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01 9月, 2017

長崎辰哉による恵比寿の住宅「190(one-ninety)」

長崎辰哉/アトリエハレトケによる渋谷区恵比寿の住宅「190(one-ninety)」を、入居から数ヶ月経過した状態で見学させていただいた。
「190」とは断面方向の寸法が全て190の倍数で構成されていることに由来する。建物高さや階高、階段の蹴上、杉板型枠(1/2倍の95mm)なども含めて全て190の倍数とのこと。


敷地面積158m2、建築面積94m2、延べ床面積332m2。RC造、地下1階、地上3階、塔屋1階。
エントランスは2ヶ所あり、左が住居用、右がコミュニケーションスペース用。


接道からガレージを介したコミュニケーションスペースのエントランスへ。


ガレージから見上げると自分だけの空が覗く吹き抜け。


ルーバーは強靭なH鋼のキャンティレバーの構造で支持されている。


コミュニケーションスペース。ワインのエキスパートである施主は、試飲会やワイン講習会、料理教室、パーティなど、この空間を様々な用途に活用することを想定している。


北側には中庭を設けた。


造園は藤倉陽一(藤倉造園)が手がけ、「都心に居ながら季節感を感じる野趣溢れる森」をテーマに日陰に強い植物が選ばれている。ベンチも設えてあり、取材の後ワインをいただいた。


キッチンカウンターには、特注のステンレス製化粧パネルがはめ込まれる。後方のモザイクタイルは施主がイタリアで買い求めたもので、インテリアのデザインキーワードとなっている。


地下にはワインセラーというよりストックヤード。エアコンではなく、輻射パネルで室温を一定に保っている。施主は自らフランスやイタリアの産地を訪れ、畑、土、醸造所を確認し、作り手と話し、試飲し、気に入ったワインを日本で紹介するという。


2階へ。(屋上含め)5層を貫く階段室はコーナーに設えた照明により淡い光に包まれる。


2階には寝室のほか、ウォークインクローゼット、水周り、書斎、ジムがある。


寝室のバルコニーは冒頭で紹介した吹き抜けに面している。手摺りの唐草は1階コミュニケーションスペースのモザイクタイルから引用されデザインしたオリジナルだ。


寝室の背後から水周りへ。


浴室は中庭に面し、タイル張りのインフィニティバスが納まる。


3階トイレはKOHLERで統一。


LDK。キャビネットにはテレビが納まるが、ほとんど使用しないとのことでまだソファーが置かれていない。ブルーの部分のパントリーや、砂浜の色のタイルでビーチリゾートの雰囲気に。


キッチン。1階のキッチン共にリネアタラーラによる施工。水栓はKWC、オーブンとIHクッカーはガゲナウ、ガスコンロはハーマン、レンジフードはアリアフィーネ、食洗機はミーレ、ペンダントライトはバカラという仕様。


アーバンリゾート。食事はカウンターキッチンと、気候が良いときは専らこちらのバルコニーで摂るという。


長崎さんこだわりのルーバーの組み上げでH鋼フレームが透けて見ない。またガレージ側のルーバーは通りに面しているので、フレームが内側に見えたが、こちら中庭側はフレームを外にした。東西に設けた中庭を切り口に、都心でありながら開放的な暮らしを実現させる配慮が細かく計画されている。


屋上も積極的に利用。水場やオーニング、自動潅水付きのオーガニック菜園も。


「全体的にクライアントと縁の深い南仏エクス・アン・プロヴァンスを意識しつつ、クライアントの好みやこだわりを色濃く反映させながら、建築としてこの場所で、何をどのように表現すべきか、深く考えたプロジェクトです。」
「温熱環境制御をはじめ、住んで、使って、良さの分かる建築的工夫を随所に織り込みました。『楽しく充実した住まいづくりだった。ひと冬ひと夏を経て、とても心地良く、快適な住まいであることを実感している』との言葉を頂き、嬉しく思いました。」
「住宅という場所で、建築が、理念として、空間として、モノとして、どのような価値を生み出して行くべきか、これからも実践を重ねながら思考を深めていきたいと思います。」と長崎辰哉さん。

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