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30 8月, 2015

レベルアーキテクツによる「南房総の別荘」

中村和基+出原賢一/レベルアーキテクツによる千葉県「南房総の別荘」のオープンハウスに行ってきました。

敷地面積567m2、建築面積161m2、延床面積120m2、木造1階建ての別荘だ。
(一部施工中で、斜面右にテラスが設えられる予定)

 敷地は内房の東京湾に面し、新規に造成された別荘地の一番端の角。


 造成地の海側の敷地では平屋のみ建ててよいルールで、敷地境界からもゆったりとしたセットバックが求められている。
造成地の内側(陸側)になるに従って2階建て、3階建てが順次可能になり、できるだけ内側の建物からも海が享受できるよう配慮されているそうだ。

 玄関扉は表とガレージ内にも付く。ガレージは施主好みでスカイブルーで仕上げられている。上部に木製シャッターも見える。


 表の玄関扉から入ると、左の戸と正面のガラス戸からLDKへ。廊下は湾曲し奥が見通せない。
床は大理石張り(CQストーン)。

 廊下を進むと左手に施主が選んだ青いガラス戸。それを透過した青い光に包まれる。
更に奥には寝室と水回りへ。

 水回り。


 寝室。天井が低くなっている箇所は上部がロフトになっており、屋上への出入りにも利用する。


 LDKへ。白い空間に白いキッチン、その向こうに青い海が広がる。


天井高3.4m、海に面した大開口は西と北西を向き、遠くに富士山を望みながら夕日を眺められる。
大理石の床に反射し、景色が2倍に広がるようだ。


視線を下げると堤防が消え、水盤のような床と海が連続して見える。

 塩害を考慮し、サッシュは樹脂製を採用した。
ちなみに、遠景の入江の反対側には廣部剛司さんによる “Villa SSK” と、"海辺のシェルハウス”が見える。

ドイツのSCHÜCO(シューコー)製の引戸とサッシュ。
上部が内倒しでき通気が可能。この状態では戸はこれ以上開かないので防犯に適している。ハンドルを回しロックが外れると手前に動き、引戸として開く。


 廊下で見えた青いガラス引戸はRaiki(ライキ)製。
左には白いレンガタイルを貼り込んだガス暖炉。

 屋上へ。後方に広がる造成地は50〜60棟分ほどの区画があり、まだ空地もある。


 右から出原賢一さん、中村和基さん、担当の小山麻美さん。
「お施主さんは、二面を海に接する最高の敷地を満喫できるよう、広いリビングと全面の開口を求められました。青いガレージや廊下から、リビングへ足を踏み入れると真っ白な空間へ、そして外はまた青い世界へ。塩害の問題もあるので開口は全開にはせず、海風を直接感じたいときはテラスに出られるようになります。」
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26 8月, 2015

山口誠によるラオスの住宅インテリア「House in Pakse」

山口誠/Makoto Yamaguchi Designがインテリアを手掛けた住宅「House in Pakse」が完成しました。敷地はラオス第二の都市であるパクセの雄大なメコン川を眼前に望む場所。
[photos: Koichi Torimura]
 広大な敷地に宮殿を思わせる大きな建物が3棟あるが、あるファミリーの為に数年前タイ人建築家が設計したもので、正面のメイン棟は延床約8,000m2ある。今回依頼されたのは、右ウィングの建物のインテリアデザインだ。メイン棟を挟んでシンメトリーに左側にも同様のウィングがあるコの字型の建物。


 インテリアデザインを依頼された一棟は3階建て延床面積1,500m2で、そのファミリーの次女のための住居兼ゲストハウスだ。(今回の計画で一部スラブを抜いたので1,266m2に)
依頼された時には、元々の内装工事が少し始まったところでストップしていたという。
「初めはラオスに建てられているヨーロッパ古典風の外観の建物、というその組み合わせに強い違和感がありましたが、途中で外観が黄土色に塗られたことで、意外にもその場所に融合し、固有なデザインとして存在しているように感じられました。その印象を私達のインテリアデザインにも持たせたいと思いました。」と山口さん。



 エントランスを入ると、正面には滝をイメージして山口さんがデザインした、スワロフスキーの特注クリスタルガラスを使用した幅6m × 奥行1mのオブジェが迎えてくれる。


 街の郊外には手つかずの自然に無数の滝があることで有名なパクセ。今回デザインに取り入れた融合の一つだ。


 1Fリビングスペース。装飾的なアーチ窓のついた外壁との組み合わせが自然になるよう床には大理石を使用しているが、部屋の中央部の床や壁には貴重なラオス産のゴールデンチーク材を使用した。
壁は御影石で設え、パクセの森の合間を流れる川や滝の周囲にある荒々しい岩のイメージを持たせた。




 リビングスペースからダイニング方向を見る。左にエレベーター、右に階段。


1F ダイニングスペースは2階までの吹抜け。




 2Fはオーナーである彼女一人のプライベートエリアで、寝室、バスルーム、クローゼット、プライベートリビングなどがある。


 2Fバスルームのシャワーブースと右にサウナ。


 左を向くとゆったりとした空間にバスタブがそっと置かれている。


 3Fホール。ゲストルームが4つある。
床と同様に壁や天井にもチークを貼り込み、ローサイドからの少なめの外光でしっとりと落ち着いた空間だ。

 階段の見下ろし。階段は山口さんのデザインで構造設計を小西泰孝さんが担当。


 ゲストルームの一室。正面奥が入り口で、両側にバスルームとストレージ。手前の空間にはソファーやベッドが置かれる。
ミラー仕上げのステンレスやガラスが嵌められているが、それらは地域の伝統的で素朴な木造の建物にはもちろん使われていない素材。固有の風景をつくっている岩(石)という素材と、現代的と言える金属やガラスという素材が融合している。


