既存はこのように、敷地周囲を塀が囲い窮屈で閉鎖的な印象があったという。参道も本堂に対して不自然に湾曲していた。
(photo: Google)
お参りに来た檀家さんが口々に「良くなった!」と話していた。
納骨堂「八聖殿」。正八角形のRC造。地下1階、地上2階建て。
既存の躯体のみを残して、外壁、屋根、内部、外構を全てリノベーションした。
屋根頭頂部の相輪も取り外し、内部にある仕掛が施されている。
「この池で夏には子どもたちに遊んでもらいたい。お寺とはそういった、人が自由に集まる場所でいいと思っています。」と浅利さん。
中へ入ると手水が出迎える。両側の引戸が1階の納骨室。
引戸、天井は鉄板にリン酸処理亜鉛メッキが施されている。
足元からの間接光に照らされた左官の版築仕上げで地層を表現。
地下1階法要室(献花室)には菩薩が安置されている。
法要室の両側には1階同様の引戸があり、中は納骨室になっている。
納骨室。暗く落ち着いた空間は幻想的な雰囲気に包まれている。
お堂の八角形そのままに内部も八角形で回遊できる。
納骨壇は円形の柄が付いた扉を一つのモジュールとして、3タイプの大きさがあり、手前に仏壇、奥に納骨される。
(photo: 龍泉寺)
こういったアイデアも浅利さんから提案された。
見上げるとドームになっていた。相輪を取り外したのはこのトップライトからの採光のためだ。
御霊が螺旋をのぼり、天へ帰っていけるように。
浅利幸男さん(右)と担当の石毛正弘さん。
「納骨堂のドームで見えた光は、今この瞬間だけ見える、同じもののない一回性の出会いで、これは人間のコントロール外のことです。何でもコントロールしようとする現世のエゴがあってはいけない、死者を単純に敬う気持ちを大切にしました。」
「ランドスケープでは、お寺は本来誰でも自由に出入りでき、自由にお参りできる場所だと思いますので、きれいに整えお寺本来の姿に戻す提案をしました。」
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