敷地面積137m2、建築面積50m2、延床面積92m2。木造2階建て。旗竿敷地や、風致地区によるセットバックなどにより建築面積は制限される。
閉じ気味の玄関と狭められた開口を抜けると...
一転、22畳のワンルーム空間が広がる。
この住宅はご主人がもうすぐ定年を迎えるご夫婦の住まい。寝室や書斎などの個室を設けず、「下の部屋」と「上の部屋」のみ。ベッドを置かずに布団で気ままに好きなところで寝るそうだ。
いわゆる老後の住まいのイメージではなく、よりアクティブに住まうことができるよう自由な空間作りがされている。
キッチンと、筆者の背後の納戸に洗濯機が置かれる。奥の勝手口からは物干しに出られるので一直線の家事動線だ。
キッチンと作業台の天板は黒御影石。
反対側は螺旋階段と丸木を使った大黒柱。2階と北西の壁を支える太い梁は105×330ある。
階段の踏面の支えはカーブさせ柔らかい表情を出している。
また外壁に櫛引を多用する廣部さんだが、ここではシラスの内壁全体に刷毛引を施した。
敷地の法規制ぎりぎりのボリュームを取りつつ、2階の床を高く設定することで眺望の抜けを実現した。上棟後真っ先に2階へ上がり、多摩川の対岸が見えたときはほっとしたという。
外から見るとこのように。既製の引き違い窓の外枠を外寄りに付け、片側のサッシュにガラスを入れないで使っている。勿論雨仕舞はきちんとされている。
反対側、左にウォークインクローゼット、右に書斎スペース。
屋根は切妻(上の画像)と寄せ棟だと分かる。奥の戸は水回り。
天井には少し光沢のある和紙が貼り込んであり、表情を変えながら光を反射させている。
「お施主さんは、動きがあり、空に開かれ、使い方に自由度がある空間を望まれました。ここでは法的な縛りで外形ボリュームはある程度決まってしまいますので、広さではなく “拡がり"、そして気積をコントロールしました。大きめの吹き抜けで上下層を繋ぎ、シンプルな箱形に相互貫入していくような “抜け” を作りました。」と廣部剛司さん。
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