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11 11月, 2019

【お知らせ】japan-architectsブログを引越しました


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いつもjapan-architectsブログをご愛読いただき有難うございます。

2009年の開設以降、当ブログは外部のシステムを利用しておりましたが、2019年10月よりWorld-Architects.comのシステムを使った「Japan-Architects Magazine」にリニューアルいたしました。

あたらしいシステムは海外からもアクセスしやすく、さらに多くの人たちに日本の最新の建築物やデザインを国内外に発信できる環境となりました。すでに新しい記事もありますので是非ご覧ください。

今後ともJapan-Architects、World-Architectsを宜しくお願いいたします。

ジャパンアーキテクツ事務局一同

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Japan-Architects Magazine
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09 10月, 2019

乃村工藝社による東京2020パラリンピック開催1年前記念イベント「スポーツ・ラウンジ COLORS」

乃村工藝社の社屋内に、COLORS=色をテーマに2日間限定のスポーツ・ラウンジが登場した。東京2020パラリンピックの内部空間・展示空間のデザイン、設計、施工カテゴリーにおけるオフィシャルサポーターである乃村工藝社が、開催まであと1年となった機に提案したパラリンピックスポーツの新しい楽しみ方を体感できる空間である。


会場となったのは、地下1階にある多目的スペース「ノムラスタジオ」。真っ白い空間に色とりどりの幾何学模様が浮かび上がり、中央には2つのパラ卓球台と、ボッチャをデジタルテクノロジーで体験できるコーナー、奥にスポーツ・バーという構成だ。




〈パラ卓球体験コーナー〉
選手それぞれの個性を表現したパラリンピックの特別なパラ卓球台を体験することができる。

〈ボッチャ体験コーナー〉
競技の面白さや奥深さを体験できるデジタルテクノロジーを使ったエンターテインメント型ボッチャ。 


完成した際には真っ白だったというこの空間。来場者が白いシートをめくることで、時間を追う毎に様々なカラーが現れてくる。これは先入観というレイヤーをめくって気持ちを新たにするようなアクションだ。パラリンピックスポーツについては勿論のこと、普段あまりよく知ろうとしてこなかった身近な事やまわりの人たちについても、無関心にならずに探求してほしいというメッセージが込められている。

現れたカラー部分にはパラリンスポーツのトリビアも(景品があたる金銀銅賞も隠されていたそう!)

〈スポーツバー〉
白いシートは再剥離シートでできており、めくったあと好きなメッセージを書いてカウンターバーの壁面に貼るシステムになっていた。


めくる、ひらく、自由なカタチのコンセプトを取り入れた什器。動かすことで床に色を見せたり隠したりすることが出来る。

空間の演出を手掛けたのは、乃村工藝社デザイナーの青野恵太、大西亮(写真右)、山口茜(写真左)各氏。それぞれ他のプロジェクトを抱えながら、什器デザイン、空間デザイン、コピーライティング・グラフィック等と役割分担して進めたという。

「ここは、新しい発見をする場所です。自分たちが実際にパラリンピックスポーツを体験したらとても楽しかったという素直な驚きや感動から発想を得ました。それぞれの違いを知り、十人十色さまざまな良さを認めあう空間、スポーツ体験の感動を共有する場所です」


イベントにはパラ卓球選手による競技実演もあり多くの招待客が集まった。

【スポーツ・ラウンジ COLORS】
日 時:9月30日(月)、10月1日(火) 16:30~20:00
会 場: 乃村工藝社 本社 ノムラスタジオ


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19 9月, 2019

「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展」レポート


9月13日から始まった「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 – ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア」をレポート。ベルギーのゲントを拠点に活動する、3人組建築家ユニットで日本初の展覧会を開催。会場は東京 乃木坂のTOTOギャラリー・間。
[Exhibition: architecten de vylder vinck taillieu: VARIETE / ARCHITECTURE / DESIRE]

展覧会コンセプト
アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー(以下ADVVT)は、「ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア」というテーマを通じて、自らの実践の幅広い視野をさらに展開させる。
ADVVTの多種多様な作品の実践 ―ヴァリエテ[VARIETE]。
建築をつくることのみならず、常に建築のあり方を探究する姿勢 ―アーキテクチャー[ARCHITECTURE]。
そして建築に属するふるまいのデザインを希求しつづける ―ディザイア[DESIRE]。

この展覧会では、ADVVTが設計したベルギーのフランダース地方の11の住宅を、図面と模型を制作することで理解を深めた日本の学生とのコラボレーションの結果が展示される。学生たちはさまざまな住宅を日本のコンテクストに置き換え、再解釈することで、異なるコンテクストに置かれたことによって生じる違いを探究している。ADVVTはこの方法によって、作品自体の探究結果を示すだけでなく、両者のコンテクストや文化の違いをも探究しようとしている。

