戸” にして、コンパクトな梯子で上がる。


 3階納戸。開放的なスペースの使い方は住み手の自由だ。
ちなみに、夏場を迎えてみて暑いようだったらエアコンが付けられるように設備の準備はされている。


 3階から2階を見下ろす。
開放感を得るために吹き抜けを広くしたいが、賃貸として床面積は増やしたい、そのバランスを検討した。
そしてこの軽快感を出すためには木造ではなく鉄骨造を選んだ。鉄骨はほとんど100×100のH鋼が使われている。

 2階から3階を見上げると、2階へは直射日光で3階へは青空からの間接光が入る。


 もう一方の住戸へ移動してみると、逆に2階へは間接光、3階へは直射日光が入る。


 そのため界壁には異なる陰影が現れる。


 室内には版画がいくつか展示されている。谷口さんの友人である版画家、菅祐子さんによる小さな個展を同時開催。


 3階。


左から原田将史さん、谷口真依子さん、菅祐子さん(版画家)。
「密集した近隣と小さな建築面積なので、住戸を上下に分けてしまうと上下でかなり住環境に差が出来てしまいます。そこで縦に分けることでほぼ同じ環境になり、家賃もほぼ同じにできます。」「小さな居室は吹き抜けや開口を利用し、界壁にも変化をもたせることで狭さを出来るだけ感じさせない工夫をしました。」「また今回版画を展示したのは、住空間にもっと版画や絵画などのアートを、インテリアとしてもっと積極的に使ってみてはという提案です。」


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LGS HOUSE #01/ボーダーの家




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