岸和郎(K.ASSOCIATES / Architects)による東京の集合住宅のリノベーション「書院/Third-place」を見学してきました。
2009年に手掛けたプロジェクトで、70年代に建てられた集合住宅の一住戸をリノベーションした。
2009年に手掛けたプロジェクトで、70年代に建てられた集合住宅の一住戸をリノベーションした。
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玄関を入ると大理石張りのクランク状アプローチとし、シーンの切り替えを演出。
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玄関から三回折れ曲り現れるリビング・オフィス。
施主からは住居であると同時に、オフィス、立礼茶席としての機能を求められた。
施主からは住居であると同時に、オフィス、立礼茶席としての機能を求められた。
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少ない要望ではあるが、実際のところどのようにデザインを進めるか考えるうちに、住居とオフィス、そして茶室とも密接な書院造という日本に古来よりある様式に至ったという。
総漆喰の壁と天井、そして奥に床と書院。
総漆喰の壁と天井、そして奥に床と書院。
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向かい合わせにモダンな床と、右手に小さな付書院。
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空間中央の、岸さんがデザインした立礼卓(りゅうれいじょく)は、お茶席にもオフィスワークにも使える。
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伝統を意識しながらも岸さんオリジナルの解釈がなされた床。吊り棚にはお茶道具と並んで、倉俣史朗の一輪挿し、バリ島で見つけたシルク織物を張った戸棚。
落掛(おとしがけ)にはアルミハニカムパネルを用い、裏側には間接照明が備わる。
書院にも大胆にバリのバティックをあしらい、掛け軸代わりに杉本博司の写真が掛かる。
落掛(おとしがけ)にはアルミハニカムパネルを用い、裏側には間接照明が備わる。
書院にも大胆にバリのバティックをあしらい、掛け軸代わりに杉本博司の写真が掛かる。
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倉俣史朗に影響を受けていることを隠さない岸さんが、カッシーナのためにデザインしたソファ。
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背後には黒さび仕上げのスチール板の壁。裏手は浴室やキッチンといった水回り。
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床(ゆか)は伝説の数寄屋大工、中村外二に作ってもらった栗材のフローリング。同じ木から削られた付き板で木目が連続している。
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岸和郎さん。「このThird placeは都心に住むクライアントのための常の住居、第一の住宅でもなければ、別荘、すなわち二番目の住宅でもありません。これはThird Place、都市居住者のための三番目の場所としてデザインされました。時にくつろぎ、時には仕事の場、また立礼のお茶席としても使えるし、またプライベートなパーティーにも使える場所としてデザインしましたが、それはよく考えてみると、日本の書院の空間なのではないか、そうか、それならば現代の書院として設計してみようと考えたのがこのプロジェクトです。」
【書院/Third-place】
設計監理:岸和郎+K.ASSOCIATES / Architects
施工:斉藤工業
延床面積:78m2
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岸和郎展「京都に還る_home away from home」/ギャラリー・間 レポート
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