RCRアーキテクツ(以下RCR)はスペイン・カタルーニャ地方のオロットを拠点に、歴史や文化、自然に寄りそった活動を続ける3人組(ラファエル・アランダ、カルマ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタ)の建築設計スタジオで、2017年にはプリツカー賞を受賞した。
[Exhibition, RCR Arquitectes: Geography of Dreams]ギャラ間
展覧会コンセプト:
上記コンセプトにもある通り本展はとてもシンプルで、彼らの「夢」である「ラ・ヴィラ」を中心に紹介する展覧会となっている。
RCRを構成する3つの軸、
・RCR Lab・A:リサーチや創造のための建築研究施設。
・RCR Architects:1988年、3人によって設立された建築創造ワークショップ。
・RCR Bunka:建築・ランドスケープ、芸術・文化の社会的価値の認識を向上させるために設立された財団。
展覧会コンセプト:
「私たちにとって人生とは夢であり、建築とは夢を見るための道具である。私たちは夢と建築を通して、真に重要な現実を創造することができる。そのような夢を通して、私たちは人生をたどっていくのだ。」
この展覧会は「夢のジオグラフィー」というタイトルのもと、私たちRCRアーキテクツの歩みと「夢」というコンセプトを示すものである。データや図面、コンセプト・スキームなど基本的な説明に始まり、旧友で写真家の鈴木久雄氏の視点を通じて制作された代表作品の映像へと続き、RCRが建築をどのように理解しつくっているのかを紹介する。その後、「夢のジオグラフィー」として今後何年もかけてたどり着こうとしている私たちの夢、宇宙観(コスモロジー)を体現したプロジェクト「ラ・ヴィラ」の中へと入っていく。
「ラ・ヴィラ」は、森林と水の流れ、そして記憶の住まう土地(ジオグラフィー)であり、その場所は私たちを、開かれた研究の場(ラボラトリー)の創作とその探求へとつき動かした。それは人間の知覚に対する意識を変容させ、新しい関係性や行動を促すことのできるような、横断的で総合的、そして可能な限り最も本質的で根本的な方法でつくられた研究の場となるだろう。
さらに「ラ・ヴィラ」をともに進めている奈良県吉野町の人びとや吉野の森をはじめ、2017年に訪日した際にめぐった各地の旅の体験をまとめたドキュメンタリー映像、テキスト、そして描画(スケッチ)を通じ、RCRと日本との長年にわたる交流を紹介したい。
上記コンセプトにもある通り本展はとてもシンプルで、彼らの「夢」である「ラ・ヴィラ」を中心に紹介する展覧会となっている。
RCRを構成する3つの軸、
・RCR Lab・A:リサーチや創造のための建築研究施設。
・RCR Architects:1988年、3人によって設立された建築創造ワークショップ。
・RCR Bunka:建築・ランドスケープ、芸術・文化の社会的価値の認識を向上させるために設立された財団。
〈ラ・ヴィラ/La Vila〉
RCRの3人が長年温めてきた夢のジオグラフィー構想を実現させるべく、地元オロットで入手した広大な敷地で進めているプロジェクト。
吉野和紙に水彩で描かれたラ・ヴィラの全体図。140万m2(東京ドーム30個分)の敷地には動物や鳥、昆虫が息づき、木々や草花、山や森に包まれる。
現代社会で失われた人の営みや心を建築によって取り戻すべく、創造のための研究施設や宿泊施設を作る。宙に浮く円盤にはそのアイデアが描かれている。
そしてこの、まだ形の無い物語を、この展覧会やこの敷地を訪れた人たちと一から共有し創造していきたいと思っているのだ。
本展のメインビジュアルであるラ・ヴィラの風景。後方にある建物と池を改修する仕事でこの地と出会った。
本展に合わせて刊行された「RCR Arquitectes Geography of Dreams」にはプロジェクトの詳細が記されており、敷地や周辺環境のリサーチなども。
「夢」の建築のスケッチ。
これらを幾つ造るか、規模、境界、予算などは決まっていないという。
〈紙のパヴィリオン/Paper Pavilion〉 ラ・ヴィラに最初に造られる予定の建物。
写真家鈴木久雄との長年の交友から通じた奈良・吉野との出会い、そこから花開いたプロジェクト。吉野の人々との結びつきを具現化すべく、吉野杉や和紙(スペインで漉かれる予定)をふんだんに使って造られる。
