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28 2月, 2012

パリ若手建築事務所訪問、モロークスノキ建築設計

パリの建築事務所を尋ねて来ました。

今回事務所を訪問させて頂いた、MOREAU KUSUNOKI ARCHITECTES(モロークスノキ建築設計)は、若手建築事務所が集まるリパブリックエリアに在りました。
パリの設計事務所はファッション関係やデザイン事務所が多い、10区(リパブリックエリア)から11区(バスティーユエリア)にかけて途切れなく広がり集まっています。
ブティックやギャラリー、レストランなどが建ち並ぶ活気のある楽しいエリアです。



_MOREAU KUSUNOKI ARCHITECTES(モロークスノキ建築設計)

日本ではシェアオフィスという考え方は未だにあまり浸透していないようですが、海外では似たような業種が集まり、工場跡等の広い空間を分割し間借りすることが一般的。特に若い世代のクリエイターやフリーランサーが主に活用しています。
個人事務所は打ち合わせスペースや模型室などの空間を確保するのも大変ですが、シェアオフィスは経済的。シェアオフィスでは空間をシェアするだけはありません。同業者や制作会社と様々な意見や情報を交換できるメリットがあり、若い世代には特に重要視されています。


_他にシェアオフィスとして活用している建築事務所

MOREAU KUSUNOKI ARCHITECTES(モロークスノキ建築設計)もまた、大きなワンフロアの一角を他3つの建築設計事務所とシェアしています。


_事務所の様子
2011年に独立したばかりのMOREAU KUSUNOKI ARCHITECTE はフランス人のニコラ・モロー氏 (Nicolas Moreau )と日本人の楠寛子(クスノキ・ヒロコ)氏の2人で結成されました。

楠寛子氏は坂茂建築設計(東京・パリ)に勤務し、HW/Atelier Jean Nouvel とCIGUE, Montreuil にてパリの設計事務所を経験後、ニコラ・モロー氏とMOREAU KUSUNOKI ARCHITECTE を設立。

ニコラ・モロー氏は2005年より3年間東京の設計事務所で経験を積んでいます。
最初に入所した Sejima And Nishizawa And Associates (SANAA) では、唯一のフランス人スタッフとしてルーブル美術館ランス新館設計コンペに参加し、SANAAは最優秀賞獲得。
その後勤めた隈研吾建築都市設計事務所では、自ら海外コンペを見つけ積極的に参加。在所中にモロー氏が手がけたコンペの数は、なんと27!そのうち7つのコンペ案が通り、5つが実施設計まで至った。現在、4つのプロジェクトが現場進行中だという。モロー氏は実施設計のため2008年にKuma & Associates Europeを設立し、隈研吾氏のパートナー兼事務所長となった建築家。
2011年、楠寛子氏と事務所を設立。




_FRAC Marseille/Fond Régional d’Art Contemporain Marseille (マルセイユ市現代アートセンター)
© KUMA&ASSOCIATES EUROPE

モロークスノキ建築設計が手がける現在進行中のプロジェクトの一つに、FRAC Marseille/Fond Régional d’Art Contemporain Marseille (マルセイユ市現代アートセンター)があります。こちらは Kuma & Associates Europeから引継いでいるプロジェクト。



_FRAC Marseille/Fond Régional d’Art Contemporain Marseille (マルセイユ市現代アートセンター)© KUMA&ASSOCIATES EUROPE

マルセイユは2013年の欧州文化首都に選定され、2013年には年間を通じて様々な文化行事が開催される予定。こちら、マルセイユ市現代アートセンターの他に欧州・地中海文明博物館なども計画されています。


_FRAC 現場の様子
© KUMA&ASSOCIATES EUROPE


_FRAC 現場の様子© KUMA&ASSOCIATES EUROPE

_FRAC 現場の様子
© KUMA&ASSOCIATES EUROPE

_FRAC 現場、ファサード
© KUMA&ASSOCIATES EUROPE

その他のプロジェクトには、フランスに展開する日本料理店の設計や、Landry House(ノルマンディーの別荘)などを手がけています。



_Habiter Autrement 勤務時に楠氏が描いたマスタープラン ドローイング
© HABITER AUTREMENT + HIROKO KUSUNOKI


パリの若手建築設計事務所の中でのMOREAU KUSUNOKI ARCHITECTE の位置づけは?という問いに『関係、感覚、スピードなどにおける日本的なエッセンスを活かしていくことを期待されている気がしますし、私たちもそうしたいと心がけています。』と楠氏が答えてくれました。


_事務所の様子
MOREAU KUSUNOKI ARCHITECTES(モロークスノキ建築設計)

日本的な要素とフランス的な要素をそれぞれが異なった経験によって持ち合わせている2人。彼らはフランス人が受け入れられる日本的なものをよく熟知しています。文化を重ねる時にはお互いの文化を良く知ることがとても大事なように、彼らの手がける設計にはフランス的な要素と日本的な要素、その両方が存在しているようでした。


_ポートフォリオ



_モロー氏がKUMA&ASSOCIATES EUROPE 勤務時に手がけた作品
©
KUMA&ASSOCIATES EUROPE


最後に、これらからの課題として『全体的にも、マニアックにも考えられるように少しずつ経験を重ねていくこと。これはフランスと日本の視点の相違にも似ています。』と。

MOREAU KUSUNOKI ARCHITECTE が手がける建築がどのように発展してゆくのか、これから楽しみです。



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