さらには、多彩な写真家が撮影した建築写真のループ再生により、ADVVT作品をさらに深く洞察する。何千枚という画像が見る人をADVVTの宇宙[UNIVERSUM]へと誘う。いくつかの異なるスクリーンに映し出された映像は、メリーゴーラウンド[CORROUSEL]のように回り続ける。この展覧会は、TOTOギャラリー・間のスペースを回遊する旅[JOURNEY]であり、空間の背後にあるものというアイデアは、「間」という言葉の意を解釈したものでもある。


上記「日本の学生とのコラボレーションの結果」とあるが、本展に先立ち、ADVVTは東京工業大学の学生と3週間にわたるワークショップを行い、そこでの学生達の解釈や学びが展示されている。ADVVTはこの展覧会を単なる発表の場ではなく、探究や議論の一行程に過ぎず、展覧会をつくる長いプロセスそのものが発見や気付きの機会であり、ここでも議論が生まれて欲しいと望んでいる。


会場には11の作品が11の島に展示されており、それぞれの島には概ね4種類の模型が置かれている。ADVVTの作品、日本の建築家の作品、ADVVTの作品からピックアップされたエッセンスの部分、東工大の学生による日本バージョンの作品からなる。
ADVVTと日本の建築家の作品双方のコンセプトを学生が読み取り、日本のコンテクストに落とし込み新たな作品を設計した。学生たちはベルギーと日本の文化背景の違いと共通点をどう見出したのか、学生達の解釈が介在することで展覧会は複雑なものとなっているが、それを理解するために観る人はより深く考え主体的に展覧会に関わる事になるのだ。これは従来の受動的な展覧会の在り方への問いかけでもある。


壁にはADVVTの作品、日本の建築家の作品、双方からインスパイアされた東工大の学生の作品の各ドローイングと、オリジナル作品のスライド映像を孔から覗くことができる。
ここで壁の "違和感" にお気付きの方はいるだろうか。壁は前回の展覧会「中山英之展」のものがそのままが使われており、所々薄いグレーでペイントされた四角形とのぞき穴が今回の演出だが、その部分は中山さんが手書きしたキャプションや釘が打たれた跡で、展示会場のリノベーションということだ。




4階展示室は「施工途中?」と言わんばかり。仕上げがないどころか、バックヤードがむき出しの箇所がありそこにモニターが設置されている。偶然性や既存条件も積極的に設計に取り入れ、不要な仕上げはしない彼らのサスティナビリティな設計思想の現れだ。


中庭には大きな白いボードが1枚。


スタンプや色鉛筆を使って来場者が自由に街を描くことが出来る。11月23日にはどんな街が出来上がっているか楽しみだ。


〈BALADIN|バラディン〉 2011
島にはこのように展示されている。
左はADVVTのオリジナル模型で、ベルギーからの運搬用木箱に乗せられているので見分けが付く。左から2番目は近隣作品として選ばれた篠原一男による〈上原通りの住宅〉の模型。その隣は先の二つの作品からインスパイアされた学生による作品の模型。右はオリジナルから抽出されたディテールを拡大した模型で学生が制作した。
こちらのリンクから各作品の詳細が読めるが、会場で実際に模型を見ながら読んで頂くと理解が深まるだろう。


〈VERBRANDE BRUG |フェルブランデ・ブルク〉 2016
近隣作品はアトリエ・ワンによる〈理科まちや〉。


〈BERN HEIM BEUK|ベルン・ハイム・ベーク〉 2012
近隣作品はアトリエ・ワンによる〈ガエハウス〉右


エッセンスを抽出した模型(この作品では架構をピックアップ)と、左に学生の作品。


〈HOUSE VOS|ハウス・フォス〉 2014


近隣作品はアトリエ・ワンによる〈ハウス・アトリウム〉右
学生による作品が左。


〈FRIANT|フリアント〉 進行中


近隣作品は能作文徳×常山未央による〈西大井のあな〉左
中央が学生の作品。


〈ARBED|アルベッド〉2013


近隣作品は坂本一成による〈代田の町家〉左
中央が学生の作品。


〈SPADE ZAAM STRAAT|スパーデ・ザーム・ストラート〉進行中 左下
近隣作品は長谷川豪による〈浅草の町家〉左上
学生の作品が中央


〈TICHEL|ティッケル〉 2013
近隣作品はアトリエ・ワンによる〈ハウス&アトリエ・ワン〉右
学生の作品が中央


〈HOUSE BM|ハウス BM〉 2011



近隣作品は清家清による〈私の家〉手前
奥が学生の作品


〈WARANDE |ワランデ〉 2013


近隣作品は東孝光の〈塔の家〉右
中央が学生の作品


〈ROT-ELLEN-BERG|ロット・エレン・ベルグ〉 2011 左
近隣作品はアトリエコによる〈菊名貝塚の住宅〉 右


そして学生の作品。
国や文化が異なるが、その建築を丁寧に紐解いていくことで、異なるコンテクストにおいてもその建築の要素やアイデアを発展させていくことができただろうか。是非会場で議論しながら見て欲しい。


ヤン・デ・ヴィルダーさん(左)とヨー・タユーさん(右)
ADVVTではリノベーションの作品が多い。「現在、サスティナビリティというものは新しいものから始まる傾向があると思います。しかし、周辺のコンテクストを見回すと役に立たない物ばかりに感じるかも知れませんが、実はそのなかに大切なリソースである。そういったことを今回学生達に気付いて欲しいと思いました。」
Jan de Vylder and Jo Taillieu.