 バスルーム

建物の施工風景。

「プロジェクト開始から3年半掛け、2014年の年末にようやく完成しました。ラオスでの建築工事は普段当たり前と思っていたことが当たり前でなく、何もかもケースバイケースでゼロレベルから調査し進めて行くという、凄まじくもかけがえのない経験をさせてもらいました」と山口さん。

プロジェクトのスタートから完成までを綴った特別寄稿記事が、architecturephoto.netの「東南アジアでプロジェクトをもつということ」でご覧頂けます。



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22 8月, 2015

SALHAUS建築展「共有される風景」レポート

8月21日よりプリズミックギャラリーで始まるSALHAUS建築展「共有される風景」のオープニングに行ってきました。

展覧会概要:
『これまでの7年間につくってきた建築のことを振り返ると、それらは私たち3人が共有でき、またその建築に関わる多くの人々が共有できる風景をつくりあげるプロセスであったと思います。様々な規模・ビルディングタイプからなるいくつかのプロジェクトの展示を通して、これまでに実現した、そしてこれから立ち上がる、「共有される風景」を表現します。』 


 エントランス壁面には手掛けたプロジェクトを取り巻く風景が切り取られた写真など。
SALHAUSの面々はしばしば「どのように3人でやっているのか?」と聞かれるそうで、「各プロジェクトで、3人でどういうものを作るか、進むべき方向や考え方を導くための、共有する風景や感じていることがあることを見て頂きたい。それらをしっかりと共有することで3人で大きくぶれずにアイデアを出しながら進めてくことができる。」とのことだ。

 展示室には本展の為に新たに制作した模型を含め5作品が並ぶ。全て1/50の縮尺に揃えてあるので比較しやすい。



 〈群馬県農業技術センター〉 2013年
2009年のコンペで勝ち取ったプロジェクト。様々な農業関連の研究が行われる施設で、研究の対象や研究者によって各室の要望は異なるという。そこで大らかな大屋根を被せ、中はいかようにも構成できるように提案した。

 メッシュ状に組み上げた垂木は最も長いもので23m。4mの角材をプレートで接続し、自然なたわみで屋根を形作っている。
アイデアの当初から構造設計の佐藤淳さんも携わり、佐藤さん自身も初めての試みとして今までにない美しい屋根を実現させた。

 〈陸前高田市立 高田東中学校〉 2016年竣工予定
2012年コンペで勝ち取ったプロジェクト。東日本大震災で被災した3つの中学校を統合し、高台に造成された敷地に新築する。
手前はグラウンド。

部分的な断面模型。地域住民を交えミーティングを重ね、設計を進めながら生徒達とのワークショップや計画説明会も度々開き、子どもも自分達の学校づくりに参加した。

 ごく最近の現場の様子では体育館の基礎を造っており、2016年の3学期の使用開始を目指す。生徒が少しでも早く新しい学校に通えるように工事は急ピッチで進められている。

 カーブを描いた大屋根は高田東中学校(奥)でも採用した。
農業技術センター(手前)での経験を活かし、新たな挑戦も試みている。

 エントランス裏側には3つのプロジェクト。模型とパネルが向かい合って展示されている。


 〈扇屋旅館〉 2012年
80年以上に渡り増改築を繰り返してきた駅前旅館の再生計画。

 既存の宿泊・宴会、新たに計画するカフェ・オーナー住宅といった様々な機能と種々雑多な建築群を、中庭を核にして一気に再編する。この地を訪れる人々と地域住民が出会い、地域活性化の起点となることを目指している。


 〈tetto〉 2015年
8戸の賃貸住戸と集会所からなる木造集合住宅。

 里山の面影を残す敷地に、重層長屋とすることで、北斜面の敷地で各住戸に南側の採光と北側の眺望を確保する。軒を大きく跳ね出した大屋根が、居住者全員で共有できる風景を内外に渡ってつくり出す。
>> 当ブログの訪問記事


 〈西麻布の集合住宅〉
10戸の賃貸住戸とオーナー住戸からなる集合住宅。

 全ての住戸が玄関先にメッシュスクリーンで囲われたプライベートテラスを持つことで、共用部に対して玄関を開放し、2方向からの採光と通風を確保している。共用部から住戸の隅々までを連続したひとつながりの環境としてつくり、居住空間を拡張するとともに、住戸と街の接続の仕方をよりなめらかなものに変えていく試み。
2014 住宅建築賞入賞作品 >> 当ブログの記事

 レセプションで用意されたケータリングのフィンガーフード。円形の器にはレンズ豆のパテ。


左から安原幹さん、日野雅司さん、栃澤麻利さん。
3人の師匠である山本理顕さんから会場に祝辞のメールが入った。「以前tettoを見学させてもらい、『ここに住みなさい』というこのとない、住み手の事を考慮した素晴らしい建築だと感じた。『(私の対極である)もう一方の建築家として』これからも頑張って下さい。」といった内容で会場の笑いを誘った。

【SALHAUS建築展 共有される風景】
会期:2015年8月21日(金)~ 2015年9月16日(水)
会場:プリズミックギャラリー

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