設計の検討に模型は作らないそうで、展覧会のために造られた模型だ。
〈紙のパヴィリオン/Paper Pavilion〉 のモックアップ
単なる展示模型ではなく、本展終了後ラ・ヴィラへ運び、建物の一部として実際に使用される。
吉野の木材をわざわざラ・ヴィラまで運ぶのは、2022年に吉野で行われるカヌーの世界大会に向けて、シンボルとなるカヌーをRCRでデザインすることや、そこで培われた友好関係としてプレゼントされたためだ。
その他、"共有された創造性" という信念のもとに手掛けてきた代表作を自己紹介的に展示。
左〈トゥッソル・バジル陸上競技場〉 1991-2012年、スペイン、オロット
右〈ベル=リョク・ワイナリー〉 2007、スペイン、パラモス
左〈ラ・リラ・シアター・パブリック・スペース〉 2011年、スペイン、リポイ
右〈サン・アントーニ — ジョアン・オリヴェール図書館〉 2007年、スペイン、バルセロナ
左〈スーラージュ美術館〉 2014年、フランス、ロデーズ
右〈オフェイドゥの火葬場〉 2014年、ベルギー、ホルスベーク
4階〈書かれた、そして描かれた風景〉
吉野和紙に水彩で描かれた森。森は彼らにとって尽きるこの無いインスピレーションの源であり、その森を空間的に表現した。
この抽象的な表現方法によって、"共有された創造性" というものが沢山の人々の協力によって出来ている、その複雑性も表現しているという。
奥には映像〈吉野の森 ラ・ヴィラの森〉
本展「夢のジオグラフィー」全体を反映する映像で鈴木久雄が撮影した。
2017年吉野を訪れた際の様子や、オロットの様子が上映される。吉野では山、製材所、吉野和紙の工房などを、オロットではオフィスの様子や、ラ・ヴィラの野山などが紹介される。
そして驚くのは吉野の森とあまりにも似ている点だ。遠く離れたスペインと日本の違いではなく、双方の共通点を是非見ていただきたい。
ラモン・ヴィラルタ(左)とカルメ・ピジェム。(ラファエル・アランダは都合により来日できなかった)
「2010年にこのギャラ間で開催されたグループ展『GLOBAL ENDS』で発表した『人間回帰』の構想を発展させたのが今回のラ・ヴィラになります。物質的なものだけではなく、精神的なもの、つまりもっと大きな視野で世界を理解する、といった価値の変換を表現しています。そのような感覚を是非会場で感じていただきたい。」
ラモン・ヴィラルタ(左)とカルメ・ピジェム。(ラファエル・アランダは都合により来日できなかった)
「2010年にこのギャラ間で開催されたグループ展『GLOBAL ENDS』で発表した『人間回帰』の構想を発展させたのが今回のラ・ヴィラになります。物質的なものだけではなく、精神的なもの、つまりもっと大きな視野で世界を理解する、といった価値の変換を表現しています。そのような感覚を是非会場で感じていただきたい。」
TOTO出版より刊行された〈RCR Arquitectes Geography of Dreams〉
前半に今までの作品、後半に夢のジオグラフィーであるラ・ヴィラ、そして彼らにとって特別な国である日本との関係が収められている。
「自立する本にしたい」という要望があったという。
〈ラ・リラ・シアター・パブリック・スペース〉
〈スーラージュ美術館〉
〈ヴァールゼ・クローク・メディアテーク〉
書籍の詳細:https://jp.toto.com/publishing/detail/A0377.htm
【RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー】
会期:2019年1月24日(木)~3月24日(日)
会場:TOTOギャラリー・間(港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
開館:11:00~18:00、入場無料、(月曜・祝日休館)
詳細:https://jp.toto.com/gallerma/ex190124/index.htm
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・RCRアーキテクツによる「プリツカー賞受賞記念講演会」/安田講堂
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