本展に合わせTOTO出版から刊行された「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー建築作品集」
塚本由晴さんとの対談も含め、ADVVTの63作品を収めた作品集。写真・図面・テキストの3部構成。個々の場の条件の中でポジティブに建築に取り組む彼らの姿勢が読み取れる一冊。https://jp.toto.com/publishing/detail/A0382.htm

【アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア】
会期:2019年9月13日(金)~11月24日(日)
会場:TOTOギャラリー・間(港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル)
詳細:https://jp.toto.com/gallerma/ex190913/index.htm


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12 9月, 2019

御手洗龍の個展「New Nature」展

御手洗龍による初の個展「New Nature」展。
会場は南青山のプリズミックギャラリー。
[New Nature / Ryu Mitarai Exhibition, Tokyo]

展覧会概要
「住宅から公共まで様々なプロジェクトが進行する中、本展覧会を通し、今考えていることを切り取ってかたちにしてみました。自然と人工が融和し、さらにそれ自身が生きた新しい環境をつくり出していく、そんな建築をめざします。そこに生き生きとした場をつくり出す新しい幾何学を発見していきます。」


「New Nature」の副題に「新しい幾何学でつくられる小さな生態系としての建築」とあり、御手洗さんは以下のように定義した。

・成長する幾何学を持つ建築である。
・部分と部分の関係によって自己組織化された建築である。
・やわらかく構造化された外を持つ建築である。
・不均質でゆらぎを内包した建築である。
・環境の循環を促す構造を持った建築である。


自然と人間の融合、自然が持っているルール・役目・目的などを建築に引き上げられたら面白いな、と御手洗さんが日頃から漠然と考えていたものを、この展覧会によって言語化・視覚化することを試みた。


プロジェクトを解説するパネルには「New Nature」の視点で分析・考察が書かれているので会場で是非確認してもらいたい。


〈みらいの図書館〉 コンペ応募案
皮付きの丸太をそのまま柱とした。柱にはiBeaconが埋め込まれており書籍や情報を端末にダウンロードできる、本のない図書館。


会場にはこの皮付きの丸太をイメージしたインスタレーションも展開されている。筆者が訪れた際はまだ準備されていなかったが、現在は柱にQRコードが添付されており、スマホやタブレットで読み込むことで仮想の展示空間が現れるという。
また模型の傍らにiPadが置いてあるが、AR(拡張現実)技術を用いて現実=模型の中に仮想の人を歩かせることができるものだ。


〈松原児童センター〉 進行中
50年以上前に完成し、老朽化のため大規模な建て替えが進んでいるた巨大な松原団地(埼玉県草加市)内の施設。


構造的に安定するヴォールト構造を採用し前後を大きく開口。さらにヴォールトを前後で高さを変え、互いに重ね合わせることでキャンティレバー状の大屋根となり変化のある空間を生みだす。


〈The New Nature〉 架空プロジェクト
目黒川沿いに設定した敷地に、御手洗さんの夢を描いた美術館、図書館、スポーツ施設、レストラン、自然、工房などからなる複合文化施設。


自然のもつ営みがそのまま地面からせり上がり、小さな生態系をもつ建築。スラブは厚さ4mの土で構成されており、雨水が浸透しながら濾過され、地下の貯水槽に溜まり飲用水としても利用できる。


御手洗龍さんが「AR(拡張現実)技術を用いた模型展示」を紹介。
現実の世界にデジタル映像を重ね合わせるというポケモンGOに似た技術。模型の屋根や壁を3D上で作ってマスキングしているので、歩いている人が模型の屋根の奥にいる場合は消えるように設定され、自然に見えるようにしてある。

【New Nature/御手洗龍 展】
会期:2019年9月7日 ~ 10月26日
時間:平日10:00 ~ 18:00、土日祝13:00 ~ 18:00(入場無料)
会場:プリズミックギャラリー(東京都港区南青山4-1-9 1F)
詳細:www.prismic.co.jp/gallery/works/?p=3012

【関連プログラム】
トークイベント① 浅子佳英+御手洗龍
日時:2019.9.14(土)16:00 ~ 18:00

トークイベント② 福島加津也+末光弘和+御手洗龍
日時:2019.9.21(土)16:00 ~ 18:00

トークイベント③ 平田晃久+百田有希+御手洗龍
日時:2019.10.5(土)16:00 ~ 18:00

トークイベント④ 高塚章夫+南俊允+御手洗龍
日時:2019.10.19(土)18:00 ~ 20:00


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