TOTOギャラリー・間で1月23日より開催の「TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三」展の内覧会に行ってきました。
'53年頃の丹下(撮影者不明)。成城の自邸の工事現場で。
会場は黒に統一され、一見ランダムに配置されたような展示台の上に多数のコンタクトシートが並んでいる。
内覧会の前に設けられたプレスカンファレンスで、本展の監修者である岸和郎さんと、キュレーターである豊川斎赫さんより説明があった。
まず展示の見方。
本展で紹介される15プロジェクトは10年間にオーバーラップしながら進行している。
プロジェクト毎の展示台と、そこに並ぶコンタクトシートが、壁面の年表と仮想の線で区切られながら時系列的に見ることができるという仕掛だ。
写真では見えにくいが展示台にも赤い線が引いてあり、年表とコンタクトシートがリンクしている。
会場構成を担当したのは木下昌大。
写真の中には左のように、丹下自らが引いたトリミングラインが見られる。そして右がトリミングされ、雑誌や作品集等で発表された写真。
この写真は広島平和記念資料館本館で、トリミングされることで神殿のような柱と広いピロティで、人々を迎え入れるような対比が強調されている。
右に2本のトリミングラインがあり、丹下の迷いが見られる。
「右の外側のラインの方が(遠景の)建物の棟が入るので切妻屋根だと分かる。しかし内側のラインでトリミングし屋根の形状や大きさが分からなくすることで、当時の文化的な情景を排除し、手前の墓地の風景を強調したかったのだろうと推測できる。」と岸さん。
また「丹下先生は私が建築の勉強をはじめたときにはすでに遠い存在であったが、今回これらのトリミングラインを見て、建築家として同じような意識でいることに触れられ、時を越え先生とコミュニケート出来た気がした。」とも話す。
そして実作である〈広島平和記念資料館本館〉(左上)、〈成城の自邸〉(右上)、〈倉吉市庁舎〉(中下)、〈香川県庁舎〉(右下)に反映されているのが確認出来る。
「これら50年代の "渋い" 建築は、ピークを迎える60年代の建築への助走の時代だった。」と豊川さん
(コンタクトシート=フィルムを印画紙に密着させ原寸でプリントしたもの。べた焼きとも呼ぶ)
台紙は70数枚、写真は約2,000カットある。
ちなみに展覧会のきっかけは、豊川斎赫さんが以前丹下健三をテーマに論文を書いた際、丹下のご息女である内田道子さんに資料を見に来ないかと誘われこのコンタクトシートを見せて貰った。そして道子さんに頼まれ写真を整理し、いずれしかるべき機会、つまりギャラ間でこれを発表しようと二人で決め岸さんに相談したそうだ。
3つのテーマ、〈都市のコアと建築のコア〉〈大空間への挑戦〉〈伝統との対峙〉の島がある。
東京大学丹下研究室で学んでいた槇文彦さんも来館(中央)。
中庭の展示は前出の桂離宮を参考にした作品群と、旧〈東京都庁舎〉と〈成城の自邸〉の空撮写真が引き伸ばしてプリントされている。空撮も丹下自らが撮影したもので、かつての東京の風景を空から眺めているような演出だ。
3階同様3つのテーマで島が出来ている。〈RC表現の模索〉〈外部との交流〉 〈50年代を統合する建築から 60年代へのプロローグ〉
自らが編集し‘66年刊行の〈現実と想像 1946-1958〉と、’68年刊行の〈技術と人間 1955-1964〉。
上は今回TOTO出版創設25周年記念出版として刊行した〈TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三〉
来館した多くの建築家が丹下の目を通した写真を見つめる。
内覧会にて、左より内田道子、豊川斎赫、岸和郎、木下昌大の各氏。
「コンタクトシートにある桂離宮と香川県庁舎は子供のころ同行していたので、写真がこのようなかたちで日の目を見るとは夢にも思っていなかった。」「このコンタクトシートを通して若かった父の建築への思いや眼差しを感じて頂ければ嬉しい。」と内田道子さん。
【TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三】
会期:2015年1月23日〜3月28日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:www.toto.co.jp/gallerma/ex150123/
シンポジウム
丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う
10 Years After Kenzo Tange - 'Why Tange Now?’
会期:2015年3月22日 14時〜(※丹下健三命日)
場所:建築会館ホール
※事前申込制
丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う
10 Years After Kenzo Tange - 'Why Tange Now?’
会期:2015年3月22日 14時〜(※丹下健三命日)
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