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02 8月, 2016

後藤連平/architecturephotoのセミナー「建築メディアのつくりかた」レポート

アーキテクチャーフォト/architecturephoto.netを運営する後藤連平のセミナー&トークショーに行ってきました。西澤明洋率いるエイトブランディングデザイン主催による勉強会「クリエイティブナイト」に招聘されたかたちだ。

architecturephoto.netは、建築にまつわる情報を世界中のウェブサイト上から編集・セレクトして紹介しているウェブメディア。個人がゼロから立ち上げたウェブメディアが、今では月間27万ページビューを誇り建築関係者から高い支持を得ている。
なぜこれほど支持されるようになったのか。今回のセミナー&トークショーでは、メディア運営の裏側だけでなく、情報発信者のメディアとの接し方のコツ、メディアに受け取ってもらえる情報発信のあり方など、メディアとして業界をクリエイティブに活性化させている活動を聞くことができた。

 当ブログの読者であれば知らない人はいないと思われるアーキテクチャーフォト。建築関係者の多くが情報源としている有力メディアで、当ブログもしばしば記事をリンク掲載していただいている。
しかし、サイトの存在は多くの方が知っており、多くの建築家がメールでやり取りしたことがあるにもかかわらず、静岡を拠点としているという地理的な側面もあり、運営者の後藤連平さんに実際に会ったことがある人はほとんどいない。
そんな後藤さんが、今回初めて東京でセミナーをするという貴重な機会に心躍った人は少なくないだろう。予約はたった3日で埋まったというから、その関心の高さがうかがえる。

 会場はエイトビル(木下昌大設計)。今回、同じ京都工芸繊維大学・建築学科出身で2年先輩である西澤さんの呼び掛け(呼び出し?)によって、遂に東京の公の場姿を現したが、西澤さんも含め、来場者のほとんどが後藤さんに会うのはこの時が初めてというのが面白い。


 レクチャー&トークは有料制で、1ドリンクとおむすびが付く。エイトブランディングデザインでブランディングを手掛けている "COEDOビール"、"IKU’S SHIRO"、有機米おむすび "七むすび" が供される。


 レクチャーは大きく3つのテーマで進行した。「アーキテクチャーフォトとは」、「アーキテクチャーフォトができるまで」、「アーキテクチャーフォト流情報発信術」。
大学を卒業後、組織設計事務所で分譲マンションの設計を経験し、その後地方の設計事務所に勤務。思い描いていた仕事とのギャップに戸惑い、「世界で、少なくとも日本で自分にしかできないことをやらないと将来、生きていけない」と強く思う。

学生時代に菊池宏さんのサイトに衝撃を受け、「ウェブサイトを作ろう」と考え、まず始めたのは建築写真のギャラリーサイトを作ること。
するとイタリアのdomusより藤森照信の建築写真を撮る依頼があり、それが採用された。岡田栄造さん(京都工繊大、S&Oデザイン)にもその写真を見せたところ「イワン・バーンみたいになれるよ」と言われ、建築写真家をなれると思い込むも、依頼は続かず方向転換し、毎日更新して人を集めるサイトにするためニュースコーナーを作ったのが今のアーキテクチャーフォトの起源だ。
それから10年間、ビジネスとして成り立ち始めたのは4年前からだそうだ。

 アーキテクチャーフォトを運営する上で大切にしていることは、「アクセス数よりも信頼されることを心掛ける」、「継続的に発信する」、「情報を受け手に合わせて(誇張ではなく)チューニングする」、「自分が伝えたいことと、受け手が知りたいことをバランス良く発信する」、「発信された情報と、受け手の反応を意識して観察する習慣を身につける」こと。

セミナーの後は西澤さんとのトーク。「ずっと浜松で、なぜ東京に出てこないのか?」との問いに、「長く居るので愛着があるのもあるが、東京でやると情報が東京寄りになってしまう気がする。どこでもできる仕事ですが、地方という中立的な場所だからこそ客観性をもって情報の取捨選択ができるメリットがある。」と後藤さん。
「日々溢れていく情報を僕というフィルターを通してアーカイブ化し、建築情報の歴史が見えるようになっていけたらいい。」 とも。

 西澤明洋さん(左)と、後藤連平さん(右)。学生の頃は同じ大学で建築を学び、今はそれぞれ建築に直接触れることのない仕事をすることになった二人。
最後に西澤さんから「後藤さんにとって建築メディアとは?」という問いに対しては、「アーキテクチャーフォトは自分を救ってくれた存在」と明かした。サイトを立ち上げる前は、建築系の繋がりも少なく、悶々とした日々を過ごしていたが、建築メディアを主宰することによって多くの方と繋がることができ、人生が大きく変わったという。

今回セミナー&トークを聴いてわかったのは、アーキテクチャーフォトは何となくメディアとして成長していったのではないということ。「人に来てもらうのではなく、集まりたくなる場をつくる」という確固たる信念を持ち、そのためにはどうすれば良いかを考え抜き、戦略的に構築してきたものであるということ。基本姿勢は建築家をサポートし、応援することであり、建築家を尊敬する気持ちと、そこから生まれる信頼を何よりも重んじているからこそ今がある。これだけの支持されるサイトには、なるべくしてなったのだ。


 朝起きるとまず、スマホでSNSやメールを大量にチェックするという後藤さん。会が終わるとすぐスマホチェック。2〜3日サイトの更新をしないと「後藤さんどうしたんだろう?」と心配されてしまうから厄介だ。

クリエイティブナイト:http://goo.gl/CbQmss
アーキテクチャーフォト:architecturephoto.net


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