今年60周年を迎える東京国立近代美術館 (MOMAT)。その記念企画として開催されることになった、ビジョイ・ジェイン氏率いるインドのスタジオ・ムンバイによる日本初の建築プロジェクト「夏の家」が竣工しました (MOMAT Pavilion designed and built by Studio Mumbai)
美術館はリニューアルにつき休館中ですが、12m四方の前庭に設置された「夏の家」はその間、自由に寛げる東屋として一般に開放されます。前庭を利用した展覧会は2010年「建築はどこにあるの?」展でのアトリエ・ワン以来だそう。
ちなみにリニューアル担当は、青木淳建築計画事務所出身の西澤徹夫氏。2012年10月オープン予定。
ムンバイからは3名の大工が来日し毎日休みなく施工。「考えること」と「つくること」を同時に進めていくスタジオ・ムンバイ独自の手法と、その設計プロセスを実際に公開していました。石、竹、キャンバス、建物に使われたチーク材、などすべてのマテリアルはムンバイから持って来て約一週間かけて完成。
「夏の家」は庭に点在させた3つの小屋から成っています。自然災害でばらばらになった家屋がまたひとつに戻るようなイメージ。
Swing pavilion(左)都市を縮小化させた建物。スイングする=時、ムーブメントがある。
Tower pavilion(右奥)老若男女がすべての人が子供の心に戻って楽しめる空間。世代の境界線を無くし親近感が沸くようなスペース。
Tea pavilion(右手前)お茶を飲むイメージの場所。皇居側に開いていて都市と対面という意味もある。
どれも閉じていないオープンな建物で、軒下空間やベンチ、窓辺の空間など、そこかしこにおしゃべりが弾む仕掛けがあります。日本の「間」を大切に配置も深く考えたそう。
庭に何本も立っているのは、Bird Treeというインドの地方で偶然発見した鳥を呼び寄せるための道具。想像力を喚起させるのでぜひ置きたいということで選ばれました。人口の木ですが目前の皇居の森林をMOMATに持って来たように(本当の木のように)再現しました。
Bird Treeは深さ15cmのコンクリートで固定されており、その上から芝生でカモフラージュしている。
徐々に日が暮れてきました。
庭の隅ではなんとビジョイ氏のパートナー、サム氏がインド人スタッフ等に故障したランタンの修理方法の手ほどきをしていました。
ランタンが直り点灯。
Tower pavilion
Tower pavilionの背面には窓は設けませんでしたが(特に見せる景色が無いという理由)、中にいても手を伸ばせば雨風を感じることができる工夫がなされています。
満月を見ながら思い思いの時を過ごす人々。
ビジョイ氏も寛ぎながら取材に応じています。
スタジオ・ムンバイ代表ビジョイ・ジェイン氏。「このパビリオンは建物というより環境そのもの。対話、コミュニケーションを促したくさんの人たちがお互いに関わることができると同時に、一人で過ごしても決して寂しくない、というのが最大のポイントです。」
【夏の家】
MOMAT Pavilion designed and built by Studio Mumbai
会期:2012年8月26日―2013年1月14日
会場:東京国立近代美術館 前庭
※TOTOギャラリー・間にて開催中の「スタジオ・ムンバイ展 PRAXIS」(9月22日まで)のレポートはコチラにあります
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